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令和 2年  9月 決算特別委員会-10月09日-07号

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  1. 世田谷区議会 2020-10-09
    令和 2年  9月 決算特別委員会-10月09日-07号


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    令和 2年  9月 決算特別委員会-10月09日-07号令和 2年  9月 決算特別委員会 令和2年決算特別委員会 決算特別委員会会議録第七号 日 時  令和二年十月九日(金曜日) 場 所  大会議室  出席委員(四十七名)    委員長       真鍋よしゆき    副委員長      中塚さちよ    副委員長      神尾りさ              阿久津 皇              石川ナオミ              おぎのけんじ              加藤たいき              上島よしもり              河野俊弘              宍戸三郎              下山芳男              菅沼つとむ              畠山晋一              板井 斎
                 岡本のぶ子              河村みどり              佐藤弘人              高久則男              高橋昭彦              平塚敬二              福田たえ美              いそだ久美子              風間ゆたか              桜井純子              中村公太朗              中山みずほ              羽田圭二              藤井まな              大庭正明              田中優子              ひえしま 進              桃野芳文              小泉たま子              佐藤美樹              つるみけんご              江口じゅん子              たかじょう訓子              中里光夫              金井えり子              高岡じゅん子              田中みち子              あべ力也              上川あや              ひうち優子              そのべせいや              くりはら博之              青空こうじ  出席事務局職員           議事担当係長 岡本俊彦  出席説明員   教育長            渡部理枝   教育総務部   部長     淺野 康           教育総務課長 會田孝一           学務課長   田中勝将           幼児教育・保育推進担当課長                  本田博昭           学校健康推進課長                  桐山徳幸           教育環境課長 青木 徹           副参事    秋元勝一   教育政策部   部長     池田 豊           学校職員課長 内田潤一           教育指導課長 毛利元一           教育相談・特別支援教育課長                  工藤木綿子           新教育センター整備担当課長                  北村正文           副参事    塚本桂子           副参事    隅田登志意   生涯学習部   部長     林 勝久           生涯学習・地域学校連携課長                  田村朋章           中央図書館長 谷澤真一郎     ──────────────────── 本日の会議に付した事件 認定第一号 令和元年度世田谷区一般会計歳入歳出決算認定 認定第二号 令和元年度世田谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定 認定第三号 令和元年度世田谷区後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定 認定第四号 令和元年度世田谷区介護保険事業会計歳入歳出決算認定 認定第五号 令和元年度世田谷区学校給食費会計歳入歳出決算認定文教委員会所管分に対する質疑)     ────────────────────     午前十時開議 ○真鍋よしゆき 委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 本日は、文教委員会所管分の決算審査を行います。  それでは、質疑に入ります。  日本共産党、どうぞ。 ◆たかじょう訓子 委員 おはようございます。日本共産党の質疑を始めます。  我が党は、この間、学校再開に当たり、学習の遅れた子どもへの個別の手だてや心のケアを丁寧に行うために、体制を整えて、手厚い教育を、また、学習指導要領どおりに進めることを優先させて、授業を詰め込むのではなく、子どもの成長を優先させ、学習とともに、子どもたちの人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する柔軟な教育を求めてきました。コロナ禍の今こそ、教員十万人増員と少人数学級の実現が必要です。  まず、学校再開後の教育について伺ってまいります。  この間、保護者からは、時間割が増えて、子どもが疲れているようだとの声や、不登校ぎみとなってしまったとの御相談もいただいています。また、休業中、家庭学習に十分に取り組めなかった家庭もある中で、親が共働きなどの事情により取り組めなかった子どももいました。学力の格差が生じたのではないかとの心配の声があります。子ども一人一人への丁寧な個別の手だても必要です。  学校再開後、四か月たちましたが、授業などの状況について伺います。 ◎毛利 教育指導課長 三か月の休業期間により、通常の指導計画より遅れた内容については、七月三十一日までの授業実施と、九月以降の土曜日授業を月二回実施することや、行事の精選、各教科の指導計画の見直しを行い、該当学年の学習内容を年度内に履修できるよう、カリキュラムを組み直しております。さらに、一か月の夏休みを設け、子どもたちに体験活動や探究的な学習の機会を確保するとともに、十日間程度の補習授業を行い、個に応じた学習支援を充実させてきました。  今後も、各学校においては、児童生徒の発達段階や心身の状態、負担等に十分配慮し、ICTなども積極的に活用しながら、無理なく該当学年の学習内容を履修できるように、工夫して指導を進めてまいります。 ◆たかじょう訓子 委員 御答弁では、カリキュラムの組み直しを行い、夏休みの活動などの機会を保障するために、夏休みを一か月間設けたこと、個に応じた補習を行ったこと、無理のないよう進めるなど、一定の工夫は評価いたします。しかし、子どもたちが疲れている状況からも、詰め込み教育になっているのではないでしょうか。  成育医療センターのコロナ×こどもアンケートの九月一日から二十二日までの中間まとめによると、ストレスについて、コロナを考えると嫌だと感じる、小学生四三%、中学生三二%、最近、集中できない、小学生二九%、中学生四〇%、いらいらしてしまう、小学生二七%、中学生二八%、学校に行きたくないときがあるには、いつもと答えたのは七%、大抵が六%、時々が二〇%でした。  また、現場の教員からお話を伺ってきました。小学校六年生が、コロナで死んでしまったらどうしよう、安定した仕事に就けなかったらどうしようと悩みを日誌に書いてきたり、休み時間が自由に遊べないことにより不満がたまっている状況がある、それから、小学校一年生の中には、マスク越しのため、子ども同士の関係が深められずにいる、また、コロナの生活に慣れたように見えるけれども、子どもたちの不安も大きく、ストレスも蓄積していると伺いました。こうした実態を区教委は把握しているのでしょうか。  不安やストレスを抱える子どもの状態に寄り添い、人間関係の形成、遊び、休息をバランスよく保障する柔軟な教育が必要と考えます。コロナ禍で心身ともに様々な影響を受けています。子どもの心のケアや、状況に応じたカリキュラムの見直しを求めます。見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 コロナ禍の中、今まで以上に不安や心理的なストレスを抱えている児童生徒がいるということは考えられるところであります。そのような中、学校においては、学級担任や養護教諭等を中心としたきめ細やかな健康観察等から、子どもたちの心の変化について的確に把握し、必要に応じて健康相談を実施したり、スクールカウンセラーによる支援を行ったりしております。  教育委員会といたしましては、各学校において、子どもたちの学習や心身の状況に応じて、柔軟に教育活動が行えるよう、日常的なカリキュラムの見直しについても指導助言を行ってまいります。 ◆たかじょう訓子 委員 子どもたちや教員へのアンケートなどを行って、ぜひ実態把握に努力をしていただきたいと思います。  また、行事については、クラスの友達と協力してイベントをつくり出す経験、学芸会や合唱コンクールなど、子どもの学校生活の中でのかけがえのない思い出となります。コロナ対策として、可能な限り感染拡大防止など工夫しながら、支援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎毛利 教育指導課長 学校行事は、児童生徒にとって、望ましい人間関係づくりであったり、お互いに協力し合って、よりよい学校生活を築こうとする態度を育てたりするものとして、大変に意義深いものであると考えております。しかしながら、このコロナ禍において、移動教室や林間学園など、密を避けて行うことが難しい行事については、残念ながら、中止にせざるを得ないものもありました。  一方、今までのやり方や形態とは違うものの、感染症対策を行いながら、学校が工夫をして行っている行事もあります。例えば運動会では、できる限り密な状態にならないよう、学年を分けて開催したり、練習や見学方法の工夫を凝らしたりしながら実施しています。  教育委員会としましては、その他の行事につきましても、学校や地域の実態に応じて、工夫して実施できるよう、引き続き支援してまいります。 ◆たかじょう訓子 委員 次に、三十人学級について伺います。  文科省は、来年度から公立小中学校の全学年を三十人学級にした場合、教員を八万から九万人増やす必要があるとの試算をまとめました。十年かけて段階的に移行することにより実現可能とし、来年度概算要求に金額を示さない事項要求として、少人数学級の実現に向けた体制整備を盛り込みました。少人数学級実現が具体的に進んでいます。  三十人学級の実現のためには、教室の確保などが重要課題であると思います。私どもは、令和二年度現在の児童生徒各学校の状況から、三十人以下学級を全校で実現した場合の教室数を試算いたしました。現在の児童生徒数ですと、小学校で二百六十一学級、中学校では八十八学級の増、一校当たりで見ると、小学校では最大九学級、中学校では六学級の増が必要となってきます。さらに、人口推計からも児童生徒の数は増える見込みとなっています。  三十人学級について、検討はどのように行われているのか見解を伺います。 ◎青木 教育環境課長 区内の児童生徒数は、近年、減少傾向の地区がある一方で、増加傾向の地区があることから、クラス数増への対応として、普通教室への用途転換や、給食室等を拡充する改修を行い、また、教室等の確保が困難な学校につきましては、施設の老朽化などの状況を踏まえて、増築や改築を行っているところでございます。  このような状況の中、国が検討を進めている小中学校の全学年を三十人学級とした場合、令和八年度までの間に、クラス数は、小学校一校を除き、全ての学校において増加し、そのうち、普通教室が不足する学校は、小学校が三十九校、中学校が十校と予測されます。そのため、教室等を確保するためには、多くの施設整備費用が必要となるだけではなく、学校によっては、学級数が四十を超える過大規模校となることが想定される学校や、都市計画法上の敷地条件により、必要な教室数を確保することが困難な学校もございます。  こうしたことからも、今後の国の動向を注視し、将来の児童生徒数の推移や、学校ごとの施設状況を踏まえながら、少人数学級に向けた様々な課題の把握に努め、関係所管との協議や対応策の検討などを行ってまいります。 ◆たかじょう訓子 委員 都市計画法上の敷地条件により、必要な教室を確保できない困難な学校もあるとの答弁がありました。これは新たな教室や学校施設のための用地取得が必要となり、引き続き検討を進める計画的な対応を求めておきます。
     また、国により三十人学級の検討が進む中、どのように実践していくかというのは教育委員会の仕事です。具体的な検討が進む中、少人数学級の実現に向けて、教育長はどのような役割を果たしていくのか伺います。 ◎渡部 教育長 私は今年度、四十校ほどの学校を回って、子どもたちの様子を訪問して見てきました。授業中の様子を見ると、教室の中で授業をするので、間をなるべく空けようとしても、通路が狭くなるなどの実態が見られました。  六月の分散登校時には半分に分けて授業を行ってきたので、子どもたちはとても落ち着いて、距離を保ちながら授業をしていました。そのときには不登校の子どもも登校できたということもあり、少人数学級の有用性を強く感じています。  引き続き、特別区教育長会を通じて、国や都に働きかけを行ってまいります。 ◆たかじょう訓子 委員 少人数学級の実現は遠い将来の未来の話ではないという認識で、子どもたちのために少人数学級に向けた手だてを進めていただくことを求めます。  中里委員に代わります。 ◆中里光夫 委員 それでは、私からはICT環境の整備に関して質問をしていきたいと思います。  コロナによる学校の休校中の体験を通じて、保護者や現場の教員からは、ICTの教育への活用に、期待とともに不安、様々な意見が聞かれています。ある小学校の保護者の方は、学校に働きかけて、ズームの朝会をやってもらった、子どもも先生や友達の顔が見えて喜んでいた、休校中のストレスから少し救われたということをおっしゃっていました。また、独自の動画を作って、学習の支援を行う先生もいました。  一方、別の小学校の保護者の方からは、うちの学校は何もなかった、ロイロノートもログインして終わりという感じだった、隣の学校はズームをやったらしいけれども、学校で違うのはどうなのかという声もありました。学校現場の力量で大きな差が生まれています。  学校の授業での活用、そして、家庭での学習支援や、オンラインでの利用を視野に入れた小中学校の児童生徒一人一台のタブレット配備が十一月から順次始まっていきます。今年度中に全てが納品され、教室のネットワーク環境も今年度中に整い、来年度から本格運用が始まっていきます。しかし、運用する学校の体制には不安があります。多忙を極める教師に新たな負担となるのではないか。教員の研修なども始まりますが、現場で教員を直接支援する体制が重要です。  九月の文教常任委員会で、ICT支援員の増員、スクール・サポート・スタッフの増員、学習指導サポーターの配置が示されました。しかし、スクール・サポート・スタッフや学習指導サポーターは、授業などの教育活動一般を支援する人です。ICTの専門家のICT支援員は、増員されたとはいえ、小中学校九十校に対し、僅か六名です。このような体制で、日々起こる現場のトラブルや疑問に対応できるでしょうか。  ICT支援員を各校に配置するなど、支援体制のさらなる強化を求めます。見解を伺います。 ◎隅田 副参事 ただいまお話がありましたように、この十月より、学校のICT活用の取組を支援するICT支援員を三名から六名に増員し、区内全ての小中学校を訪問して、ICT操作や教員研修について支援を行うようにいたしました。  今後、児童生徒一人一台の情報端末が整備され、ICT支援員のニーズがますます高まってくると想定しており、さらなる増員について検討してまいります。 ◆中里光夫 委員 六名に増員して、全ての小中学校を訪問するということですけれども、これはあまりに少ないと思います。本当に慣れない先生方が、一遍にハードはそろうけれども、それをどう活用していくかということでは、やはり詳しい人のアドバイスがいつでも受けられる体制がどうしても必要だと思います。これはしっかりと人員を増やして、体制を強化していかないと、まともに回らないと思いますので、よろしくお願いします。  今回のICT環境の整備は、文部科学省のGIGAスクール構想に基づくものですが、この構想には問題があります。子どもの健康被害の問題、使い方次第で画一的な授業となるんじゃないか、それから、将来的に自治体の負担が膨大になっていくといったことです。画一的な授業というのは、授業内容や子どもの評価を民間企業が開発するソフトに丸投げするようなことをすれば、子どもはタブレットに向かい、問題を解き、全問正解ならおしまい、言われたとおり正解を出せばいいという教育の質の低下を招きかねません。  ICTは、人間と人間のリアルな交流による豊かな学びや成長を支えるための道具として、必要に応じて使うという姿勢が大切です。通常授業での使い方は教師に委ね、強制しないことが大切です。見解を伺います。 ◎隅田 副参事 ICTを活用した新たな学びにより、子どもたちの資質能力をより効果的に育成してまいりたいと考えております。授業の中でのクラスメートとの意見交換の機会を増やし、一人一人の学習理解度に合わせた課題に自分のペースで取り組ませたりするためのツールとして、一人一台の情報端末の整備は有用であると考えております。一方で、教師による直接的な支援や、子どもたちが共に学び合うといった、これまでの教育実践の中で培われた教育活動の重要性も認識しております。  これからも児童生徒一人一人に豊かな学びを保障するために、対面での学習とオンラインによる学習を組み合わせた教育の推進に取り組んでまいります。 ◆中里光夫 委員 これまでの教育実践の中で培われた教育活動の重要性は本当に大事だというふうに思います。ICT機器が入ったからといって、本当にそれに丸投げしてしまうような使い方になれば、一人一人がそれぞれソフトに向かって問題を解いていく、先生はそれを見ているだけということでは、豊かな教育とは言えないというふうになると思います。そういうことにならないように、しっかりと教育実践を進めていく姿勢が大事だというふうに思います。  今年度中に全校の全ての普通教室にWi―Fi環境を整備する計画です。使いやすいネットワーク環境の整備は、ICT機器を有効に使用するためには必須だというふうに思います。しかし、子どもたちの健康への影響に注意を払う必要があります。  電磁波で体調を崩す電磁波過敏症―EHSというものがあります。私は、電磁波過敏症の問題、電磁波と健康問題に取り組んでいる方からお話を伺いました。この方は過敏症の当事者ということで、様々な活動を行っている方です。学校無線LANの導入が進む諸外国では社会問題にもなっていると。欧州評議会では、学校には電磁波のないエリアを作ることなど、様々なことを二〇一一年に勧告しています。また、アメリカでは、不使用時には教室のアクセスポイントの電源を切っておくこと、アクセスポイントをできるだけ子どもたちから離れた場所に設置することなどの対応をしている州もあります。  学校にWi―Fi環境を整えていく際には、Wi―Fiルーターはできるだけ子どもから離れた位置に設置するなど、子どもの健康に注意を払った対応をする必要があると思います。対応を求めていきたいと思います。  そして、タブレットの使用による子どものネット依存症、そして、目などへの健康被害の問題も様々指摘されています。健康被害については、日々新しい知見が生まれている、研究が進んでいる問題です。その研究の知見、そして、情報共有にしっかりと取り組んで、子どもたちの健康問題について、教育委員会としてしっかりと取り組んでいくことを求めたいと思います。答弁を求めます。 ◎會田 教育総務課長 約四万三千台のタブレット型情報端末の配備に合わせ、区立小中学校九十校の通信ネットワーク環境の再整備に向け、プロポーザル方式により、設計及び施工を担う事業者の選定手続を進めているところです。  Wi―Fi環境の整備につきましては、教室の天井に無線のWi―Fiアクセスポイントを設置する予定です。天井ということで、子どもたちから一定の距離がありますが、一方、天井設置であっても、安定、高速なネットワークを確保できる機器を選定してまいりたいと考えております。  ICTの活用に当たっては、文部科学省が作成した、児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブックを踏まえ、長時間、連続して画面を注視しない、長時間、同じ姿勢を続けない等の留意事項について、改めて周知を徹底する、また、新たな知見を研究しながら、健康被害の防止に十分配慮しながら進めてまいりたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 健康問題については新しい問題ですし、諸外国では、様々研究が進んだり、いろいろな対策や規制も強化されているようであります。そうしたこともしっかりと調べながら、研究に取り組んでいただきたいと思いますが、もう一度いかがですか。 ◎會田 教育総務課長 新たな知見等を踏まえながら、しっかりと考えてまいりたいと思います。 ◆中里光夫 委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。  最後に、国は今年度に限って、タブレットの購入や通信環境の整備に補助金を出しています。しかし、今後のランニングコスト、それから、タブレットの買換えなどについての財政措置については、何も示されていないと。このままでは、将来、区財政に大きな負担となってかぶさってくる可能性があるわけです。これは義務教育になるわけですから、国に対し、今後も財政措置をしっかり取るよう求めていくべきです。見解を伺います。 ◎會田 教育総務課長 GIGAスクール構想に基づくタブレット型情報端末の配備と校内通信ネットワークの整備につきましては、国及び都の補助金を活用して実施しております。来年度以降も、授業や家庭学習で使用するソフトウエア経費タブレット端末やネットワークの運用保守経費、ICT支援員等を活用する委託経費等、様々な経費が継続的に必要となります。  GIGAスクール構想に基づく新たな学びの充実に向けた教育ICT基盤の整備拡充は、世田谷区政策方針の一つである、子どもの学びと育ちの支援に基づく取組であり、引き続き、国や都に対し、補助金等の要望を提出するなど、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 財政の問題は、今回の議会全体を通じても、大きな問題となっています。特に国や都から必要な財源を取ってくるというのは大事な問題ですし、これは非常に大きな規模のお金に関わる問題ですから、国に対してしっかりと求めていっていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク、どうぞ。 ◆金井えり子 委員 生活者ネットワーク文教委員会所管の質問を始めます。  暑い夏が終わりましたけれども、マスクは相変わらずうっとうしいと感じます。香りの害に苦しむ化学物質過敏症の方は、このうっとうしいマスクを三枚、四枚と重ねて、それでも空気中の化学物質に反応してしまうこともあるといいます。この香害の啓発のために、昨年、保健所で子ども向けチラシを作成し、教育委員会を通して、区立幼稚園、小中学校に配付しました。いま一度、これはどのような活用だったのかを伺います。 ◎塚本 副参事 昨年度、世田谷保健所が作成した子ども向けのチラシにつきましては、区立小学校六年生全員に配付するなどいたしました。学校では、配付時にシックハウス症候群を含めた香害について説明をし、家庭でも話題にするよう伝え、子どもたちだけではなく、保護者への普及啓発へつながるよう取り組んでまいりました。 ◆金井えり子 委員 実は小学校の保護者の方、区民の方々から、全く知らないわ、あのチラシはどうしたのかしらという声がありましたので、改めてここで伺ったんですけれども、では、今年度、来年度以降はどのようになりますか、伺います。 ◎塚本 副参事 今年度の配付については、世田谷保健所と日程等を調整の上、今後実施することを予定しております。 ◆金井えり子 委員 こちらのチラシは保健所作成ということなので、保健所と日程を合わせてというお話でしたけれども、これは教育委員会のほうからぜひ働きかけていただいて、毎年配付できるよう、体制を整えて進めていただきたいと思います。  実は保護者の方からの声で、このチラシは生まれたんです。ですから、保護者の方々は待っている方もいらっしゃるということなので、ぜひこの体制をきちっと整えていただきたいと思いますので、お願いいたします。  香料製品による化学物質過敏症ですけれども、これは花粉症と同様です。よくコップの水に例えられますけれども、コップの水がいっぱいになってあふれてしまうと発症してしまう、許容範囲を超えると発症するということなんです。だから、誰でも発症する可能性があるものです。また、自分が使っている香料製品が他人の健康被害につながっていくというのは、空気中の見えない部分ですので、とても気づきにくいことなんです。とにかく多くの人にまず知っていただくことが大切だと思っています。  この夏、岐阜県多治見市の暑さ対策事業の報道があったことは御存じの方も多いと思いますけれども、「週刊金曜日」九月十一日号の記事によると、大手企業と連携し、市職員対象に柔軟剤試供品調査を実施、調査結果が、効果もあるように感じた、涼しくなったなどの職員の回答も含め、企業の公式サイトに掲載されました。この試供品は同市の環境課窓口や市内中学校で配付されたようです。特定の私企業の宣伝に自治体が関わることはもちろん、その対象商品が柔軟剤である点も問題だとありました。  国民生活センターも、柔軟剤については、二〇一三年以来、二度目の情報提供を行い、注意喚起しています。香害をなくす連絡会からの質問に対し、多治見市は、香料が強めと承知、今回、国民生活センターの情報を確認とする一方、香害についての報道は承知していない、協力したが、商品は推奨しているわけではないと回答しているそうです。  先日、世田谷区内中学校でも、企業からの柔軟剤の試供品を御自由にという形で、保護者会の際に置いていたと区民の方から伺いました。学校で配付されたものは安心と誤解を招く可能性があります。多治見市同様、企業にうまく利用されてはたまりません。香害の健康被害の原因物質として柔軟剤が上げられていることを学校の先生方が知らないということは問題ではないでしょうか。見解を伺います。 ◎塚本 副参事 子どもたちへ授業等を通じて適切に指導するためにも、教員が香害についての理解を深めることは大変重要なことと考えております。教育委員会といたしましては、世田谷保健所とも連携し、教員一人一人が香害の正しい知識を身につけることができるよう、化学物質の影響に関する情報を各学校に提供してまいります。 ◆金井えり子 委員 香りが原因で教室に入れない子どももいるそうです。先生方の御理解をいただくことが本当に重要なんです。どうぞよろしくお願いいたします。  そして、コロナ禍において、石けんでの手洗いが推奨されていますけれども、先日来、伺っていますが、手洗い石けんについても、香りのあるもの、合成のものなどがあります。養護の先生が購入を担当していらっしゃることが多いかと思いますが、環境に配慮という点だけではなく、子どもの健康を第一に、予防原則で純石けんの使用を求めます。見解を伺います。 ◎桐山 学校健康推進課長 学校の手洗い場で使用している石けんにつきましては、各学校で購入しております。なお、購入に当たっては、環境などに配慮したものを購入するよう、学校へ周知しております。  手洗いは、新型コロナウイルス感染症対策としましても、基本的な感染予防として励行しており、各学校では、例年以上に石けんや消毒用アルコールを設置するなど、手指衛生を保てる環境を整備しております。こうした現状におきまして、各学校には、環境に負荷を与えない観点から、引き続き、子どもの健康を第一に考え、環境や人体に影響が少ないものを選ぶよう周知してまいります。 ◆金井えり子 委員 学校、先生方が、コロナ対策、消毒作業などで御苦労があることは分かっています。よくやってくださっていると本当に頭が下がるところです。感謝いたしますけれども、その分、学校への信頼は本当に絶大なものなんです。お店で学校にある製品とかを見たら、子どもたちは、あ、学校で使っているやつだと言います。そうすると、じゃ、これにしようねということになるんです。たとえ試供品など、御自由にという形でも、家に持って帰った時点で、学校からもらった、学校で配られた、学校が勧めているということになってしまいます。学校の影響力の大きさを改めて認識していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  続いて、防災教育について伺います。  防災教育チャレンジプランという取組があります。全国から集まる防災教育の事例の中から、二〇一九年度は、子どもたちが自発的に防災に取り組む目黒星美学園が防災教育大賞でした。  防災というと、災害をイメージして、怖い、つらいといった気持ちになるが、防災と災害は真逆。防災は、これから起こる災害に備えて、やればやるほど救われる命が増える未来志向の取組。防災は希望である。防災を教えるだけではなく、防災で教えるという視点で行われているそうです。防災は生徒の活躍のチャンスが大きい、課題がたくさんある分、生徒が解決策を考える、いわゆるアクティブラーニング型の授業をつくりやすい、いろいろな教科との親和性が高く、授業内での学習が可能であるということで、社会、理科などと連携した防災教育の授業実践の報告がありました。  子どもたちが、自分に何ができるか、自分で考え、行動できるように、その場のことを考えて行動できるように、防災教育が重要となっています。通常の授業の中でもできる防災教育は、区立小中学校ではどのように進めているのか伺います。 ◎塚本 副参事 各学校では、東京マイ・タイムラインや、「防災ノート~災害と安全~」等を用いて、毎月一回の避難訓練等を活用しながら、防災に対する理解を深め、災害発生時の避難行動についての確認や、災害に対して、日頃から意識しなくてはならないことなど、自らどのように行動すべきかを考えることができるよう取り組んでいます。また、社会科や理科などの教科の学習におきましても、自然災害が起きる仕組みや、どのような現象が引き起こされているかなどの正しい知識を身につけると同時に、地域の取組や過去の事例を取り上げながら、万が一、災害が発生した場合に、地域の一員としての自覚や、助け合いの意識が持てるよう指導しております。  教育委員会では、子どもたちが地域防災に関心を持ち、災害時に自分たちに何ができるのかを考えることができる力や、自ら危険を回避する力を育成し、また、子どもたちが地域防災の担い手となるよう、引き続き働きかけをしてまいります。 ◆金井えり子 委員 今、地域の一員としての自覚という言葉がありましたけれども、子どもたちが本当にそういうふうに自分のことを思って、自分も一区民である、一市民であるというところで、地域防災に一役買ってくれるといいなと思います。地域の方々も、子ども発信ということであると、大人同士の関係よりも、うまく潤滑に進む場合もありますので、ぜひ子どもたちの防災教育を進めていっていただきたいと思います。  次に、特別ということではなくて、全ての子どもの個性が尊重されるような学校教育について伺います。  まず、特別支援教室すまいるルームの現状を伺います。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 特別支援教室は、平成二十八年度に区立小学校全校、平成三十一年度には区立中学校二十八校に導入し、令和三年四月の世田谷中学校への設置により、区立小中学校全校に設置が完了いたします。  これまでの通級指導学級における保護者の送迎の負担感や、在籍学級の授業を抜けることへの不安、他校で指導を受けることへの抵抗感などが解消され、また、在籍校の中に特別支援教室があることにより、保護者や教員の特別な指導への理解の促進につながり、小学校では、平成二十八年度の五百四人から、令和二年度には千三百四十人、中学校では、平成三十一年度の二百三十一人から、令和二年度には二百八十一人と、いずれも増加しており、今後も増加が見込まれております。このため、現在、小学校二十校、中学校六校の拠点校に教員を配置し、巡回指導を行っておりますが、令和三年度には、新たに小学校五校、中学校一校の拠点校を増設の予定をしており、巡回指導体制の強化に取り組むこととしております。  今後とも、児童生徒一人一人が抱える困難さに応じたきめ細やかな指導を行い、児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、特別支援教室のさらなる充実に努めてまいります。 ◆金井えり子 委員 すまいるルームの利用が増えているということなんですけれども、その有用性が広まったことと、これまで見えてこなかった困っている子どもが表に現れてきたということでしょうか。今後も増加が見込まれるということですが、果たしてこれはいいことなのかなというのがとても疑問です。  中学校のほうでは、今度、不登校特例校というのができるということですけれども、不登校特例校分教室型から、その後、学校という形になると伺っています。現在の不登校の子どもの増加は本当に心配ですけれども、フリースクールともちょっと違う、不登校特例校の子どもにとってのメリットを伺います。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 不登校特例校は、通常の教育課程に比べ、緩やかな教育課程を編成することができ、体験型の授業を取り入れたり、コミュニケーション能力を高めるための学習を充実するなど、不登校児童生徒の実態を踏まえた指導を行うことができます。また、法令に基づく正規教員が配置され、一人一人の学習状況に合わせた少人数指導や習熟度別指導などの指導上の工夫を行うことにより、教科などの指導が行われ、基礎学力の定着につながるものと考えております。  現在、不登校生徒の通級指導学級として運営されているひなぎく学級の生徒からも、不登校という経験を共有する生徒が同じ学校に通うことにより、安心感や仲間意識が生まれ、心の安定につながったとの声もございます。 ◆金井えり子 委員 こちらは本当に始まってみないと分からないのかもしれませんが、民間も含め、多様な学びの形を求める人が増えている現状を見ると、今の学校自体に課題があるのではないかと思わざるを得ません。子どもを学校に詰め込んで、教えたいことを押しつける教育からそろそろ転換していく時期かなというふうに思います。子どもたちはそれぞれに個性があり、それを伸ばすことこそ、今の学校教育に必要なことだと考えます。引き続き学校教育については注視していきます。  続いて、新教育センターの乳幼児教育支援センターについて伺います。  世田谷区立教育総合センター運営計画素案を読みました。乳幼児の資質・能力を育む環境づくりという項目の中で、幼児教育環境支援専門員―アトリエリスタという名前が出てきました。この方は具体的にどのような活動をするのか、この方の役割の意義、現状や今後などについても伺います。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 区では、昨年度より、美術等の専門家を乳幼児期の教育、保育の現場に派遣し、施設の環境づくりや、様々な素材を活用した芸術創作活動等を通した、子どもたちの非認知的能力の伸長や、保育者のスキル向上を支援することを目的として、アトリエリスタの派遣事業に取り組んでおります。  アトリエリスタの派遣につきましては、昨年度は区立保育園二園へ試行的に実施いたしましたが、今年度につきましては、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、感染症対策に十分配慮しながら、現時点では、十一月以降に数園の幼稚園、保育所等で実施することを想定しております。令和三年十二月の教育総合センター開設以降は、乳幼児教育支援センター機能の一つとして、幼稚園、保育所等へアトリエリスタを派遣し、子どもたちが文化芸術に触れることができる環境づくりに取り組んでまいります。 ◆金井えり子 委員 昨年の第四回定例会では、レッジョエミリア市の取組を参考にするとしながら、本質が見えてこないというふうに質問させていただいたんですが、レッジョエミリア市のローリス・マラグッツィ国際センターでは、自然とデジタルが融合した取組をアトリエリスタが手助けして、子どもの活動を広げているということでした。日本でも、そして、この世田谷でも、芸術の専門家、幼児教育環境支援専門員―アトリエリスタが活躍してくださるんですね。こちらに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  そして、ICT化などはコロナ禍で本当に加速していますけれども、今の子どもたちは、生まれたときから周りにスマホ、パソコンなどが当たり前のようにあります。放っておいても、どんどん身につくことと思います。それよりも新教育センターはもっと先を見ていてほしい。これから足りなくなってくるものは何でしょうか。自然を体験、体感することではないかと思います。特に乳幼児の頃は、五感を生かして、持っている力を伸ばす時期です。目で見て、手で触って、時に口に入れてみたり、風を感じてみたり、そうして体験した感覚をベースに、文化芸術などのエッセンスが乗せられていくことが大切と考えます。見解を伺います。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 区では、乳幼児期からの体験的な学びを重視し、教育総合センターの乳幼児教育支援センター機能としても、遊びや生活の中で様々なことを体験、体感することを通して、子どもたちが非認知的能力など、これからの社会を生き抜く力の基礎を培うことができる環境の構築に取り組むことを想定しております。  この一環として、文化芸術や外遊びなどの取組を重視しながら、幼児期からICTにも触れ、そのことを通して新たな発見や様々な体験をすることができる環境づくりについても、幼稚園、保育所等の状況も踏まえながら、検討、研究を進めてまいりたいと考えております。  区といたしましては、非認知的能力等の育成に向けて、五感を使う様々な遊びや体験、ICTの活用など、多様な手法により、子どもたちの体験的な学びの支援に取り組み、特色ある教育、保育の実践を図ってまいります。 ◆金井えり子 委員 乳幼児の頃、特に乳児、そして、本当に小さい幼児の頃は五感が大切だと思います。こちらの感覚を本当に大事にしていただきたいと思います。そして、そこに芸術を乗せていただく。本当にこれは切望いたしますので、よろしくお願いいたします。  そして、生活者ネットワークでは、これまでも行きたくなる学校づくりという視点を持って、ずっとやってまいりました。特別支援の問題など、今まで様々質問させていただきましたが、全て行きたくなる学校づくりを中心として、今考えています。ハード面についても、子どもを温かく迎え入れる学校施設を求めてきました。木のぬくもりは、心を落ち着かせ、ほっとできる空間をつくります。  世田谷区公共建築物等における木材利用推進方針というものが令和二年四月から施行となっていると聞きました。こちらを読ませていただきました。公共建築物の木材利用は、自然環境、防災、CO2削減対策など、本当に幅広い意義を持つことは言うまでもありません。森林環境譲与税については、この決算特別委員会でも、生活者ネットワークの高岡、田中から質問をしていますけれども、これを基金として、学校施設の木材利用など、森林環境譲与税の真の目的に合った使い方を求めます。学校が本当に木の香りで包まれるような、自然のものでできたら、本当にすばらしいと思います。方針にのっとり、木材を使った学校づくりを積極的に進めていただきたいと思います。見解を伺います。 ◎秋元 副参事 学校施設の整備につきましては、内装等の木質化によりまして、温かく快適で落ち着きのある学習環境の創設という観点からも、可能な限り木材を利用してまいりました。委員お話しのとおり、本年四月一日から世田谷区公共建築物等における木材利用推進方針が施行されまして、一層の木材利用の促進が求められているところでございます。  教育委員会では、これまでも普通教室をはじめ、図書室、音楽室、多目的室、体育館などの居室の床を中心に、また、内装や棚などの家具の木質化にも努めておりますが、例えば改築された若林小学校の校長室に設置しております応接テーブルを、川場村の木材を活用して制作するなどの工夫にも取り組んでいるところでございます。  木材利用につきましては、東京都からも多摩産材の活用が求められておりますが、国産材調達に当たりましては、建築コストに加えまして、維持管理等のコストを含むライフサイクルコストにも十分配慮する必要がございます。今後も、地球環境等への視点を持ちながら、コストとともに、調達産地の選定、施設の木材使用箇所などを総合的に勘案しまして、これからも取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆金井えり子 委員 ありがとうございます。  多摩産材の活用のときには、東京都から何か補助が出るんでしょうか、伺います。 ◎秋元 副参事 今、東京都のほうからも補助金をつけて、利用してほしいということで、ぜひ使ってほしいというような要望が来ております。 ◆金井えり子 委員 そういった補助金などを利用して、ぜひ木材利用をどんどん進めていっていただきたいと思います。  それから、大きなものではなくて、川場村の木材を利用して、テーブルなどを作っていらっしゃるというふうに伺いましたけれども、これは移動教室で行った川場村の木材で作ったものだよというのを聞いたら、本当に子どもたちは、あ、そうだなという温かい気持ちに包まれることと思います。そういった取組をどんどん進めていっていただいて、教育として、子どもたちの心も豊かに包んでいっていただきたいと思います。  以上で生活者ネットワークの文教所管の質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、減税せたがや、どうぞ。 ◆あべ力也 委員 それでは質問してまいりますが、まず、小中学校でタブレットをこれから導入するということでございまして、この件については、文教常任委員会の中でもいろいろ質問させていただいていますが、引き続きその件について質問します。  国もデジタル化の流れの中で、紙ベースからデジタル化しようという動きが大変加速をしております。そういう中で、教育の現場では、タブレットを小中学校全員に配付をするということでありますので、今まで紙ベースで児童生徒に持たせていたようなものをタブレットに統合するということがこれからは可能になってくるということで、例えば生徒手帳であったり、世田谷の場合には児童手帳というのはないんですけれども、私の通っていた小学校は児童手帳というのがありました。ですから、小中学生に、そうした学校の決まりであったり、いろんなことが書いてある児童手帳をタブレットに入れてしまうということは可能だと私は思いますので、これはぜひやっていただきたいと。  それと併せて、いじめの相談であったり、心の悩みの相談、DV、そういった場合にどうすればいいんだよというようなことを紙ベースで児童生徒に提供しているものがあると思いますけれども、こうしたものも全部タブレットに入れてしまうということは可能だと思いますので、そういうような取組をぜひしていただきたいと思うんです。まず、これについて回答をいただきたいと思います。  それと、国がデジタル庁もつくって、デジタル化を推奨しておりますので、世田谷区全体としても、これからはデジタル化を加速してくるということでありますけれども、教育委員会は区の組織とは別組織なので、区のほうのデジタルに関する担当所管が教育現場に関してのデジタル化を進めるということではなくて、教育委員会の中で、デジタル化に関する考え方というのを進めていかなくてはならないと思うんですけれども、そういう所管はどこが担当していくのかということも併せてお伺いしたいと思います。
    ◎毛利 教育指導課長 まず、児童生徒手帳のことについてお答えしたいと思います。  現在、中学校で活用されている生徒手帳は、生徒の身分証明、学校での決まり事の記載、学校と家庭との連携、連絡など、様々な形で用いられております。小学生には、現在、生徒手帳のようなものはありませんが、学習や生活の決まりなどの資料は各家庭に配付をしております。  今後、児童生徒一人に一台のタブレット端末が配置されることで、例えば学習や生活の決まりだけでなく、困ったときの相談先や、子どもの権利条約などの情報についても、タブレット端末からアクセスして確認することが可能になります。さらに、今までは面談や電話などで受けた相談内容を紙などに記録、保存してきたいじめ相談、心の悩み相談、DV・虐待相談などについても、タブレットを活用することで、どのようなことが可能なのかを研究してまいります。  配置されるタブレット端末の活用については、文部科学省が学校でのICT活用に向けて検討を進めているスマートスクール構想を見据え、校長会とも連携して検討してまいります。  私からは以上です。 ◎淺野 教育総務部長 デジタル化の推進につきまして、教育委員会としての立場ということで御質問いただきました。  デジタル化という話につきましては、先ほどデジタル庁の話もございましたが、行政手続のデジタル化という話の部分は、教育委員会も絡みますが、そちらについては区全体で取り組む必要があると思いますので、区長部局との連携といいますか、そういった形で政策を展開していく形になると思います。  それから、学校教育の部分でのデジタル化ですけれども、こちらにつきましては、ハードの部分とソフトの部分がございますので、そういったものが機能的に動くように、組織体制を含めまして、どういった形がいいのか検討してまいりたいと思います。 ◆あべ力也 委員 児童生徒に向けたデジタル化だけではなくて、教員のルーチンの仕事が効率化をするということでのデジタル化のメリットというのはすごく大きいと思いますので、特に教員が忙しいというようなことをデジタル化することによって、効率化を進めていくということは必要なことだと思いますので、ぜひその点も検討していただきたいと要望しておきたいと思います。  それと、文科省が学校のコロナ感染予防の対策として、少人数学級というようなことを検討しているということですけれども、世田谷区の場合には、どちらかというと、子どもの数が増加をしていて、教室が足りないというような学校もあるという中で、少人数であったりということを検討していくということは、そもそも施設整備の計画の方針等を見直す必要もあるというふうに考えますけれども、この点をまず伺いたいということ。  あと、これから冬を迎えるに当たって、学校の密を解消するという少人数の問題ももちろんですけれども、換気をしていくということで、この会議室も窓を開けていて、寒いところの方は寒いというような状況なんですけれども、教室の換気の問題とか、少人数の問題とかも含めて、どういう今後の対策を考えていくのかということを伺いたいと思います。 ◎青木 教育環境課長 学校の整備に当たりましては、公共施設等総合管理計画、また、建物整備・保全計画にのっとりまして、計画的に整備検討を進めることとしてございます。老朽化対策や児童生徒の増加への対応とともに、少人数学級は、まだ国の方針は確定してございませんけれども、多様な学習環境の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。 ◎桐山 学校健康推進課長 教育委員会では、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインを作成しまして、換気につきましても記載しております。換気は、可能な限り常時、困難な場合は小まめに、二方向の窓を開けるなど、工夫するようお伝えしております。  これから寒い季節になってまいりますけれども、このように適切に換気を行いつつ、空調や衣類による温度調節を含め、温度、湿度の管理に努めるとともに、手洗いやうがいの励行など、体調管理に努めることも重要であると考えております。 ◆あべ力也 委員 子どもたちの学習環境の維持のためにしっかり取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十時五十五分休憩    ──────────────────     午前十一時十五分開議 ○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  レインボー世田谷、どうぞ。 ◆上川あや 委員 昨年二月、当区を被告に起こされた、とある区民女性の雇用形態の偽装をめぐる裁判について伺います。  まず、当時、提訴を報じた都政新報から、その一部を読み上げます。訴状などによると、女性は二〇一一年十二月から区立桜丘幼稚園で勤務、二人の職員が週二、三日ずつ、交代で勤務していたが、書類上、二人は隔月で勤務していることになっており、実態と異なっていた。また、賃金は一人に支払われ、二人が案分する状態だったといい、原告側は労働条件明示書や出勤状態報告書などに偽装があったと主張している。書類上、女性が勤務するのは奇数月だったが、女性が解雇されたのは一七年四月で、本来なら勤務していないはずの偶数月であり、原告側は解雇の無効を主張、女性は、不当な雇用契約を長期に強いられている非正規職員の環境が少しでも改善されればとコメントしている。引用は以上です。  まず第一に、今読み上げた提訴が議会に報告のなされたものであるのかを確認します。  次に、読み上げた雇用形態の偽装も事実であれば大問題ですが、同裁判の関係者からは、区もその偽装の事実については争っていないと伺っています。基本、そのような理解でよいでしょうか。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 令和元年五月二十八日の文教常任委員会でも御報告いたしましたが、提訴があったことは事実であり、現在、訴訟係属中でございます。  委員御指摘の記事の中で取り上げられております、平成二十九年四月当時の区立幼稚園における事務を補助する臨時職員の任用形態につきましては、一か月置きに任用するという制度上の運用が繰り返されておりました。その上で、関係者への事情聴取の結果、実際上の勤務は一か月置きではなく、任用月に当たらない月においても勤務していたという事実もあったことを確認しております。 ◆上川あや 委員 原告側は労働条件明示書や出勤状態報告書などに偽装があったと主張されていますが、区で整えた書面と勤務実態との間に乖離があったということも事実なわけですよね。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 平成二十九年四月当時、書面上の任用形態と勤務実態との間に乖離が認められたことは確認しております。 ◆上川あや 委員 つまり、書面上、雇用形態の偽装もあったということだと思います。ようやく確認が取れました。  では、それらは同幼稚園だけの誤った扱いだったのか、それとも、区教委了承の下、組織ぐるみの不正だったのでしょうか。どこまで広がっていたのかも併せて説明を求めます。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 制度上の任用形式と異なる任用実態となっていた点につきましては、平成二十九年五月時点において、当該幼稚園だけではなく、九園全ての幼稚園で合計十九名の臨時職員の方々の任用について、そのような事実があったことが確認されております。また、その後の調査で、教育委員会内の他の臨時職員の任用手続について、幼稚園以外については、任用形式と異なるような不適切な任用実態はなかったことが確認されております。  このような運用の開始時期は不明ですが、以前から長期にわたり行われていたと思われます。幼稚園現場におけるこのような任用手続について、教育委員会として、どの時期に、どこまで認識していたのか、正確には分からない部分がございますが、平成二十九年度当時の幼児教育・保育推進担当課長は、平成二十九年四月に着任後、早期に現場の運用状況を把握したと聞いております。その上で、この方からの申出などに基づき、このような運用につき、速やかに調査を行い、平成二十九年度に見直しを行っており、勤務実態に合わせたものに改善をしております。 ◆上川あや 委員 同裁判の進行協議では、区も原告側も和解を裁判所側から勧められていると伺っています。本件が裁判にまで発展した背景には、区からはきちんと謝罪すら受けていないという原告側の怒りがあるといいます。区の原告に対する雇用形態の偽装が現実にあった以上は、区に非があることは明らかであって、区には、当然、謝罪しなければならない責任があると思います。  ところが、区は、本件が裁判に発展する以前、担当課長から原告に謝罪した経緯はあったと私に説明をする一方で、同裁判となって以降は、謝ろうとする姿勢を見せていない、そのため、原告側は、反省する様子もなく、極めて不誠実で、また同じことが繰り返されるのではないかと不信を募らせている、そのように伺っています。  区のしたことに誤りがある以上は、納得が得られるよう、謝罪の意は示してはいかがなのでしょうか。一度謝った以上、二度と謝らないという考え方もないのではないのですか。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 提訴される以前の平成二十九年度に、当時の幼児教育・保育推進担当課長とその方とは数回面談をしております。その際に、不適切な任用があった点については、その方に謝罪をしております。また、任用形態を改善したことを御説明いたしました。  再度の謝罪ということでございますが、現在、訴訟係属中であることも踏まえて、訴訟の進行の中で適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆上川あや 委員 こちらは裁判を組織として対応しているわけですけれども、相手方は個人の方で、かなり負荷がかかるということを伺いますので、ぜひ誠意ある対応をお願いしたいと思います。  最後に、本件類似の雇用形態の偽装はもうないと断言ができるのでしょうか。再発防止に向けた決意と、それを担保するすべがあるのかどうかを確認いたします。 ◎本田 幼児教育・保育推進担当課長 このような不適切な雇用形態はもうございません。教育委員会内では、本件が判明した後、全ての幼稚園を含めた教育委員会内全体の臨時職員の任用手続について、各課に緊急点検を行い、このような不適切な任用手続はないことを確認しております。  また、今年度より会計年度任用職員制度が導入されました。本制度の導入は、各地方公共団体における統一的な取扱いを定め、今後の制度的な基盤を構築することにより、臨時・非常勤職員制度の適切な運用を確保しようとするものであります。そして、その適正な実施が、委員御指摘の再発防止の担保につながっていきます。幼稚園も含む教育委員会内全体において、本制度を正しく理解した上で、適正な任用手続を行うとともに、各会計年度任用職員の任用実態の把握を十分行ってまいります。  区立幼稚園は、常勤職員である教諭だけではなく、多くの非常勤職員等により運営されております。職員の任用は、働いていただいている方をはじめとして、園児や保護者と区との信頼関係の根本であり、このような不適切な任用はあってはならないことです。今後とも、各幼稚園における職員の勤務の状況などをよく確認し、職員の適正な任用に努めてまいります。 ◆上川あや 委員 御自身のお子さんがお世話になったからということで、園長先生からのお誘いに応じて、協力したいという気持ちでここに勤務なさったそうです。やっぱりこういう不誠実なことは二度とないように、反省に立った御答弁をいただいたとは受け止めましたけれども、重ねて不正が看過されることがないようにお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。 ◆ひうち優子 委員 本日は、小中学校へのサーモグラフィーの導入について伺います。  コロナ対策として、民間企業や飲食店舗、スポーツクラブ、また、私立の小中学校では、次々とサーモグラフィーを導入しております。  サーモグラフィーを導入するメリットとして、まず、発熱がないことをその場で瞬時に証明できること、そして、そのことで、一定の空間内において、無症状の方を除き、感染リスクがないことを証明することで、人々の感染に対する不安を取り除くことができます。  現在、小中学校では、子どもたちは家で検温して、体調について、その日の様子を紙に書いて登校することになっていますが、自主性が求められることですので、一人一人の検温行為を信じることになり、人間ですから、時には検温しないままの登校もあり得ます。  サーモグラフィーの導入により、安全性がより担保され、抑止にもなります。また、サーモグラフィーがあるから、無理をせずに早く寝ようといった健康管理にもなります。また、ただ検温するだけでなく、今は顔認証や自動扉との連動といった様々な機能があり、顔認証の機能を使うことで、登校の出欠管理にも使えると考えます。そのほか、自動扉と連動させることで、発熱がある場合には自動扉が開かないといったように、様々な用途で使えます。  このようなサーモグラフィーのメリットを踏まえ、世田谷区立小中学校へのサーモグラフィーの導入について見解をお伺いいたします。 ◎桐山 学校健康推進課長 現在、学校では、学校運営を継続して行うため、教職員、児童生徒、保護者、その他の学校関係者全員が新型コロナウイルス感染症対策を徹底して行っております。具体的には、手洗いや消毒、換気の徹底、三つの密を回避するなどを実施しております。特に登校前の児童生徒の健康状態を把握するため、毎朝、検温と風邪等の症状の確認を保護者に依頼し、健康観察表に記入して、学校に提出をいただいております。  なお、登校時に検温等が確認できなかった児童生徒に対しましては、学校で検温を実施し、風邪の症状等を確認しております。このことは、出勤時の教職員につきましても、同様の対応を取っております。  お話のサーモグラフィーの導入の件についてでございますが、学校には既に配備している接触型検温器に加えまして、今年度は非接触型検温器も教育委員会で一括して購入し、登校前の検温等の確認ができなかった児童生徒に対しても対応できるよう取り組んでおります。したがいまして、現在の状況におきましては、サーモグラフィーの導入は慎重に判断したいと考えておりますが、引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、学校の声を十分に聞きまして、必要な対策を実施してまいります。 ◆ひうち優子 委員 民間企業では、サーモグラフィーを入れることが信頼の一つのバロメーターという流れになっておりまして、かなり導入が進んでいると思います。検討を要望いたします。  次に、使いやすい図書館ホームページについてお伺いいたします。  コロナ禍、世田谷区の図書館をよく利用されている学生の方から、次のような御意見をいただきました。世田谷区立図書館の本を予約するページがとても使いにくいです、戻り方も探し方も分かりにくい、もう少し見やすくしてほしいというものです。  コロナ禍で、図書館の館内利用が難しく、このページから本を予約している人も多いと思います。ホームページの改善について、区の見解をお伺いいたします。 ◎谷澤 中央図書館長 現在の図書館ホームページは、平成三十年に大幅にリニューアルしたもので、月に四十万件程度のアクセスがあるなど、多くの方に御利用いただいております。  資料の検索方法や予約方法などについて、利用者の方からお問合せや御意見をいただくこともございます。すぐに改善できることは随時対応しておりますが、システムの改修が必要であったり、過去の貸出記録が見たいなど、個人情報保護のため、直ちに対応するのは難しい御要望も寄せられております。また、御案内を掲載していても、ページが探しづらいため、読んでいただけない場合も多く、利用者の方にとって分かりやすいホームページ構成にすることの重要性も認識しているところでございます。  今後、システム改修が必要な事項については、利用者要望や必要性を十分検討するとともに、ホームページの構成や文章の分かりやすさなどにも配慮し、使いやすく分かりやすい図書館ホームページに努めてまいります。 ◆ひうち優子 委員 よろしくお願いいたします。  次に、大学図書館との連携について、過去質問した内容について、進捗状況について伺ってまいります。  以前に区民の方からの次のような御意見を取り上げました。国士舘大学の図書館をたまに利用するが、大学の図書館は学部の専門的な本があるので面白い、他の大学、専門学校の図書館も利用させていただきたい、また、貸出しは難しくても、閲覧だけでも可能にしてもらいたいというものです。  世田谷区は現在、十二の大学と大学図書館の利用について協定を結んでいます。大学は専門的な書籍もそろっていることから、大学図書館を利用することで、区民の方の教養力にもつながるが、大学図書館との連携を知らない方もいらっしゃり、図書館ホームページに、どの大学と連携をしているのか、許可制なのか、どういった分野の本が置いてあるのか、閲覧だけか、もしくは貸出しも可能かといった、それぞれの大学図書館との連携データをリスト化して、ホームページで広く区民の皆様にお知らせをしてほしいとの質問をいたしました。その後の進捗状況と、区内全ての大学と連携できるように、連携の拡充についてお伺いいたします。 ◎谷澤 中央図書館長 大学図書館との連携につきましては、現在、十二大学と利用協定を結んでおります。紹介状が必要な場合は区立図書館で発行を行い、区民の方がこれらの大学の図書館を利用できるようになっております。利用協定を結んでいる大学図書館につきましては、各大学図書館を利用するに当たり、紹介状を要せず、図書館が利用できるところや、必要な書類や注意点などをまとめた一覧を図書館ホームページに掲載して、確認できるようにしております。  現在、コロナウイルス感染症拡大防止のため、区民の方が大学図書館を直接利用できない状況となっておりますが、この状況が改善した際は、協定を結んでいる各大学図書館の区民利用について、一層分かりやすい情報提供に努めるとともに、委員お話しの区内大学との連携拡充についても、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆ひうち優子 委員 区民の方ができるだけ大学図書館も使っていただけるようによろしくお願いいたします。  次に、梅丘図書館の整備についてお伺いいたします。  新たな形の滞在型図書館について、世田谷図書館に次いで、二つ目の改築となる梅丘図書館ですが、コロナ禍において、事業が延期されました。  梅丘図書館は、敷地の広さ、豊かな緑といった環境の観点からも、自動貸出し、返却、また、Wi―Fi、ビジネスコーナー、閲覧席、電源、会議室、集会室、カフェといった様々な機能を網羅した、実質的に滞在型図書館第一号とも言えます。  周辺住民の方の期待も高いのですが、延期を知らない方もいらっしゃいました。区民の方への延期の周知と着実な整備を求めますが、見解をお伺いいたします。 ◎谷澤 中央図書館長 梅丘図書館の改築は、財源確保のため、緊急見直しにより、三年間延期をいたしました。  委員御指摘の広報、周知についてですが、まずは町会・自治会、商店街や、改築基本構想時のワークショップ参加者など、近隣の方々等へ延期について周知をさせていただいております。今後、改めて区のホームページや梅丘図書館の掲示等により周知してまいります。  今後、関係部署と調整の上、改築計画の詳細が決まりましたら、近隣への周知に加え、ホームページ、広報での周知を図り、改築に向けて、しっかり準備を進めてまいります。 ◆ひうち優子 委員 よろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。 ◆そのべせいや 委員 図書館のメディアセンター化ということについて伺います。  世田谷区の図書館は、知と学びと文化の情報拠点というビジョンを掲げていますが、改めて、再度、最新版の区立図書館の予約数の上位五十を見ると、八割以上が二〇一九年・二〇二〇年発売の本となっており、ジャンルも、小説が六割、その他もメディアをにぎわせる実用書などが中心となっています。  一方、二〇一五年には、大手出版社、新潮社の社長が図書館に対し、ベストセラーの大量購入や新刊購入自粛の要請、二〇一七年には同じく文藝春秋社の社長も文庫本の貸出停止を要請しています。この背景には、出版物の流通額減少があり、全国出版協会の統計によると、二〇〇一年の取次ぎによる流通額は、書籍一兆弱、雑誌約一兆四千億であったのが、二〇一九年には、書籍は約三分の一減少、雑誌は半減という大きな危機感があります。  世の中の情報が紙媒体から多様なメディアへ、また、活字から音声、映像に変化をしていることで、紙媒体はさらなる減少が予測され、図書館の情報収集も書籍を原則とする考えを見直すことが必要です。  駒澤大学の山口浩教授のウェブメディア、シノドスへの寄稿によると、そもそも公共図書館は、誰でも自由に情報にアクセスできる権利を保障し、民主主義社会を支えるインフラとして定着をしてきたとのことで、無料で利用ができるのも、衣食住が満たない時代の労働者へも、貧富の差を問わず、情報へアクセスできる権利の保障、中産階級が有料の貸本屋で得ていた娯楽や教養を当時の労働者への解放という意味合いだったとのことです。  欧米での公共図書館の成立から百五十年以上、また、日本での図書館法の施行から七十年が経過をし、図書館、そして、蔵書の持つ意味について、情報へのアクセス、娯楽の役割という観点でも大きく変化しています。娯楽については、テレビの登場以降、広告モデルが定着し、消費者は無料で様々な娯楽を入手でき、本や貸本屋の料金が日当相当といった時代から、最低賃金一時間で様々な娯楽が得られる世の中になっています。また、先ほど引用したウェブメディアも含め、インターネット上にも紙と同等以上の言論空間は存在し、デジタル資料の収集や利用も今後必要な観点であると考えます。  今回、電子書籍を導入することは望ましい方向性ですが、インターネット上に有料で流通する情報も、電子書籍に限らず、記事一本単位での販売、オンラインサロン、また、新聞等の既存メディアもオンライン限定記事を配信していたり、形式は多様化しています。まずは情報価値が明らかなビジネス誌、専門誌のオンラインライセンスなどを皮切りに、有料情報のライセンスを区立図書館が契約し、本以外の情報を区民が入手、民間の研究や経済活動を支援することができないか、また、図書館の機能が変化をする中で、これまでも機会のない区民へ、ウェブサイトのブラウジングを目的にパソコンを利用提供していましたが、既に社会に普及しているオフィス用ソフトにとどまらず、デザインや動画編集ソフト、また、ゲーム・アニメーション制作ソフト等の教育施設・研究機関向け有償・無償ライセンス契約を行い、この先の時代に合わせた区民の知的インフラとして機能を拡大できないか伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 現在、図書館資料の情報提供を補完する目的で、インターネット閲覧端末を中央図書館と経堂図書館に各五台、ほかの地域図書館には各一台設置しております。中央図書館、経堂図書館では、新聞記事検索や雑誌・論文検索のできる有料のオンラインデータベースを図書館で契約し、利用者の方の調べ物等に御活用いただいているところです。  オンラインデータベースや、それ以外の有料サイトにつきましても、図書館に必要なものについては導入を検討してまいりますが、個人利用や企業利用とは違い、不特定多数の利用者が想定される場合、価格が高額に設定される場合が多いようです。また、パソコンソフトの利用につきましては、パソコンの設置台数が少ないこともあり、利用時間に制限を設けており、長時間にわたるパソコンでの作業は難しい状況にあります。  今後も、インターネットを活用した情報提供の重要性は増えることから、図書館ビジョンの基本方針の一つでもあります、暮らしや仕事に役立つ図書館の実現に向け、中央図書館の機能拡充の機会を捉え、図書館でのインターネット活用や、パソコン設置環境の改善など、図書館のICTを活用した情報提供の充実に取り組んでまいります。 ◆そのべせいや 委員 今回、改めて世田谷区立図書館資料管理規程を見てみると、七条、収集方針の三項には、「世田谷区に関する資料は、特に収集に努めなければならない。」と定められていますが、紙以外の媒体やデジタルデータも含めた考え方へ前提を切り替えるべきではないでしょうか。従来は選書こそが資料の収集とされていましたが、今後は、インターネット上の情報の保存や、郷土資料についても、写真や動画による町の記憶のアーカイブかもしれません。  最近、バブル期の東京の風景を写した記録映像がユーチューブ上で話題になっていますが、当時は何気ない風景だったとしても、三十年たつと、例えば駅の有人改札や、再開発で消滅したエリア、町なかの懐かしのファッションに身を包んでいる光景など、ノスタルジーに浸るだけでなく、当時の世相を切り取る資料にまで価値は昇華していると感じています。  現在、区がデジタル化を進めているのは、昭和の後半に区が作成した資料のスキャンだそうですが、過去、現在の世田谷を後世に残すべく、紙資料にこだわるのではなく、臨場感を感じられる写真、動画をアーカイブしていくことも、未来に対して価値が高いと考えますが、区の資料収集方針を変更できないか伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 図書館におきましては、図書等の紙資料にとどまらず、様々な手法による区民への情報提供、情報へのアクセス環境の整備は重要であり、インターネット利用者端末設置や、Wi―Fi環境の整備、中央図書館、経堂図書館での商用データベースの利用提供などを行ってまいりました。また、第二次図書館ビジョンに基づき、行政資料のデジタル化も進めておりまして、今後は、ホームページのデジタル資料の公開等を検討しているところでございます。  行政資料以外の区民活動に関する資料や、区民団体等が発行した地域資料についても、紙資料の収集を拡充するとともに、著作権の問題がクリアできたものについては、デジタル資料の収集、公開等にも順次取り組んでまいります。十一月から実施予定の電子書籍サービスとともに、デジタル資料など、紙資料以外のメディアも積極的に収集し、知と学びと文化の情報拠点としての図書館の充実に取り組んでまいります。 ◆そのべせいや 委員 ぜひ活字以外も進めていただければと思います。  一方で、先ほど引用した区立図書館資料管理規程の八条には、「次に掲げる図書館資料の収集は、慎重に行わなければならない。(1)児童、生徒及び学生を対象とした学習問題集」と掲げられています。教育格差、そして、格差の再生産になると叫ばれる時代であること、また、学校に行かない、行けない子どもから、勉強をしたかった人や、改めて資格、スキルの取得を目指す人のリカレント教育まで、学習資料を導入することで前進する教育委員会所管の社会課題は多岐にわたると考えますが、学習問題集等の収集をしない理由、規定をつくってまで規制している理由について、また、今後、電子書籍等、デジタル資料導入をする中で、平面の書籍形式だけでない、アプリ、動画等も含め、学習用の資料が利用できる形にすべきであると考えますが、見解を伺います。
    ◎谷澤 中央図書館長 資格試験や学習のための参考資料や問題集は、多種多様であるとともに、個人利用のための資料という性格が強いこと、また、書き込みや切取り等の破損のおそれが大きいため、図書館の蔵書としてなじまないため、資料選択の対象外としております。  現在、導入を進めております電子書籍サービスにおいては、そうした懸念が解消するため、資料選択の対象として検討してまいります。 ◆そのべせいや 委員 今回、図書館法があるので、図書、書籍ということは仕方ないという考えに立たれるのかもしれませんが、紙からデジタルに、あるいは、映像に、音声に、様々メディアが移り変わっておりますので、区民の利用しやすい形に、組織、内容も改めていただければと要望して、終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で都民ファーストの会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、区民を守る会、どうぞ。 ◆くりはら博之 委員 私からは、新型コロナウイルス感染症に伴う学校の休校に起因した子どもたちの学習格差の問題と、学校における感染防止策について質問をいたします。  新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言により、小中学校は長く休校となり、宣言解除後、続々と再開されましたが、例えば隣の大田区と比べても、休校になった期間や夏休みの期間が世田谷区は長く、ほかの自治体に比べ、子どもたちの学習に格差が生じているのではないかと心配します。  区内の子どもに学習に遅れが生じてはなりません。この学校休業期間の違いによる学力低下の実態はどうなっているのかをお伺いいたします。 ◎毛利 教育指導課長 区立小中学校は、長期の休業期間、分散登校期間を経て、六月下旬から通常の教育活動を実施しております。教育活動の再開後、各学校からは、これまで全体的な学力の低下についての報告はありませんでしたが、児童生徒の学習の定着状況については個人差が見られたとの報告がありました。そこで、八月の夏休み中に十日間の補習授業を実施することで、子どもたち一人一人の学習状況に応じた支援を充実させることにしました。小学校では約四〇%、中学校では約二五%が補習授業に参加し、学校現場からは、苦手な学習の克服につながったとの報告も受けております。  九月からは土曜授業を月二回実施することで授業時間を確保するとともに、一人一人の学習状況を丁寧に見取り、必要に応じて個別に支援を行うことで、学習内容の定着を図ってまいります。 ◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。  学校再開後も、感染のため、学級閉鎖のあった学校もあったとお聞きいたします。とりわけ、その際の自宅学習は、家庭環境に大きく左右され、経済的に困窮している家庭の子どもほど影響を受けやすいとも言われています。  そこで、学級閉鎖中にどのような学習支援を行ってきたのかお伺いいたします。 ◎毛利 教育指導課長 学校において罹患者が確認された場合は、保健所の指導を踏まえ、学級閉鎖とする場合や、個人単位で登校停止とする場合があり、日数や対象学年なども様々です。  教育委員会では、各家庭にタブレット端末を臨時貸与するとともに、学校と相談の上、感染症への罹患や、濃厚接触者として登校することができない子どもの人数、学年に応じた学習支援を実施しております。例えば電子会議システムを用いて、朝、子どもたちの健康観察や、その日の学習予定の連絡などを行い、夕方には学習状況の確認を行ったり、また、学習支援ソフトで学習課題の配付、回収、採点を行ったりしております。  今後も、感染症による学級閉鎖などに備え、オンラインでの動画配信など、支援メニューの充実に取り組み、子どもたちの学びを止めない支援を行ってまいります。 ◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。  次に、学校で子どもたちの間で感染が広まらないようにするための対策についてお聞きいたします。  学習塾におけるオンライン授業などを受けられる家庭では、学校での感染を恐れて、子どもたちを学校に通わせない親もいるようです。  事実、緊急事態宣言解除後に学校が再開された後に、教員や児童生徒の陽性者の発生により、再び学校単位や学年単位などで臨時休校になる学校もあります。学校での子どもたちの感染防止、また、教員の感染防止のため、どのような対策を講じているのかお伺いいたします。 ◎桐山 学校健康推進課長 新型コロナウイルスは、七月に入り、感染が再び拡大し、長期的な対応が求められている状況です。こうした中でも、持続的に児童生徒の教育を受ける権利を保障していくため、学校における感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減した上で、学校運営を継続していく必要があります。  教育委員会では、国や東京都のガイドラインなどを踏まえ、学校、園における新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインを作成し、感染症拡大防止に向けた対策を行っております。具体的に、学校では、三つの密、いわゆる密閉、密集、密接を避け、マスクの着用や手洗いなどの手指衛生をはじめ、多くの児童生徒等が手を触れるドアノブなどの消毒など、基本的な感染対策を徹底しております。  また、登校前の児童生徒の健康状態を把握するため、毎朝、検温と風邪等の症状の確認を保護者に依頼し、健康観察表に記入して、学校に提出いただいております。登校時に検温等が確認できなかった児童生徒に対しましては、学校で検温を実施し、さらに、教職員につきましても、出勤前に検温を行い、風邪の症状が見られる場合は、それぞれ登校や出勤を控えてもらうなど、学校が再開されてから現在にかけ、継続した感染予防対策を実施しております。  引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、現場である学校の声を十分に聞き、状況に応じた必要な対策を実施してまいりたいと考えております。 ◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。  以上で質問を終わりにします。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で区民を守る会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。 ◆青空こうじ 委員 私は、毎朝、地域の方々と一緒に小学校の通学路に立って、子どもたちに、おはよう、行ってらっしゃいと元気よく声をかけています。子どもたちの様子を見て、学校と地域と家庭が共に手を取り合って子どもたちを見守り、育てていくことの大切さを強く感じながら、今日も寒い雨の中、立ち番をやってきました。新型コロナウイルスの影響で、学校が三か月間休校したときには、子どもたちの元気な姿を見ることができなかったので、それは私自身、寂しいものでした。  先日、いつものように見守り活動をしていたら、突然、中学生の男の子二人が近くに寄ってきたので、何だろうなと思ったら、いつもありがとうございますと声をかけられ、本当に私は心からうれしく思いました。  子どもたちは地域の宝であって、将来、日本を背負っていく人材でもあります。子どもたちには夢があり、これからどのような人生を歩んでいくのか、どのように成長していくのか、思いをめぐらせ、心から応援しながら、コロナ禍においても見守りを続けていきたいと思っております。  それでは、文教領域の質問を始めさせていただきます。  初めに、学校体育館のエアコン設置についてお伺いします。  十月になって、朝晩は本当に寒くなってきましたが、今年の夏も例年に増して、とても暑かったです。  文部科学省によると、令和二年度の小学校、中学校の教室のエアコン設置率は九割になりました。子どもたちを暑さ、熱中症から守ることは大変だと思っておりますが、一生懸命、今回の―以前、聞いたときには七〇%と言っていたんだけれども、今は九割。すごいです。  一方で、体育館のエアコン設置率の低さが課題となっています。体育館は災害時に避難場所としての面も持っているので、こちらもなるべく早く設置することが求められます。  世田谷区では、体育館へのエアコン設置を全国に先駆けて、スピード感を持って集中的に設置してきたということですが、現状はどうなのかお伺いします。 ◎秋元 副参事 教育委員会では、昨今の夏の猛暑対策といたしまして、小中学校の体育館への空調設置を進めておりましたが、本年八月末には九十校全て体育館への設置が終了し、現在、各校で使用いただいております。  今年も八月に入り、猛暑が続きましたが、小中学校では、新型コロナウイルスへの対応などにより、八月も補習授業が実施されたことや、再開したクラブ活動でも体育館を使用することが多く、空調を使用することで学校運営に寄与できたものと考えております。また、地域での避難所運営訓練などにも活用されたと聞いております。 ◆青空こうじ 委員 ありがとうございます。この八月で全ての区立小中学校の体育館にエアコンが設置されたそうですが、子どもたちにとっても本当にすばらしいことです。スピード感を持って対応していただきまして、本当に感謝しております。  今回のエアコン設置の効果と今後の課題はどんなものがあるのか、そして、中学校には格技室がありますが、格技室はどうなっているのかもお伺いします。 ◎秋元 副参事 空調機導入の効果でございますが、学校の体育館は面積や構造等が様々でありますことから、おおむね良好であるとの評価を多くの学校からいただく一方で、十分に温度が下がらないというような声も聞かれるところです。このため、今年度は、世田谷小学校、中里小学校、船橋希望中の三校の体育館の窓に遮熱フィルムを貼るなど、断熱性を高める試みも行っておりまして、その効果を検証しているところです。  また、今お話にもございました、今後の課題といたしましては、学校の避難所としての活用という観点からも、中学校の格技室への設置も必要であろうと考えておりまして、今後、区の政策方針に基づき、優先順位を判断していくということになろうかと思います。 ◆青空こうじ 委員 よろしくお願いします。  小中学校の体育館は災害時の地域の避難所として指定されていますが、予測困難な災害に備えるために、体育館の冷暖房化による避難所機能の強化が必要です。避難者の安心安全につながる快適な環境を提供することが重要だと思っております。災害が起きず、避難所として利用することがないことが一番でありますが、非常時での今後の活用が大いに期待されています。  次に、コロナ禍における世田谷区の子どもたちの夏休みについてお伺いします。  我が近くの小学校も、臨時の勉強会が、土曜日ですが、明日もあります。世田谷区立小中学校の夏休みは八月一日から三十一日までのちょうど一か月間でしたが、近隣の自治体では、お盆休みに合わせて二週間程度というようなところもあったそうです。ほかの自治体と比べて世田谷区は夏休みが多いようです。  夏休みが多いということは、私自身、本当に喜んでいますが、コロナ禍で休校が三か月もあった中で、保護者からは学習面や生活面で不安があるともお聞きしました。世田谷区の小中学校の夏休みの実情はどんなものであったのでしょうか、お伺いします。 ◎毛利 教育指導課長 世田谷区では、七月末まで、二日間の休日を含め授業日とし、例年よりも授業日数を増やすとともに、八月いっぱいを夏休みとして設定しました。また、四、五月の学校休業中に、子どもたちの学習の進み方に個人差が出ていることを考慮し、夏休み中に十日程度の補習授業を実施いたしました。  このように、例年とは異なる夏休みとなりましたが、子どもたちは夏休みならではの体験的な活動を楽しんだり、苦手な学習を克服したりすることができ、有意義な時間を過ごしてくれたのではないかと考えております。 ◆青空こうじ 委員 夏休みが多いということは本当にうれしいことなんですが、コロナ禍での特別な状況です。教育委員会におかれましては、学習と休みのバランスを取っていただくことを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩    ──────────────────     午後零時四十五分開議 ○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆加藤たいき 委員 それでは、自由民主党の文教領域の質疑を始めさせていただきます。よろしくお願いします。  まず、私は最初に、来年度に向けた熱中症対策について伺います。  毎年、夏が暑いのは言うまでもなく、子どもたちを守る観点から、議員になってから、体育館の冷房などを提案させていただきました。  まずは教育委員会として、熱中症への対策を講じているのか伺います。 ◎會田 教育総務課長 教育委員会では、学校での熱中症対策は喫緊の課題であるとの認識から、全区立幼稚園、学校に、数値化して、客観的に蒸し暑さを判断できる測定器を既に導入しております。また、熱中症対策のための予算を学校に配当いたしております。個々の学校では、その予算を活用し、学校の実態に合わせ、冷風機や大型扇風機の購入、また、ミストシャワーなどの設置を行って、熱中症予防に取り組んでいるところです。また、八月末には、熱中症への対策と災害時対応を目的とした、全区立小中学校の体育館への空調機設置を完了させたところです。 ◆加藤たいき 委員 この夏も保護者の方から熱中症に対しての心配の声をいただいております。この夏はコロナ禍ということで、学校でも水飲み場の制約をかけたり、元からウオータークーラーを設置していないところもあり、児童は水筒持参で今現在も学校に登校しております。子どもによっては、水筒の中身をすぐに飲み干したり、こぼしてしまったりと空になるケースや、通学路の区内学校距離もまちまちで、約二キロという通学路のお子さんもあったりする学校もあったりします。低学年の子は、この暑い夏、非常に厳しかったという声も届いています。  いろいろ調べてみたんですけれども、つくばみらい市では、学校に自動販売機を設置し、熱中症対策として安価で販売しているとのことで、世田谷区の学校でも、飲料メーカーに打診し、このような施策を打てないでしょうか。  また、この質問をすることを決めた後に、議員ポストに清掃・リサイクル部より、マイボトルに給水可能な水道直結型浄水器を設置した旨のペーパーが入っておりました。中身を見ると、一庁舎、二庁舎にそれぞれ配備し、職員をはじめ、誰でも利用可能としています。配管工事も含め、イニシャルコストが二十二万円、ランニングコストが三万三千五百円とのことで、区民、職員が使用できるキャパがあるとすれば、学校でも使用に耐え得るもので、比較的安価に設置できると考えられます。  来年に向けて、どちらかをぜひ導入していただけないでしょうか、見解を伺います。 ◎會田 教育総務課長 委員お話しのつくばみらい市の自動販売機の設置ですが、つくばみらい市に確認したところ、今回の新型コロナウイルス感染症により、例年では夏休みに当たる期間のみに、学校で過ごす子どもたちのために、緊急対応として設置したということでした。しかしながら、熱中症対策のよい取組事例でもあると思います。加えて、熱中症対策だけでなく、地震などの災害時にも有効なものであると考えます。  また、区の清掃・リサイクル部が十月より第一庁舎、第二庁舎に設置いたしました、マイボトルへの給水が可能な浄水器でございますが、こちらはペットボトルの削減を目的としているものですが、熱中症の予防にも効果があるものと考えます。  つくばみらい市、また、区の浄水器、いずれの事例におきましても、試行の段階で、今後どうしていくか、方向性を検討している最中の案件と聞いております。区全体の方向性を踏まえつつ、区長部局とも連携しながら、子どもたちの熱中症予防に取り組んでまいります。 ◆加藤たいき 委員 答弁で災害時という言葉が出てきて、やっぱり災害時においても、何かしら水が供給できるシステムがあると、すごくいいなと思っております。この浄水器に限って言うと、地下から引っ張ってこられるというところも大きな観点だと思います。  前職が現役の校長先生だった教育長は、校長の判断の予算というのはなかなか使いづらいというのは理解しているはずだと思います。それぞれの学校で課題がある中で、学校単独で具体的な対策というのは、学校、学校でできるものもあれば、教育委員会全体で考えなきゃいけない施策というものがあると思うので、ぜひ教育長も、学校の先生だった観点からも、こういった施策を進めてもらいたいというふうに思っております。  次に行きます。次に、ICT教育の、私はハード面について聞いていきます。  区立学校に通う児童一人一人にタブレットが順次配付に向けて準備されているということで、それに伴い、学校内のWi―Fi環境が課題になっています。現状、どのようなスケジュールで学校の工事が終わるのか伺います。 ◎會田 教育総務課長 タブレット型情報端末の配備に合わせて、区立小中学校九十校の通信ネットワーク環境の再整備を行ってまいります。各教室でタブレット型情報端末を授業等で活用するために、教室ごとに無線Wi―Fiアクセスポイントを設置し、また、インターネット接続高速化に対応するための機器の整備等を行ってまいります。  Wi―Fi環境の整備は、タブレット型情報端末の効果的な活用に必須のものとなります。最適な事業者を選定し、今年度内に着実に校内通信ネットワーク整備が完了するように取り組んでまいります。 ◆加藤たいき 委員 早く配付が始まったのに、Wi―Fi環境がなかなか準備できないというのは、工事の面だったりというので、致し方ない部分はあると思うんですけれども、なるべく早くそういった環境を構築してもらいたいなというふうに思っております。  そんな中で、Wi―Fiが今年度末にかかってしまうということで、学校や自宅でどのように配付したタブレットを活用していくのか伺います。 ◎會田 教育総務課長 配付するタブレット型情報端末は、家庭に持ち帰っての活用も視野に入れているところです。家庭での利用の際には、各家庭のインターネット環境に接続することを想定しております。また、校内ネットワークの整備が整うまでの学校での活用につきましては、既存の教育ネットワークを利用しての活用が基本となると考えております。 ◆加藤たいき 委員 今回、四万三千台のiPadを購入しましたが、区内小中学生は四万三千人以上いらっしゃるとのことで、どのような配付方法を考えているのか、また、これまでおのおの学校で使用していた、デバイスの違うタブレットが何千台かあると思うんですけれども、それはどう利用していくのか伺います。 ◎會田 教育総務課長 GIGAスクール構想に基づいて、小中学校に配備の準備を進めているiPad端末のタブレット型情報端末、約四万三千台でございますが、児童生徒用の端末ということで配備いたします。台数につきましては、既に設置済みのタブレット型情報端末の数と合わせて、合計で一人一台となる台数を調達の数としております。  設置済みの端末でございますが、引き続き児童生徒用端末としての利用を考えております。ただし、今回、配備するタブレット端末とはOSが異なることから、今後、リプレースなどに合わせて、iPad端末を配備したいと考えており、財政面も含め、課題を整理してまいります。 ◆加藤たいき 委員 子どもたちへのiPadの配付も非常に大事な観点だと思うんですけれども、教員に対しても、ある程度、iPadで相互関係が構築できていないと、教員側の授業に生かす、宿題を出すというのにも利用しにくいかと思うんです。それはどのように考えているのか伺います。 ◎會田 教育総務課長 教員用のタブレット端末でございますが、こちらにつきましては、今までインターネットに接続する端末として、ウィンドウズ端末を教室に一台というような単位で順次配備してまいりまして、授業で活用しております。  委員御指摘のとおり、今後、一人一台端末を活用した新たな学びを実践するためには、教員用のiPad端末も一定程度配備することが必要であると考えております。今後、教員が使用するiPad端末配備につきましては、財政面も含め、課題を整理してまいります。 ◆加藤たいき 委員 この後、我が会派のほかの委員からソフト面の話がありますので、私からはしませんが、タブレットのハード面がそろっても、スタート地点に立っているわけではなくて、教員の方々が使いこなして初めてスタートライン、子どもたちが学ぶ環境ができた―スタートラインに立つというふうに私は認識しております。  私が聞き取りした私立小学校の教員の方に話を聞いたところ、コロナ禍前の何年も前から少しずつ使用して、このコロナ禍でも標準的に使えるようになったというふうにおっしゃっていました。その時間をこの短期間で埋めるというのは並大抵の努力ではないと思いますが、現場教員の奮闘もこれからあると信じていますので、教育委員会がこうやってiPadだったりで、まずは足元を固めていただけるよう、切に要望します。また、子どもたち一人一台のデバイスが違うのではなくて、iPadをしっかりと渡せるように、順次進めていただきたいというふうに思っております。  次に行きます。次に、電子図書について伺います。  この件は、中身ではなくて、この施策が決まったプロセスについて伺っていきます。  まず、この電子図書施策について、九月十八日の文教常任委員会で初めて発表されたと思うんですが、プロポーザルも終わり、事業者が決定した旨の報告が十八日にあったようですが、これ以前に電子図書の話は私は聞いたことがないですが、議会報告はあったのでしょうか。また、当初予算に反映されていないようですが、どこからこの予算を充てたのか伺います。 ◎林 生涯学習部長 電子書籍の導入について、九月十八日の文教常任委員会で御報告させていただきました。なお、その際、プロポーザルではなくて、教育長を委員長とする電子書籍サービス導入検討委員会で事業者を選定した旨、御報告したものでございます。  電子書籍の購入につきましては、第二次世田谷区教育ビジョン、第二次世田谷区立図書館ビジョンの中で、この調査研究を行うということが記載されまして、この間、検討しておりました。  また、区立図書館は、御存じのとおり、新型コロナウイルスの第一波の関係で、四月十一日から五月末まで臨時休館といたしました。今後、また感染が拡大して、図書館が休館、もしくは一部サービスが提供できない状況においても、電子図書館については来館しなくても利用可能ということで、感染防止対策上も有効なものというふうに考えております。  こちらにつきましては、第二回定例会の中で、複数の会派から早期導入について求める御意見をいただきました。あわせて、我々としても、今後、この秋、冬は、新型コロナウイルス、季節性インフルエンザの感染拡大も懸念されまして、さらなる感染対策として、なるべく早く電子書籍サービスを開始する必要があると判断したものでございます。  また、経費につきましては、図書館の段階的再開に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、予約図書の貸出宅配サービスを実施いたしました。その経費の残額を新型コロナウイルス感染症のさらなる対策として活用させていただくということにしたものでございます。 ◆加藤たいき 委員 貸出宅配サービスの余剰金でこの施策を行ったとのことなんですが、ちょっと話が戻りますけれども、一万四千八百四十七冊の郵送貸出しを行ったというふうに聞いていて、当初、何冊分出ていく計算だったのかということと、二次補正で予算を計上したと思うんですけれども、それの金額と余った金額をそれぞれ伺ってもいいですか。 ◎谷澤 中央図書館長 当初は、今委員おっしゃったとおりの冊数、一万四千八百四十七冊を四千九百四人の御利用ということだったのですが、当初、五万冊ほど予約貸出図書があって、その半数ぐらいは御利用になるんじゃないかということだったんですが、結果的には、今申し上げた数字なんですけれども、予想よりも、大きい段ボールで輸送するよりも、ゆうパックのような小包みの便が多かったというようなところで、当初、二次補正で一千三十二万円をつけていただいていたわけですが、これが結果的には七百万円ほどで済んだというようなことでございます。 ◆加藤たいき 委員 九月二日に検討委員会を行った旨のペーパーはいただいているんですが、議事要旨ということで、議事録とかを作る予定は、特段、今現状ない状態ですか、伺います。
    ◎谷澤 中央図書館長 今のところ、作る予定はございません。 ◆加藤たいき 委員 とすると、議事要旨の中身を拝見したところ、議事内容の中に大きく四つ掲げてあって、(1)が電子書籍サービスの概要について、(2)プラットフォームの選定について、(3)サービス名称について、(4)その他で、その他は、利用対象だったり、冊数の記載があって、先ほど林部長からもありましたけれども、前から考えていたというところはあるのかもしれませんが、これを見た限り、導入ベースで、経緯の話とか予算の話は一切なく、導入ありきの議論をしていたのではないかなというところが―この議事要旨の中からは伝わらないわけです。  その上に、当初予算に反映されていないものが、こちらの予算に流用されて使っているということで、そもそも九月十八日の文教常任委員会で報告する前に、検討委員会をこういった理由で開催しますというのが九月二日以前の文教常任委員会でない限り、プロセスとしておかしいのではないかなというふうに思うわけです。  これは契約事でありますし、専決にするのであれば、それなりの明確な理由が必要かと思うんですけれども、そこはどう考えているのか伺います。 ◎林 生涯学習部長 確かに九月十八日、導入しますということで御報告させていただきました。委員御指摘のとおり、もうちょっと丁寧な説明ということ、こういうことを考えていますよ、それから、こういう手続を行いますということを御報告した上でやるべきということで、そういう意味で言うと、図書館の電子図書の導入は初めての事業ということであれば、なおさら丁寧な議会への説明というのは必要だったと思います。その点、結果として御報告してしまったということにつきましては、申し訳ないと思いますし、こちらとしては深く反省しております。 ◆加藤たいき 委員 せっかくの電子図書を始めるといって、これがいい施策なのか、悪い施策なのかを置いておいての議論になってしまうんですけれども、先ほど林部長がなるべく早く電子書籍サービスを開始する必要があると判断しましたというふうに答弁でおっしゃっていますけれども、貸出宅配サービスでこんなに余ってしまったというのは、見込みが甘かったということだと思うんです。  では、電子書籍サービスをするに当たって、どれぐらいの方が登録して、どれぐらいの冊数が出るのかという数字の根拠を出す必要があると思うんですけれども、それはどういうふうに考えているか伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 見込みでございますが、他区の実態を確認しますと、大体、紙書籍の利用者登録の一割ぐらいが電子書籍に登録なさっているということで、それを想定しますと、大体、二十九万、登録をやっていただいている中で、二万九千ほど、電子書籍に登録いただけるのではないかという見込みを持っております。 ◆加藤たいき 委員 ちなみに、二万九千人分というのは、どれぐらいの期間で想定している人数なんでしょうか。 ◎谷澤 中央図書館長 他区の実態を見ますと、スタートして大体一年ぐらいでその数字に行っているものですから、大体一年ぐらいの申込期間で、そのぐらいの数字は登録いただけるのかなと思っております。 ◆加藤たいき 委員 中身の話にもうちょっと突っ込もうかと思ったんですけれども、持ち時間がなくなってきたので、次に行かせてもらいます。  この予算についてなんですけれども、これは福祉領域でも言ったんですけれども、補正予算というのは、やんごとなきものが生じた結果(「やんごとなきでしょう」と呼ぶ者あり)、やんごとなき物事が生じた結果、補正予算を組まなきゃいけなくなってしまった事業のために使う金額として積み上げられているはずなんです。  この予算は、正直、電子書籍サービスに使うものではなかったものを使ってしまうということで、そういった事業の使い方をしていくと、議会での審議というものが必要なくなってきてしまうような気がするんです。予算の流用ができると、予備費だったり、違う事業で余ったから、この予算に使いますという考え方というのは非常におかしいとしか私は思えないわけです。通常だったら、決算には財務当局のトップの宮崎副区長がいらっしゃると思っていたので、聞こうと思っていたんですけれども、今日はいらっしゃらないということで聞けないです。  今後、これをまかり通して―世田谷モデルの区長の発言で、プロセスがおかしいということで、いろんな会派から疑義が上がっていたわけです。これで教育委員会もプロセスを無視した予算の使い方をするというのは、今後の議会としての教育委員会とのやり取りの中で、信頼関係というか、信用というのがなかなか生まれにくくなってしまうのではないかなと非常に危機感を感じております。今後は丁寧に進めていただきたいと要望しますけれども、財政のほうがいらっしゃらないので、また補充でうちはやると思いますが(「聞いてみればいいじゃん」と呼ぶ者あり)、聞いたって……。なので、次に行かせていただきます。  最後に、タッチ・ザ・ワールドについて伺っていきます。  この件は平成三十年度の一定と三十年度の予算委員会でも取り上げました。  コロナ禍に、この間、幾つかの事業を行革してきていますが、真っ先に行革の一つに上がると思っていたタッチ・ザ・ワールドが全く聞こえてきません。誰のために、何のためにある施設なのか理解できていませんし、私も、地元にある施設ですので、評判を聞いても、肯定的な面が全く出てこない。  平成三十年度、開設に当たって、施設にどのぐらいの人数の方が訪れる想定なのか聞いたところ、数字も出てきませんでしたし、そもそもそういった議論をしてこなかったとありました。  初年度経費として、イニシャルコスト、ランニングコスト込みで六千四百五十八万円、来場者一万一千六十二人、うち、移動教室が六千二百三十九人、昨年度経費で二千四百八十四万で、来場者二万四千二百九十人、うち、移動教室が六千二百六十七人、初年度が年度途中開設でしたので八か月、増えているのは分かるんですけれども、まあまあという……。  では、中央図書館はどれぐらいの方が来館しているかと聞いたところ、月平均およそ約四万人で、タッチ・ザ・ワールドは一か月分も来ていないんです。あれだけの大型施設も併設されているのに、一割の方もキャッチできていないというのは、あまりにも悲しい現実だというふうに思っております。フォローするのであれば、年間一万人しか来ていなかった郷土資料室よりかはよいと思います。  来館者の人数を考えてみても―これは滞留時間も考えなきゃいけないと思っているわけです。ふじみ荘がああやっていろんな中でなくなる方針になってしまった中で、タッチ・ザ・ワールドも考えなきゃいけないと私は思うわけです。  平成三十年度に質問した際に、指針がない中でプロポーザルを行ったことを指摘した上で、総括した検証結果を今後出すべきと発言しました。この間、運営した上で、この施設を教育委員会としてどう捉まえているのか、また、来場者は想定どおりなのか、数値目標をつくるべきとも発言しましたが、目標値はどうだったのか伺います。 ◎塚本 副参事 タッチ・ザ・ワールドは、子どもたちが英語の楽しさを実感し、言語や文化の多様性を理解し、多文化の視点から、日本文化や世田谷の文化を学べる場として、平成三十年十月にオープンし、今年度、三年目を迎えるところでございます。  昨年度一か月の平均利用者数は増加しており、特に毎月のイベントには多くの区民の方に御利用いただいております。一方、平日の一般利用者が少ないという課題を抱えており、事業内容を見直す必要があると考えております。  先ほど、昨年度の一人単価ということで計算しましたが、千二十七円ということになっております。特に数値目標については、現在のところ、立てておりません。 ◆加藤たいき 委員 一人来場者の金額というのは後ほど聞こうと思っていたんですけれども、千二十七円ということですが、移動教室の方が大部分を占めている中で、多分、移動教室の経費、バスのレンタル代とかという金額は入っていないと思うんですけれども、移動教室の経費というのはどれぐらいかかっているのか伺います。 ◎田中 学務課長 教育センターの移動教室にかかりましたバスの借り上げ費用は、昨年度、約五百三十万円となっております。 ◆加藤たいき 委員 それは含めていないと思うんですが、一人来場者当たりの単価は千二十七円ということで、無償で行ける施設ではあるんですけれども、品川の水族館とか、上野動物園とかと比べると、非常に一人当たりの単価が入園料よりも高いなという認識です。  いろいろ経費も出してもらった中で、タッチ・ザ・ワールドは、議員の方々も行ったことがある人は多いと思いますけれども、約二千万円もジオラマに投影するプロジェクションマッピングに使用していたりと、お金の使い方がちょっとおかしいんじゃないかなというところが幾つかあって、区民が納得できるかといったら、正直、非常に納得できない部分だと思います。  間もなく各所管は、来年度予算編成に入る、入っているとも聞いていますけれども、このままこの事業をこれまでと同じように継続させていくのか伺います。 ◎塚本 副参事 移動教室につきましては、当面、昨年度までの形態を維持しながら、今年度、移動教室の中止の代替として行っている、ALTを学校に派遣する形態の実績も鑑み、子どもたちにとって、よりよい形で検討してまいりたいと考えております。また、平日の昼間につきましては、小中学生の利用が大きく望めない現状があるため、引き続き、よりよい運営の在り方を検討してまいります。 ◆加藤たいき 委員 よりよい運営がどうなるのかというところが非常に気になるところなんですけれども、これをだらだら続けることのほうが問題で、一回やってしまって、税金は投入されてしまったんですけれども、だらだら続けて、まだ税金を流し続けるほうが問題だと思っておりますので、これは非常に厳しく教育委員会の中で話し合ってもらいたいんですが、教育長、タッチ・ザ・ワールドはどう考えているのかというところと、校長先生だった目線の部分も含めて教えてください。 ◎渡部 教育長 タッチ・ザ・ワールドの位置づけですが、第二次世田谷区教育ビジョンの中の図書館ネットワークの構築の中に位置づけられています。このビジョンは二〇一八年度から二〇二一年度までの第二期行動計画の中でやっていくこととなって、二〇二二年と二〇二三年が調整計画期間となっています。そこで、二〇二〇年度、二〇二一年度は、運営をしながら、今後に向けて検討するという時期に来ています。  この事業についてですが、私が校長のときに子どもたちを連れていったときには、子どもたちにとっては大変楽しいという意見をいただいています。  先ほど副参事が申し上げたように、平日については本当に利用者がいないということに関しては、見直しをする時期に来ているなというふうに私としても考えています。この見直しについては、議会の皆様の御意見もいただきながら、運営の在り方を検討してまいります。 ◆加藤たいき 委員 初耳だった部分があったんですけれども、子どもたちの目線で言うと、子どもたちはみんなで出かけたら、それは楽しいですよ。そこも含めて、教育のために寄与しているのかというところはまた別の話だと思うので、それを考えて、教育委員会としてどう使っていくのかというのをぜひよく考えてください。  最後に、意見だけにとどめますが、中央図書館にも触れます。教育センターが出ていくことが決定している中で、図書館の倉庫を拡張するような話がありましたが、ここで話が止まってしまっているような気がしております。  前期に大和市の図書館シリウスを視察した際に、幾つかの民間事業者が共同体で行政サービスを行いながら、飲食だったり、音楽ホールを同時に運営しておりました。プラネタリウムを含めて、世田谷の教育センターの場所は面白いものができるのではないかなというふうに思っておりますので、迷走しているタッチ・ザ・ワールドはやめて、個人的には、東京都の英語村のような、鋭い、何かに特化した教育施設に転換していきながら、民間活用を使って考えてほしいと思っております。  以上で私からの質疑を終えて、石川委員に代わります。 ◆石川ナオミ 委員 それでは、質疑を続けてまいります。  まず、私もICT教育について伺ってまいります。  先ほど加藤委員からも質疑がございましたが、区内の区立小中学校全ての子どもたちに一人一台の端末が配備されるという、ICTの環境が整ってくるわけでございます。この環境面を宝の持ち腐れにさせないためにも、先日の本会議でも私は代表質問で取り上げましたが、プログラミング教育ですとか、STEAM学習においても、IT人材を確保していくことですとか、ITリテラシーの向上は必須であるということ、また、デバイスですとか、ネットワークなどが整ってきても、肝心の先生の指導力、スキルが、GIGAスクール構想と言われておりますけれども、今後、GIGAスクール構想を進める上で大きな鍵となります。  ちなみに、韓国の教育の情報化につきましては、はるかに日本よりも先駆的に取り組まれております。これは韓国の教育に携わっている大学の教授に伺いましたけれども、例えばデジタル教科書、電子黒板を用いまして、子どもたちはそれぞれの自分自身のタブレットを使って、ノート代わりに活用しているということ、また、データなど、様々な資料を即座にダウンロードして、調べ学習にも取り組んでいる、グループで議論を深めていく、実際に自分たちで問題解決に導いてプレゼンをしていくというような学習が当たり前に行われているというようなことでもございます。ですから、詰め込み授業ということではなくて、情報をうまく活用していくということが、ひいては成績のアップにもつながって、理解力にもつながっていくというようなことを伺っております。教員は、教える―ティーチということではなく、コーチをする、つまり、子どもたちの持っている能力を最大限に引き出すという、いわゆるファシリテーターのような授業を展開しているということを伺いました。ですから、韓国では、ICTを活用しながら指導するということの力量、また、準備も不可欠ということで、先生方の研修を随時行って、スキルアップの向上を図っているということを伺いました。  そこで、世田谷区としても、教員のICTにおけるスキルアップは喫緊の課題ということになってまいります。ICTを駆使して、授業をデザインできる能力ということが必要になってくるのではないでしょうか。教育委員会としては、ICT教育をどのレベルにまで引き上げていくのか、目標値、また、どのようなビジョンを描いているのか、まず伺いたいと思います。 ◎隅田 副参事 教育委員会では、児童生徒一人一台のタブレット端末の整備に取り組んでおりますが、これらを活用して、子どもたちの資質や能力を向上させることのできる教員の育成に取り組んでいかなければならないものと考えております。そのためには、授業において、ICT機器を活用する意味を理解し、対面による授業の中で、効果的にICT機器を活用していく能力、すなわち、ICTを活用した授業をデザインするスキルが必要であると考えております。  具体的には、例えば子どもたちに魅力ある授業を行うためのICT教材を制作するスキル、プレゼンテーションソフトを活用した分かりやすい授業を行うスキル、複雑な化学現象や自然現象の解説に動画や3Dモデルなどを活用するスキル、また、子どもたちがタブレット端末を用いて、興味を持ったことを調べられるよう動機づけをしたり、調べ方を教えるスキルなどが必要であると考えております。 ◆石川ナオミ 委員 ICT支援員を派遣してということも報告を受けておりますが、それだけではまだまだ不十分ではないかなということも伺います。  先生方のICTのスキルアップを図っていくということでは、先ほどもいろいろとこういうふうに授業をしていきますよということがございましたが、具体的にどういった研修などを行っていくのでしょうか。 ◎隅田 副参事 教育委員会といたしましては、GIGAスクール構想による端末の整備などに合わせて、教員のICTを活用した指導スキルを短期間で向上させていく必要があると考えております。短期間で広範囲の教員研修を行うため、まずは各校のICT教育推進の中核となる教員に重点的に研修を行い、中核教員を中心に校内研修が行われるよう、講師の派遣やオンラインでの研修支援に取り組むことを予定しております。また、教員が実際の授業に応用して活用できるようなICT活用の実践事例や、有用な教材の情報収集に着手しており、今後、データベース化し、オンラインで各校の教員に提供することを予定しております。  教員のICTスキルを確実に向上させ、子どもたちに効果的な学習を提供できるよう、引き続き取組を進めてまいります。 ◆石川ナオミ 委員 御答弁にも効果的というお言葉もありましたけれども、ICT環境が整うことで、先生方の負担軽減になるところも出てくるかと思うんです。ぜひ実効性のあるICT教育を進めていただくよう、強く要望いたします。  そして、一人一台の端末が実現をしますと、いろいろなことが可能になってくると思いますが、続いては受験生への対応について伺います。  このコロナ禍におきまして、受験生は、例年とは違う、いろんなことが異なってきておりまして、学校説明会が延期になったり、中止になったり、また、情報が入手できないという声を幾つか私も伺っております。実際に受験勉強や志望校選びに支障が出ているという受験生が七割に上るということが大手の塾の調査でも分かっております。  そうした受験生や保護者の不安や悩みを少しでも解消して、受験の一助になればということで、船橋の公立中学校なんですが、支援地域本部とPTAが企画をいたしまして、学校と民間の塾数社と共同で、オンライン進路説明会と題した動画を作りまして、独自で情報発信していくということなんです。動画の内容も、例えば近年の都内の受験傾向ですとか、定期考査の対策方法、受験パターンといったものでして、まさに受験生が知りたいという情報を惜しげもなく、各塾の切り口で提供してくださるということなんです。  よく塾独自で開催している進路説明会というのはありますが、数社の塾が共同で、しかも、学校・保護者主体でオンラインの動画配信というのは非常に画期的だなというふうにも思います。そこで、このスキームを一部の学校ではなくて、全区的な取組として実施できないでしょうか、見解を伺います。 ◎田村 生涯学習・地域学校連携課長 教育委員会では、区立幼稚園、小中学校のPTAに委託する形での、家庭の教育力の向上を目指すことを目的に、家庭教育学級を毎年開催しております。中でも、中学校のPTAでは、半数近くが進路説明会を行っており、保護者の関心が高いテーマの一つになっております。また、区内のほとんどの中学校には学校支援地域本部が導入されております。学校支援地域本部では、教育委員会が委嘱した学校支援コーディネーターが学校からの依頼を受け、学校とボランティア団体等との調整を行い、授業の補助、自習の支援、学校行事の運営支援など、学校の教育活動の支援を行っております。  今回、御提案のあったオンラインによる進路指導相談会の実施につきましては、学校が単独で取り組むものではなく、学校支援地域本部が主体となって、家庭、地域における関心事に取り組んだものと認識しております。教育委員会といたしましては、各家庭教育学級や各学校支援地域本部の取組事例や、活動の中で培ったノウハウを学校の枠を超えて共有し、各学校における教育活動の支援内容がより充実したものになるように、環境づくりに努めてまいります。 ◆石川ナオミ 委員 例年とは違う不安を抱えている子どもたちがいらっしゃる中で、情報量が少ないということも不安要因の一つになっているんじゃないかなというふうに思います。しかし、多忙な先生方にとっては、その情報を全て収集するということは本当に大変なこと、不可能でもあります。また、塾に通っていない御家庭にとっては、情報量ということにおいては、非常に不利な状況にあるわけなんです。ですから、誰でも、いつでも、何度でも視聴できる―何か聞いたことのあるようなキャッチフレーズですけれども、ウェブ配信型でしたら、誰でも、いつでも、何度でも見られるわけですから、情報提供は公教育の原点というところでも、ぜひともこちらは進めていただけたらなというふうに御検討をお願いしたいと思います。  さて、続きまして、不登校対策について伺ってまいります。  不登校の児童生徒は年々増えてきており、文科省がまとめました平成三十年度の小中学校の不登校児童生徒数はおよそ十六万五千人ということで、学校における指導の上でも深刻な課題となっております。  不登校は、社会環境の変化、様々なストレス社会において、特定の子どもだけに起こる心の問題ではなく、どの子にも起こり得る問題として考えていくこと、特に今般のコロナ禍におきましては、子どもたちに目を配り、心を配って、しっかりと寄り添っていかなければなりません。  世田谷区でも平成二十一年に第二次世田谷区教育ビジョン・第一期行動計画に不登校への取組の充実を掲げて、学校だけでなく、学校外でも不登校へのお子さんの支援に力を入れて取り組んできているということは承知しております。また、平成二十八年に教育機会確保法が制定されて、これまでの不登校における在り方、考え方を変えていかなければならないという、区独自の不登校対策アクションプランを策定しまして、不登校対策にも力を入れて、区としても取り組んでいらっしゃいます。しかし、残念ながら、世田谷区も不登校の児童生徒は増加傾向にあるということで、令和元年度は、小学生で三百一人、中学生は五百二十四人ということを伺っております。  こうした増加傾向にある中で、令和四年には不登校特例校も開設が予定をされております。まずは改めて区内の小中学校における不登校の近年の状況、そして、不登校特例校の開設に至る背景を伺います。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 世田谷区における不登校の児童生徒数は増加傾向にあり、平成二十七年度の五百十四名から、令和元年度の八百二十五名と約一・六倍に増加している状況の中、多様で適切な教育機会の確保が求められております。  平成二十八年度にいわゆる教育機会確保法が成立し、その中で、不登校の子どもたちを対象に、特別に編成された教育を提供する不登校特例校の設置が各自治体の努力義務とされております。世田谷区では、世田谷中学校のひなぎく学級において、不登校の中学生を対象に、その特性に配慮した教育を行ってまいりましたが、令和三年度までに学級の位置づけを特別支援学級に変更する必要が生じており、不登校の子どもたちに、現在と同様に、正規教員による教育を提供することが可能な不登校特例校の設置に向けて、文部科学省との協議を開始することといたしました。 ◆石川ナオミ 委員 不登校のお子さんの新たな学びの場所が開設されるということは、決して否定されるものでもありませんし、むしろ学びの環境整備は今後も必要であるというふうに私も思っております。しかし、大切なことは、家庭はもちろんのこと、学校現場でも子どもたちの変化に気づくこと、そして、子どもたちが学校に行きたい、楽しいと思えるような魅力ある教室・環境づくりが最も大事だというふうに思います。この学校づくりについてはどのようにされていらっしゃるでしょうか。 ◎塚本 副参事 不登校を未然に防ぐためには、子どもたちが楽しく学校に通うことができる、魅力ある学校づくりや、多様な児童生徒の状況に対応した支援・指導体制を確立することも重要な要素であると認識しております。  学校では、子どもたちに活動の場と互いを認め合う機会を与え、自己有用感を高める様々な取組を学校行事や特別活動等を通して行っております。また、学業の不振が不登校のきっかけになり得るために、学校では、学習内容を確実に身につけることができるよう、分かりやすい授業を目指すとともに、学習に遅れがある場合には、放課後や長期休業期間を活用し、一人一人に応じた指導を行っております。 ◆石川ナオミ 委員 そして、家庭との連携も必要になってくるかと思いますが、家庭との連携はどのようにされていますでしょうか。 ◎塚本 副参事 現在、各学校においては、担任一人で子どもたちの様子を把握しようとするのではなく、同じ学年や専科教員、また、養護教諭やスクールカウンセラーとも連携し、定期的に情報交換をして、チームとして子どもの変化を把握する体制を取っております。また、学校では、子どもたちの変容について気になったときは、適宜、電話連絡や連絡帳を用いて家庭に連絡することで、保護者とも連携し、より多くの目で子どもたちを見守っております。 ◆石川ナオミ 委員 より多くの目というところでは、本当に大切なことであろうかというふうに思います。  子どもたちのちょっとした表情の違い、また、心の変化をキャッチアップできるよう、先生方の人間力ということも必要になってくるのではないでしょうか。そのようなスキルの向上はどのようにされているのでしょうか、伺います。 ◎塚本 副参事 教育委員会では、今年度より、教員向けに子ども理解研修を実施し、子どもの表情や行動からその気持ちを察する方法について理解するとともに、教師として不登校支援をする際の心構えや対応の仕方についての理解を深めております。また、研修のみならず、担任教員と保護者との関わりについては、例えば実際の保護者との電話のやり取りについて、先輩教員が若手教員に指導助言するなどして、校内OJTを活用することで、学校全体の対応力の向上を図っております。 ◆石川ナオミ 委員 学校に行く、行かないが問題ではなくて、お子さんの気持ちを尊重していくこと、家庭はもちろんのことなんですが、学校の先生方との信頼関係を築いていけるかが大切なんじゃないかなというふうにも思います。子どもたちの話をしっかり耳で聞き、目で見て、そして、心で感じることができる先生方のヒューマンスキルの向上ということにおきましては、しっかりとこれからも教育委員会に行っていただきたいと思います。そのあたりはいかがでしょうか、伺いたいと思います。先生方のヒューマンスキルの向上についてはいかがでしょうか。どのように教育できるでしょうか。お願いいたします。 ◎塚本 副参事 子どもたちの指導の先生方のスキル等については、先ほどもお話ししたとおり、OJTを活用して指導していくということと、教育委員会でも、実際に学校でのいろいろな不登校の相談に対しては、不登校の調査を月一回、学校にお願いしておりますので、そちらで変化を見取ったときに、学校と教育委員会で連携した形で、先生方のスキルを上げている次第でございます。 ◆石川ナオミ 委員 先ほど教育長も手を挙げてくださいましたが、教育長はどのようにお考えでしょうか。 ◎渡部 教育長 先ほどお話しいただきましたように、一番子どもに直接接するわけですから、私は教員のスキルアップが一番大事なことだというふうに考えています。教員が自信を持って子どもたちの前に立つためには、自分自身が様々なことを身につけていなければ、なかなかうまく子どもに接することはできないというふうに思っています。  身につけなければいけないスキルはたくさんあります。先ほどの児童理解であったり、様々な教育課題に対してであったり、それから、ICT、これから始まる新しい教育に関してであったりします。様々な多くのことを身につけなければいけなくて、教員たちはとても大変な状態にはあると思いますが、私たち教育委員会がそれを支えて、一番いい、効果的に学べる方法を推進していくことこそが教育委員会の役割だというふうに考えておりますので、一番いい研修の方法等を取り入れていきたいというふうに考えております。 ◆石川ナオミ 委員 ありがとうございます。しっかりといろんな角度から子どもたちの成長を見守っていただきたいなということを、私も一親としてお願いしたいというふうに思います。  さて、最後は区史編さんについて伺ってまいります。  三年前なんですが、私たちは会派の視察で、松本市の和田地区というところに伺ってきました。松本市和田地区は、世田谷区におきましても、縁のある地域ということを皆さん御存じでしょうか。歴史をひもときますと、かつて戦時中の話なんですが、空襲の危険が高まると、都会の子どもたちは地方に学童疎開して、難を逃れていたということがありました。松本市の和田地区にも、世田谷の奥沢国民学校、現在の奥沢小学校のことなんですが、奥沢小学校のおよそ四千人を超える児童たちが集団疎開をしたということなんです。戦争の暗い影が長く尾を引いて、食料や物資が逼迫していた時代ですから、各地へ疎開をしても、冷たいあしらいをされるということもあったという中で、和田地区の皆さんは、本当に子どもたちを温かく迎えてくださり、また、包み込んでくださった。だからこそ、当時、疎開をしていた奥沢小学校のいわゆる疎開っ子が年を重ねても、御年配になっても、今でも和田地区を訪れて、交流が続いているということなんです。  私たちも会派でゆかりの地を訪ねまして、当時の交流の仕方などのお話を伺ったり、学童集団疎開の碑も見てまいりました。こうした交流が今でも続いているということは本当にすばらしいことだなというふうに思いました。こうした史実を次世代にも継承していけないかなということを強く思っております。  世田谷区の歴史ですとか、伝統文化、特性や魅力を知る手がかりになるものを今日お持ちいたしました。かなり重いんです。高さもちょうど枕になるような高さでいいですが、それはさておき、非常に重みがある、ずっしりとくるものなんです。こちらは区史でして、上、中、下というふうに非常に何巻もあるものなんですけれども、前回の世田谷区史のまさに現物でございますが、昭和三十七年に発行しております。それ以来、ずっと作ってこられなかったということで、いろんなものは出てきているんですが、区に関するものは発行されておりますけれども、区史として発行されたのは昭和三十七年以来ということで、半世紀以上にわたって発行されていないということなんです。分厚くて、御覧のように、存在感はありますが、意外に私たちにとっては身近ではなく、敷居が高いなというような感じさえいたします。  区では、区制施行九十周年を迎える令和三年度を目途に、新たな区史編さんを刊行する計画をしているということです。ただ、コロナ禍の影響によりまして、区史編さん事業が三年先送りにされたということも伺っておりますが、ぜひともすばらしい区史を作っていただきたいなということをお願いしたいと思います。  所管に確認をいたしましたら、今のところ、全六巻の刊行を予定しているということでございまして、全巻そろうのは令和十年頃ということなんです。新しい区史が出来上がった暁には、子どもたちにも実際に手に取ってもらいたいなというふうに思いますし、これから作っていくというところですから、実際の編さん過程を子どもたちに見てもらいたい、そして、子どもたちにも調べてもらいたい、区の歴史を実際に訪れてみて、その歴史や文化がこういうものなんだということ、そして、区史そのものがこういうふうにまとまっていくんだというプロセスに触れていただきたいなというふうに思います。まさに区史ができる過程を肌で感じていただけるといいなというふうに思っております。そうすることで、生まれ育った世田谷の町をもっと好きになる、地域への愛着、関心も高まって、海外の人やいろんな方にふるさと自慢、世田谷の町はこんなにいい町なんだよ、こんな歴史があるんだよと魅力を伝えていける、いわゆるナビゲーターになってもらえるんじゃないかなということで期待が膨らんでおります。  さて、区史編さんに携わっている教育委員会としては、この区史編さんをどのように子どもたちの学習の一環として生かしていくのでしょうか、見解を伺います。 ◎田村 生涯学習・地域学校連携課長 現在、教育委員会としての区史編さん事業への関わりにつきましては、教育委員会在籍の学芸員が区史編さん担当との兼務体制を取りながら、各種資料の提供や資料確認、調査、執筆などを行っております。また、子どもたちの学習の視点での関わり方につきましては、特別授業、出前授業や社会科見学など、小学校を中心に、区の歴史文化に触れる機会を設けております。多くの児童が実際に土器などに触れる、資料館や民家園で実際の歴史資料を見るなど、区の歴史を知る機会と、歴史文化を深めていく取組を行っております。  今後、こうした機会に子どもたちが新しい区史の編さんを知り、歴史を記録する大切さを理解しながら、一層、世田谷の歴史と文化に興味を抱くよう、工夫をしていきたいと考えております。また、将来、新しい区史が刊行される際には、このような授業等での活用や、普及啓発事業での資料の活用などを検討することはもちろん、引き続き、区史編さん業務に携わりながら、郷土世田谷の豊かな歴史文化を次の世代へ継承していく取組を推進してまいります。 ◆石川ナオミ 委員 本来、区史編さんは企画総務のほうの質疑であるということは承知しておりますが、教育委員会も携わっているということで、今回、伺わせていただきました。ただ、決算委員会ですから、あえて金額のことに、予算のことにも触れますが、この区史編さんには年間一千三百五十一万三千円の予算が組まれておりまして、これからも毎年計上されていくわけでございます。  また、今年の六月の区史編さんの見直しということを受けまして、予算と予定スケジュールが修正されました。そのスケジュールに関しましては、先ほども触れましたが、三年先送りということですので、三年分、また追加で経費がかかっていくということなんです。ですから、膨大な資料から成って、手間と時間がかかるということは十分承知しておりますけれども、だからこそ、有意義な区史にしていただきたいなと思います。  また、区史として、学術的に高い水準を保つということは大切ですけれども、イラストなどを用いて、子どもたちや区民の皆さんにも親しみやすい、活用しやすい区史にしていただくこと、また、今後、電子媒体ということが出てきますので、電子媒体を活用するなど、幅広い方に御覧いただけるように編さんしていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。 ◆おぎのけんじ 委員 私からは、まず、教員の資質能力の向上という点からお聞きしたいと思います。  私は黒澤明監督の映画が大好きでして、よく見返すんですけれども、「七人の侍」だとか、「用心棒」とか、ああいう時代劇物も好きなんですが、一番よく見ているのは「悪い奴ほどよく眠る」という作品です。それはいいんですけれども、黒澤明監督の遺作となった作品に「まあだだよ」という映画があるんですけれども、教育長、これを御覧になられたことはありますか。 ◎渡部 教育長 ございません。 ◆おぎのけんじ 委員 大変すばらしい映画ですので、ぜひ見ていただきたいと思います。  内田百閒さんという作家さんが主人公の映画でして、もともと夏目漱石の弟子をされていた方ですけれども、百閒さんが作家になる前にドイツ語の教師をされていたんです。作家に専念するために学校を辞めるシーンが映画の冒頭であるんですけれども、先生が挨拶した後、生徒役の吉岡秀隆さんが立ち上がって、こういうことを言うんです。学校を辞めても、先生は先生です、先生は金無垢だ、混ざり物のない金の塊である、僕たちは先生からドイツ語のほかに、何かとても大切なことを教えてもらったような気がしますというようなことを言われて、百閒先生はそこで涙ぐむわけなんですけれども、教え子にここまで言われたら、先生としては、さぞかし感無量なんだろうなと思いますし、先生を辞めた後も、生徒たちが百閒先生の誕生日に毎年、摩阿陀会というのを開いて、恩師と教え子の親交を深めるというような姿が描かれている作品なんです。  私は、子どもたちに何を教えるかということは当然大事だと思いますけれども、誰が教えるかということのほうがもっと大事なんじゃないかなと思っています。映画の中で生徒たちが言っていた、何だかとても大切なことを教えてもらったような気がしますということは、その先生の持っている個性だとか生き方のようなものが生徒たちに伝わったからこそ生まれる言葉だと思いますし、それが年を取っても、いつまでも心に残っていると。私も何人か思い浮かびますけれども、恩師というのは、そういう存在なんだろうなと思うわけであります。世田谷の子どもたちにとっても、そうしたよき出会いが数多く生まれることを、議員としても、一保護者としても願っているわけであります。  ここ数年、教員の多忙化解消というものが声高に叫ばれてきていますけれども、世田谷区でも、給食費の公会計化ですとか、部活指導員だとか、スクール・サポート・スタッフの配置等々、年々強化されてきていると思います。  一方で、教員の労働生産性もそれ相応に上げていかなければならないということも、私は過去質問してきたわけですが、世田谷の子どもたちにとって、より質の高い教育機会が提供されるべきだと思いますし、教員の力量差が教育の質・量面に影響することがあってはならないという問題意識を私なりに持っていたからであります。  ただ、教員の指導スキルを上げるという以前に、残念ながら、世田谷の教員の方々の退職、休職の数字を見ますと、小学校では、昨年度、退職が三十二名、休職三十六名で、両方合わせた全教員に占める割合というのが三・八%なんですが、五年前から絶対数も出現率もどんどん上がっているわけです。私も小学生の保護者でありますけれども、年度途中で担任が代わってしまう、あるいは、休んだ先生の代わりを副校長先生がリリーフ的に担うというようなケースを見聞きしたことは、ここ数年で一度や二度ではありません。
     退職の原因は様々あるということですが、休職となると、やはりメンタル面が支障を来してということがほぼだというふうに聞いております。この点については、私も保護者として、何とかならないのかなと思う一方で、新卒や若手の教員の方々には、確かに同情すべき点もあるなと思います。メンタルタフネスというのは、私は、経験が物を言う、特に失敗を重ねることで培われるというところもあると思いますし、大学を出て、それほどまだ社会の荒波にもまれていない若者がいきなり現場に出て、子どもだとか、保護者とか、地域の方々、あるいは、先輩の教員等々、いろんなタイプの方々と付き合わないといけないというのは、結構しんどいんだろうなと思うわけであります。とはいえ、先生は先生ですから、失敗は失敗として許されない部分は当然ありますし、昨今は先生の評判もすぐ出回ってしまう時代ですので、常に厳しい視線にさらされるというプレッシャーも相当あるんだろうなと思います。  教育長がおっしゃられるところの、誰も置き去りにしないという教育を実現する主体は先生でありますよね。ただ、教える先生がやむなく途中で離脱をする、辞めたくないのに辞めてしまうという事象を極力なくさないといけない。先生も置き去りにしないという取組も私は必要だと思うんです。  ここで教育長にお聞きしますけれども、休職・退職者が現状増えているというところへの認識と、辞めない、休ませないようにするためには、どんなことが必要だとお考えか伺います。 ◎渡部 教育長 私は、教職を目指して学んで、念願の教壇に立てたという喜びをいつまでも忘れずに、日々、子どもの指導に当たることが大切であり、その環境づくりこそが大切であると身を持って感じています。私は自信を持って大切なことを教えられる教員になってほしいと思っています。  しかし、実際には、メールを主とするコミュニケーションが多い若い世代には、電話でのやり取りが苦手であったり、あるいは、社会全体の価値観の多様化などになかなか対応できない、または、子どもや保護者に向き合うことに日々ストレスを感じながら過ごす教員がいるということも事実です。このようなことに対して、学校はチームとして、組織的に課題解決を目指して、OJTを通じて実践的に学ぶということが重要だと考えています。  また、私は、OJTのみならず、研修にも力を入れていきたいというふうに考えています。日常の業務から離れて、冷静に学ぶことで、新しい発想が生まれたり、教育に向き合う力や自信などが生まれてくるというふうに考えます。今後、必要になる研修には、ICT教育に積極的に協働して取り組む力、または、子どもの変化に応じた教育の在り方を理解していく、そのようなものが考えられるというふうに考えています。  教職員がストレスに打ち勝ち、自信と誇りを持って大切なことを子どもたちに教えられるよう支援してまいります。 ◆おぎのけんじ 委員 もちろん先生にも多様性はあっていいと思いますし、得手不得手も当然あると思いますけれども、先ほど石川委員もおっしゃられていましたが、要は、先生の指導力の土台となるような自力、ヒューマンスキル、総合力、具体的には、私は、コミュニケーションスキルだとか、耐久力とか、なめられない力とか、広い意味での対人能力だと思っていますけれども、これをいかに身につけるか、高めていくかが、特に若手教員の生命線だと思うわけです。  ここで具体的な提案ですけれども、今、教育長も御答弁で研修について触れられていましたが、今、企業研修などで導入が進んでいますレジリエンス研修は、精神的に苦しい場面から立ち直る力、回復力、打たれ強さなどを培うものですけれども、最近は小中学校でもレジリエンス学習を取り入れるところが出てきているようですが、私は逆にそれを教える先生、特に若手教員向けにレジリエンス研修をまずは徹底的に実施するべきだと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。 ◎毛利 教育指導課長 レジリエンスにつきましては、子ども、保護者への対応以外にも、外部との連携であるとか、折衝の際にも必要な力であるというふうに認識をしております。  教員の研修につきましては、初任者研修から中堅の研修、また、生活指導主任であるとか、それぞれ職層や専門に応じて、様々なものがございますけれども、委員御提案の研修につきましても、誰を対象に、どの時期に行うのかも含めて検討してまいりたいと思います。 ◆おぎのけんじ 委員 ぜひよろしくお願いいたします。  それと、先ほど教育長も御答弁されていましたけれども、現場で学ぶことがもっと有効かつ不可欠だと思うんです。学校ごとにこれまでいろんなケーススタディーというものが蓄積されてきているはずですし、日々、いろんな問題も起きているんだと思います。それを材料にして、こういう場合、どうするかということを若手教員に考えさせる。子どもに対して、保護者に対して、地域に対して、あるいは、教員同士の問題などなど、先輩教員と若手がディスカッションできるような機会を積極的につくっていくべきではないかと思うんですけれども、この点、見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 教員には、教科指導力のほかにも、保護者の方や地域の方、児童への対応力が求められており、各校では、東京都の人材育成計画に基づいて研修を実施しております。例えばベテランの教員が若手教員のメンターとなり、ペアで人材育成を行う取組や、中堅教員が若手教員を集めて、得意分野のミニ研修を行う取組など、各校が創意工夫を凝らして、日常的な仕事を通して人材育成を行う、いわゆるOJTの体制を整えることが大切であると考えております。  教育委員会においても、教員としての充実期を迎える中堅教員が同僚や若手教員への指導的役割を担い、OJTを推進していけるよう、引き続き指導助言をしてまいります。 ◆おぎのけんじ 委員 まずできるところから始めていって、強靱なメンタリティーを備えるというところまでいかなくとも、子どもや保護者に対して、自信を持って向き合い、ちょっとやそっとのことではへこまないという教員が増えて、世田谷の退職、休職の人数自体も減っていくことを切に願います。  先生にとって、ここに今後ICTが入ってくるわけです。先ほど我が会派の加藤委員、石川委員からもありましたけれども、タブレット一人一台というものが実現をしてくる、Wi―Fiの環境も整ってきます。そして、ICT支援員さんも入ってくるということなどを考えますと、大分お膳立ては整ってきて、あとは先生のパフォーマンスがどこまで上がっていくのかが肝心だなと思うわけであります。  先ほど石川委員からも教員全体のスキルアップについて質疑がありましたけれども、それは当然、やっていただくとして、今後、ICT支援員が各学校現場に入ってくることを考えますと、彼らと対等に話せるような、エキスパートとまではいかなくとも、ICTの高度人材と呼べるような先生が各学校に二、三人いるべき、いてほしいと私は思うんですが、この点、教育委員会としてはいかがお考えですか。 ◎隅田 副参事 教育委員会といたしましては、区内の教員からICTに関するエキスパート人材を発掘、育成するために、各学校にエキスパートの資質を備えた教員の選出を呼びかけ、大学や民間企業と連携しながら、専門的な知識や技能を重点的に育成してまいります。また、教員が行った授業の動画や、指導案、教材などの優良事例をほかの教員と共有するためのデータベースを構築するとともに、ほかの教員とのオンラインミーティングを通じて、そのノウハウを広く全校に広げてまいりたいと考えております。 ◆おぎのけんじ 委員 ぜひがんがん進めていただきたいと思いますし、役所もそうですけれども、学校もICT人材の確保というのは、これからの大きな課題だと思うんです。例えば今月から教員の公募も始まっていると思いますけれども、私は、個人的には、こういう時代なので、全てICTに明るい方を求めるほうに振り切ってもいいんじゃないかなと思いますので、ぜひここを意識的に、積極的に増やしていく努力をよろしくお願いいたします。  続いて、教育長に伺いますが、ハードがそろう、そして、先生のスキルを上げていくと。では、具体的に何をしていくのかということがもっと重要でして、私は、ICTをフル活用して、学校休校のような緊急時のみならず、平時からどんどん積極的に活用していくべきだと思っているんですけれども、今後の世田谷のオンライン教育、オンライン学習の在り方はどうあるべきかと考えていて、実際、来年度から何をどう進めていこうとお考えなのかお聞かせ願います。 ◎渡部 教育長 委員からもお話がありましたとおり、私は今まさに教育の転換期にあると考えています。一人一台、子どもたちがタブレットを持つことになるわけですから、それは教育の在り方を大きく変えていくということになると考えています。  子どもたち一人一人がICTを活用して学ぶということは、単に教えられたことのみを実践するということとは違って、自ら未知のものに立ち向かい、探求することになります。そのためには、自分で情報を集めて、取捨選択して、多くの人と協議して、広く深い考えを持つことが必要になります。時には、教えられたことを、または、書いてあることをうのみにせず、批判的な視点で物事を評価するという力も必要になってきます。  そのためには、子どもたちの主体性や可能性を育む教育が必要です。例えば子どもたちが興味を持ったテーマに取り組んで、試行錯誤しながら、自分の力で解決を目指す課題を子どもたちに与えること、または、オンラインでつながって、オンライン上で多様な人たちとつながって、意見を聞くということです。これはいろいろな地域の方たちともつながれるわけですから、自分の考えを広げたり、深めたりする一つの方法になるというふうに考えています。これからはそういうふうに教育を転換していくべきだというふうに考えています。  教育委員会といたしましては、GIGAスクール構想により、ICT環境を最大限に生かして、子どもたちの可能性を育む教育を推進してまいります。 ◆おぎのけんじ 委員 未来を生きる子どもたちの可能性を育む教育を実現するというところはぜひお願いしたいところでありますけれども、私がもうちょっと聞きたいのは、具体的にどう使っていこうとしているのかという点でありまして、例えば英語学習だとか、プログラミング学習の場面では、こういうふうな使い方をしたりだとか、あるいは、宿題は全てタブレットでやってもらうようにするだとか、今、地域の方との交流という話もありましたけれども、あるいは、他校との交流をオンラインでやるだとか、不登校の児童向けにタブレットを使ってやっていくだとか、可能性は山ほどあると思うんです。ただ、どこに焦点を定めていくかということをまず教育委員会が決めなきゃいけないと思いますし、各学校任せ、学校も各先生任せにしていたのでは、何も起こらないと私は思うんです。  熊本市はよく例に出てきますけれども、休校要請が出された後、僅か二週間でオンライン授業体制を構築したというケースが取り沙汰されまして、最近、本も出まして、私も読んだんですが、細かいところはいろいろありますけれども、そもそも市長と教育長が強く連携をして、強力なリーダーシップで一気に実現まで持っていったわけです。  世田谷は既にICTの推進という意味でも、オンライン教育という意味でも、ほかの自治体に遅れを取っていると私は思いますし、何よりも不幸なのは子どもたちですから、ぜひ、世田谷も二十三区の中でナンバーワンを目指すんだというぐらいの野心的な目標を掲げて、ソフト戦略を進めていただきたいということと、そのためには、来年度に向けて、まずは推進すべき内容というものを、具体的なものをしっかりつくって、そこに必要な予算をちゅうちょなく求めていってほしいなと私は思うんですけれども、もう一度、教育長、いかがですか。 ◎渡部 教育長 今お話しいただいたとおり、熊本の例なども私も読んでいますが、僅か二週間ですることができた。ただ、熊本は三年前からずっとこういうことを見越してやっていたというところで、非常にすばらしいなというふうに感じました。やはり先を見越す力というのが私たちにとても必要だというふうに思っています。  それから、委員お話しのとおり、今、ICTに関する夢は本当に膨らんでいまして、多岐にわたっています。プログラミングはこんな形でやっていく、英語はこういうふうにやっていく。それから、家庭学習では、反転学習といって、宿題ではなくて、予習を家庭でやっていて、学校では協議をすることのみをやるなど、夢はたくさん膨らんでいます。ただ、その中で、どこに焦点を当てていけばいいのかというところは、委員おっしゃるとおり、とても大事だというふうに考えています。  それから、大切なのは、医療的ケア児や不登校とか、そういう可能性も追求していくことだと私は考えています。早急に次年度の計画を立てて、その体系については、議員の皆様にもお示ししながら、予算に関係することですので、御意見をいただきながら進めてまいりたいと考えています。 ◆おぎのけんじ 委員 未知の分野に突っ込んでいこうとするならば、強力なリーダーシップが必要だと思いますし、せっかく四億円以上かけて調達したハードを無駄にしないためにも、教育長にかかる責任は重いと思います。ですから、予算を求めていく時期になってきていますので、ぜひとも具体的な計画を早々につくり上げていただいて、当然、我々議会とも議論を重ねることになると思いますけれども、積極的に進めていってほしい、期待していますので、よろしくお願いいたします。  先ほどの熊本市では、ユーチューブにチャンネルを開設していまして、子ども向けの教育コンテンツはもちろんなんですけれども、教員の方向けにズームの使い方ですとか、実物投影機の使い方だとか、ロイロノートの使い方等々が細かくアップされていまして、それぞれ五百回以上視聴されているんです。私も見て、すばらしいなと思ったんですけれども、これは全部教育委員会主導らしいんです。世田谷でも今申し上げたようなソフト戦略は、当然、教育委員会として、これから担っていかなくてはならないわけですけれども、先生だけではなくて、世田谷の教育委員会自体も組織として、ICTのスキル、感度を上げていく必要が十分にあるのではなかろうかと思うんですが、この点、いかがですか。 ◎隅田 副参事 教育委員会では、GIGAスクール構想による学習環境の整備に向け、タブレット端末の整備や通信機器の整備に積極的に取り組むとともに、オンラインによる研修や、ICTによる実践事例や、教材のデータベース化を進めるなどして、区立学校全体としてのICT活用スキルのレベルアップに取り組んでおります。  今後、外部アドバイザーの専門的な支援を受けるとともに、ICT活用に取り組んだ自治体の取組を参考として、教育委員会自体のさらなる底上げを図り、学校のICT活用を牽引してまいります。 ◆おぎのけんじ 委員 外部アドバイザーの支援を受けるという話が今ありましたけれども、外部のコンサルみたいな方々ともある程度対等に話せないと駄目だと思うんです。言いなりになってしまうわけではなくて、世田谷の事情に合わせて話を進めていってほしいなと思いますし、先進事例は熊本以外にもたくさんあると思いますので、そういったところに積極的に視察に行っていただくだとか、学校現場から教育委員会は何も分かっていないと言われないように、ぜひ教育委員会内部の底上げもよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、図書館の未返却本への対応について伺いたいと思います。  いわゆる期限が来ても返ってこない本ですけれども、そもそもほかの自治体で督促経費がばかにならなくなってきたとか、希少本が返却されずに困っているとか、私は聞きましたので、世田谷ではどうなんだろうかなと思って、質問させていただく次第です。  中央図書館長に過去五年の未返却本等々のデータについて聞いてみたところ、累計で六千三十九冊ありまして、今年度の分は、八月十五日時点までの分が千六百二十三冊ありまして、足し上げると七千六百六十二冊がここ五年半ぐらいの間に返ってきていないということなんですが、昨年度と今年度が一気に増えている形なんですけれども、これはどういう原因なんですか。 ◎谷澤 中央図書館長 あくまでも推定になりますが、令和二年二月以降、新型コロナウイルス感染症拡大で外出自粛なされた影響があると考えております。 ◆おぎのけんじ 委員 コロナの影響だということですけれども、先ほど加藤委員が質問されていた宅配の返却率というのは芳しいんでしょうか。 ◎谷澤 中央図書館長 宅配の返却率の数字は、申し訳ないんですが、持っておりません。 ◆おぎのけんじ 委員 分かりました。  延滞している方への督促件数ですけれども、昨年、中央図書館だけで一万八千八百十五件あるんです。これは電話が一万三千六百七十一件、はがきを送ったのが五千百四十四件で、その合算ということです。同じ人に二回対応したとかを含めた延べ件数だと思いますけれども、ちなみに、今年度は十月三日の時点で七千四十九件、督促対応しているということです。  ちょっと聞きましたら、督促業務を担当する嘱託の方が土日にまとめて電話対応しているということなんですけれども、さっき申し上げた、昨年度、電話が一万三千六百七十一件あったということで、これを土日で割り返すと、一日当たり百三十六件電話していることになるんですけれども、これは本当ですか。 ◎谷澤 中央図書館長 嘱託員十二人で手分けをして電話しております。この数字がその数字になります。 ◆おぎのけんじ 委員 十二人いて、そのうち何人で対応されているか分かりませんけれども、いずれにしても、これはちょっと普通じゃない数字だと思うんです。その方々も、当然、ほかの仕事があるんだと思いますが、仕事を充てがうために督促業務を据え置いているようなふうにも思わざるを得ないようなところもあると私は思っているんです。  そもそもでちょっとお聞きしますが、現状の延滞のルールだとか、ペナルティーとか、督促方法というのは、これでいいとお考えなのか教えてください。 ◎谷澤 中央図書館長 現在、メール、電話、あるいは、はがきを使って、段階に応じて督促を行っておりますけれども、課題はあると認識しております。 ◆おぎのけんじ 委員 ですよね。今のままだとまずいと思うんです。図書館では当たり前の作業になっているのかもしれませんけれども、本来は発生してはいけない業務と発生してはいけない経費が膨らみ続けているわけです。はがきも区内全二十三施設で、昨年度、約二万九千枚出していまして、はがき代だけでも百八十五万かかっているわけです。ですから、この無駄な経費と業務を極力減らしていかなければいけませんし、本も区の財産でありますから、しっかり守るという意識を持って、今後取り組んでいただきたいと思います。  ついては、一回、ゼロベースで延滞ルール、ペナルティー、督促方法等々について見直していただいて、今後、実効性のある対策を打ち出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎谷澤 中央図書館長 現在、返却期限より四十五日経過した場合に貸出停止になるといった仕組みで運用しておりますけれども、そういった仕組みの見直しですとか、あるいは、現在、区立図書館で導入を進めております自動貸出機で未返却資料がある場合の画面表示のシステム改修を行うなどの検討を行って、未返却資料の解消に努めてまいりたいと考えております。 ◆おぎのけんじ 委員 私もネットで調べるだけでしたけれども、ほかの自治体だとか、あるいは、大学の図書館なんかも、いろんな対策を打っているんです。中には、督促業務を外部委託して、一人一人訪問して取り立てるというようなことをやっている自治体は回収率が劇的に上がったそうであります。当然、お金もかかっていると思いますが、毎年やらなくても、五年に一回とか、四年に一回ぐらい、こういうことをやって、世田谷区は延滞すると怖いぞというようなことを区民の方々に認識してもらうというようなことも有効だと思いますので、ぜひ参考にして、取り入れる部分は早急に対応していただきたいと思いますけれども、再度、いつからやりたいかみたいな意気込みをお聞かせください。 ◎谷澤 中央図書館長 今、委員からお話しいただいたような事例ですとか、他自治体の状況もきちっと把握をして、研究して、まずは、そういった課題を解決するような取組をする担当チームがありますので、そういったところで担当していって、早急に検討していきたいと考えております。 ◆おぎのけんじ 委員 最近、自治体によっては、図書の本の貸出しをマイナンバーカードを使ってやっているみたいなことを実証実験的にやっている自治体も出てきたようでありますし、ぜひ、図書館の業務自体も、オンライン化できるところは―しているところも結構あるとは思いますが、業務効率化の観点だとか、そういったところも含めて、もう一度見直しをして、今後取り組んでいただければというふうに思います。  以上で自民党の質疑を終わらせていただきます。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時十二分休憩    ──────────────────     午後二時二十五分開議 ○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  公明党、どうぞ。 ◆福田たえ美 委員 これより公明党の質疑を行ってまいります。  平成二十八年十二月に公布をされた教育機会確保法、教育機会確保法には、登校という結果のみを目標にするのではなく、不登校児童生徒の社会的な自立を目指す必要があると明記をされています。  世田谷区の不登校対策アクションプランには、その考え方を踏まえ、平成三十年度から令和三年度までの目標と具体的な取組が示されています。本プランは、世田谷区教育総合センターの開設も視野に入れ、同センターの教育相談・不登校対策機能の構築と取組の強化を図るための行動計画であることが明記されております。プランの施策の大項目は三点に分かれています。一、児童生徒に対する直接的な支援、二、環境の整備、三、保護者・家庭への支援というこの三つです。  まずは一の児童生徒に対する直接的な支援の中にある学校における支援について伺ってまいります。学校を長期的に休み、どこにも居場所のない息子、娘にどう対応すればよいのか。涙を浮かべ、悩み苦しむ保護者の声は、どうしていいか分からない子どもたちの声なき声として心に刺さっております。不登校は誰にでも起こり得ることであると実感をします。  令和元年第二回定例会では、御相談をいただいた不登校への初期対応について質問をいたしました。初期対応の差により、その後の児童生徒に影響が大きく出るということを感じたからです。教員の経験の差による対応のばらつきを少しでもなくす工夫が欠席初めの早期対応の時期、方法などを明確にしたガイドラインと学校内で組織的に解決を図るための情報共有シートの活用を求めてまいりました。教育政策部の部長からは、ガイドラインと支援シートの作成と令和二年度からの本格運用を予定しているという御答弁をいただきました。  令和二年度は、コロナ禍でのスタートでもあり、従来の学校運営とは異なりますが、この不登校の初期対応についての重要性は変わらないと思います。今年度に入ってからのこの不登校への学校での初期対応の状況について、まずお伺いいたします。 ◎塚本 副参事 世田谷区でも、全国的な状況と同様に、不登校の児童生徒が増えており、教育委員会では一人一人の子どもが安心して充実した学校生活を送ることができるよう取組を進めております。不登校の初期対応といたしましては、組織的に対応できるよう、スクールカウンセラーや養護教諭、教育相談主任等によるチームを構成し、多くの教員で児童生徒の様子を共有することで早期の支援に努めております。  また、不登校児童生徒の状況をより明確に把握するために、東京都教育委員会が作成している不登校対応ガイドラインを基に、登校支援シート等を活用しながら、個別の対応を進めております。 ◆福田たえ美 委員 今御答弁いただきましたが、やはりこれから教員が大量にお辞めになるという時期にもなってきて、そして若い先生方が多くなると、どうしても経験の差も出てくると思いますので、このようなバックアップをしていただきながら、しっかりと教育現場を支えていただきたいと思います。  教育現場での初期対応の差が与える影響というのが、私たちが思っている以上に大きいことを認識して御対応していただいていることは実感いたしましたが、令和元年度の不登校の児童生徒数は八百二十五人ということで、不登校の児童生徒数を全児童生徒数で割った出現率というもので見ていきますと、小学校では〇・七九、中学校では四・七五、不登校児童数は年々増加傾向であり、また、この出現率というもので見ていきますと、平成二十五年以降から、何とそれまでは全国平均よりも低かったのが、全国、また東京都の平均を超えて不登校の出現率が高くなってきているというところは見逃すことができません。  要因については、学校での友人関係や学業不振、生活の乱れ、親子関係などということは伺っておりますが、不登校の実態把握について、まず、今回の令和元年度の世田谷区各会計主要施策の成果というところの一八八ページを拝見させていただきました。ここの主要施策の一八八ページの(4)事業の成果の1というところになりますが、ここに教育相談件数というのが示されております。これは全ての相談件数なのかというふうに察しますが、この件数のうち、不登校に関する相談件数が分かれば教えていただきたいと思います。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 令和元年度の不登校相談件数ですが、小中学校に配置しているスクールカウンセラーが対応したものが約一万六千件、教育相談室が対応したものが約六百件、合計で約一万六千六百件となっております。 ◆福田たえ美 委員 今御答弁をいただきましたが、相談件数だけで判断できるものではないんですが、不登校に関する教育相談室に御相談をされた件数だけを見ていきますと、今御答弁の中の約六百件ということです。六百件ですので、延べ件数というふうに伺っておりますので、昨年度、令和元年度不登校の人数が八百二十五人というこの数からしますと、多分半分にも達していないのかもしれないということを推測いたします。  学校を休みがちになった児童生徒の保護者が最初に手にするのが不登校相談窓口という案内です。そこに記されている連絡先というのが、教育センター二階の総合教育相談室内不登校相談窓口のみの連絡先となっております。そのほかの相談機関については名称のみですので、最初に相談する場所が総合教育相談室というふうになります。ここにつながっている数が先ほど御答弁いただきました数にもつながるかと思うんですが、割合的に半数を超えるかどうかというふうになってきます。ほかで解決の糸口を見出している人もいるかもしれませんが、相談にすらつながっていない人も多く存在することが想像できます。  不登校支援は、区の不登校相談窓口だけではありません。現在は不登校のお子さんを支援する施設も増えてきております。子どもさんの状況に合わせた支援にたどり着くことに苦労した保護者の声はたくさん耳にしております。区では、不登校保護者の集いなどを通じて不登校施策をお渡ししていただくということになっておりますが、それでは支援になかなかたどり着かない親子がいます。  第三回定例会では、我が会派の代表質問でも取り上げました保護者や児童生徒に向けた支援メニューや、それぞれのケースに合った相談先などをまとめた情報提供となるパンフレットを作成すると御答弁をいただきました。全ての保護者や子どもたちに提供されるとのことですが、具体的にいつ頃、どのように配布をしていく予定か、お伺いいたします。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 不登校に関する相談先や施策の案内、内容など不登校の児童生徒に対する支援事業を分かりやすく情報提供するため、パンフレットの作成に取り組んでいるところです。不登校は、特定の子どもに起こる心の問題ではなく、どの子どもにも起こり得ることであるため、広く周知することが必要と考えております。具体的には、今年度中に区立小中学校に在籍する全世帯に配布するとともに、区のホームページから誰でもダウンロードできるように掲載するなど工夫をしてまいります。 ◆福田たえ美 委員 御答弁ありがとうございます。支援が必要な人に一日でも早く情報が届くこと、本当にお願いしたいと思います。  プランの施策の三つ目に入りたいと思います。保護者・家庭への支援というところに入りますが、保護者の心理的負担の軽減として不登校保護者のつどいというのを開催しているということですが、参加した保護者からは、言わずとして分かってもらえることに自然と涙があふれました。まさに心がほぐれる瞬間だったのではないでしょうか。不登校保護者のつどいを開催しているということですが、どれぐらいの参加者で、どのような課題解決につながっているのでしょうか。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 不登校保護者のつどいは、不登校児童生徒の保護者の方々を対象に毎月定期的に開催しており、参加者数は、平成二十七年度には百六十一名でしたが、昨年度は二百三十一名と五年間で約一・四倍となっております。つどいでは、保護者同士が悩みを語り合ったり、ほっとスクールや区内のフリースクールのスタッフ、都立高校の先生を招いて話を聞くなど、様々な情報に触れることにより、子どもの接し方や学校との関わり方、子どもの進路に関する不安の軽減という課題解消につながっているものと認識しております。 ◆福田たえ美 委員 不登校保護者のつどいに参加をされる方々が情報の共有もしていくということもできるということで、なかなか御自身ではたどり着けなかったお子さんの居場所など、また保護者の御相談ができる場所などがここで分かってくるということは、かなり不安材料が一個ずつ減ってくると思います。昨年、二百三十一名の方が御参加されているということで、関心の高さなどもうかがえるんですけれども、参加ができていらっしゃらない方も多くいることもお聞きしております。  区では、夜間開催の充実を目標とされていますが、私のところに実は届いたお声というのは地域偏在の解消です。現在、不登校保護者のつどいは午前十時から午後一時で、教育センター、成城ホール、北沢タウンホールの三会場です。不登校の児童生徒が年々増える中、保護者が参加しやすい環境の整備として、会場を増やしていけないでしょうかという御意見もいただいております。  まず、不登校保護者のつどいの開催会場が三会場ということで、地域偏在の解消と地域ごとの情報交換にもつながる一層の充実が図れるよう、五地域に展開ができないでしょうか、区の見解を伺います。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 不登校保護者のつどいの開催地域でございますが、事業開始当初は教育センターのみで開催しておりました。保護者の方々がより参加しやすくなるように、現在は世田谷、北沢、砧の三地域で開催しております。来年度以降は、玉川、烏山の二地域を加え、五地域全てで開催してまいります。 ◆福田たえ美 委員 ありがとうございます。今の地域偏在の問題は、実はお母様方が三つの会場で集まることで情報交換はもちろんできるんですけれども、地域ごとの情報というのがお母様方同士でないといただけないということで、五地域の中でやっていくことによって近い方とまたお会いできるということで、特に小学校に通っているお子さんは遠くまでなかなか行けないということもありましたので、この五地域に関してはぜひとも本当に行ってほしいという御希望がありましたので、よろしくお願いいたします。  今度は、文部科学省が令和元年十月二十五日に通達をいたしました「不登校児童生徒への支援の在り方について」という中に、支援の視点というのが次のように示されています。「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。また、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること」、教育の機会の確保などを総合的に推進していくことが示された教育機会確保法ですが、不登校であっても教育が保障される環境の整備というのが求められています。  不登校相談には、福祉的な視点は重要です。しかし、福祉的アドバイスだけでは、教育分野へのつなぎが不十分であるというお声をいただいております。教育総合センターの開設に合わせて、新たに不登校対策支援グループを立ち上げるというふうに伺いましたが、このグループが不登校対策支援の充実に貢献するというふうに期待をしております。  教育総合センターの開設に合わせて立ち上げる不登校対策支援グループが、どのような活動によって不登校の支援を行っていくのでしょうか。このグループに福祉分野の人材はもちろんのこと、教育分野の人材も入れて、福祉と教育が一つの課題に取り組む体制が必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 教育総合センターは、不登校に係る相談や不登校の子どもを持つ保護者の支援、センター内に移転するほっとスクールの運営など、不登校対策の拠点として位置づけております。不登校対策支援グループは、学校などと情報を共有し、困難事例への対応や学校の取組を支援するとともに、教育総合センター内の特別支援巡回グループや教育支援グループとも連携し、よりきめ細かい支援に取り組んでまいります。この不登校対策支援グループには、スクールソーシャルワーカーや教員免許の有資格者などを配置することを予定しております。 ◆福田たえ美 委員 ぜひとも福祉と教育の分野のつなぎをしっかりと行いながら、不登校支援を行っていただきたいと思います。  我が会派は、何度となく教育総合センターの中核に不登校支援を入れ、重点的に取り組むことを求めてまいりました。第三回定例会の我が会派の代表質問において、教育総合センターに新たな教育研究機関の機能が抜け落ちている点を指摘いたしました。教育総合センターでは、不登校をはじめとした様々な相談を教育総合相談窓口で受けると伺っています。今までと異なり、御相談の情報が一か所に集まり、一元化されるのであれば、データが蓄積をされ、研究にそれを生かし、より一層充実した支援の構築につながるはずと考えます。  例えば、病状を適切に診断せずに意味のある治療法の選択ができないように、一人一人の子どもたちに寄り添った教育手法を考えるためには、データで実態の把握と分析、研究が重要であります。全国学力・学習状況調査で毎年全国トップの結果を出し続けている秋田県、秋田県の不登校の出現率を見てみますと、東京都が二十位以内に入って、要は出現率が高いというのを示しておりますが、秋田県は四十位付近で、全国でも低い不登校の出現率というのを示しております。  秋田の学力は、教科書の点数が高いということだけではなく、規範意識とか、また自己肯定感も大変高いことも注目する視点です。秋田県の不登校出現率の低さと学力や自己肯定感の高さ、この数字にはある程度相関関係があると分析をします。秋田県の教育の特徴を見てみますと、きめ細かい学習体制、探求型の授業、活発な授業研究が挙げられています。実はこれらの体制をしっかりと支えているのが教育委員会だということになります。研究体制を組織的に行うことで、公教育の底上げを行っております。  また、秋田県の総合教育センターでは、さらに分析等を行い、不登校を分類してタイプ別に対応ができる仕組みの構築を行っております。それにより、より一層的確にスピーディーに対応ができるようになっております。教育総合センターでの総合相談窓口と研究部門との連携による研究などの連携ということですが、これはどのように行っていくのでしょうか、区の見解をお聞かせください。 ◎隅田 副参事 教育総合センターでは、不登校をはじめ、いじめ、特別支援教育などの相談を一元化し、様々な児童生徒に関する対応事例を蓄積してまいります。これらの蓄積された事例を整理分析するとともに、これまでの研究や先進的な取組をしている自治体の研究の成果も踏まえつつ、多面的、多角的な検討を行うなどして、配慮を要する子どもへの早期対応、継続的な支援などにつながる研究を進めてまいります。このように、相談部門と研究部門との連携により、教育総合センターにおける子ども支援及び学校支援の取組をさらに充実させてまいります。 ◆福田たえ美 委員 今御答弁いただきましたけれども、相談部門と研究部門との連携ということで、果たして連携だけで十分にいくのかということも少し疑問に残っておりますが、まずは教育総合センターの構想の中では、現教育センターの課題としてということで書かれていらっしゃったのが施設面におけるキャパシティーの不足を指摘しております。新たな教育総合センターのキャパシティーを拡充することで、研修、研究などの一層の充実を図ることも考えていました。  ところが、今回示された教育総合センター運営計画素案には、新たに区の職員の研修機能というのが入っております。センター内に区職員の研修を入れるとのことですが、教育現場の支援に大きく貢献すべきセンターの機能の低下につながるのではないかと危惧をいたします。区の見解をお聞かせください。
    ◎北村 新教育センター整備担当課長 教育総合センターには、区長部局の研修担当課を配置いたしまして、教員の研修の充実につなげてまいりたいと考えております。教育総合センターの研修会場を区職員も使うことになりますが、教育総合センターは本来、教育の質を向上させるための施設でございます。教員を対象とした研修を実施いたしまして、なお余裕のある時間帯を利用して区職員の研修を実施するものでございます。このため、機能低下につながるというようなことは想定はしていないところでございます。また、教育総合センターは、現在の教育センターの機能を継承しつつ、センター構想でお示ししましたさらに充実した取組や社会状況に応じた取組などについて、予定どおり進めてまいります。  具体的には、先進自治体の手法を参考にした世田谷独自の探究的な学習プログラムの作成や、世田谷型乳幼児教育・保育スタンダードカリキュラムの開発などに取り組んでまいります。また、学校教育や教育相談、特別支援、乳幼児教育・保育の推進などについての研究を進めまして、学校や幼稚園、保育所等を様々な角度からサポートする専門機関として、その機能を発揮してまいります。 ◆福田たえ美 委員 今御答弁をいただきましたが、御答弁の中には、行うタイトルだけを御説明いただいたような形で、この教育総合センターがどれぐらい使われていくのかという数字的なものが示されない限り、ここに区の職員の研修を入れて本当に大丈夫なのかというところがまだ納得できない状況でございます。教育総合センターに本当に必要な機能が十分に発揮される上では、どれぐらいのキャパが本当に必要だったのかということも疑問になってまいります。  また、議会における私たちの質問に対して、理事者の答弁の信義というところを問わざるを得ない現実がもう一つございます。これが今回示されました教育総合センターの運営体制というところになってまいります。この中に示されましたのが、まず本来であります平成二十九年に示された構想と大きく違う運営体制の計画の中で、センター長という言葉が消えているということです。  このことに関しましては、少々長くなりますけれども、過去の議事録を少し読ませていただきたいと思います。平成二十九年二月二十二日、第一回定例会における我が会派の代表質問において、教育総合センターの機能を十分に発揮するためには、センター長のあり方が問われます。どのような視点で選任をされるのか、教育委員会の見解を求めますということに対して、当時の堀教育長がこのように御答弁をしております。  「教育総合センターが十分に機能していくには、センター長にどのような人材を選任するかが重要と認識しております。センターでは、教育にかかわるさまざまな研究に取り組んでまいりますが、多様な分野の研究を実践に生かしていくための総合的な調整や、大学等、外部の研究機関と連携し研究を進めるコーディネートなどがセンター長に求められると考えております。」「センター長については、外部の学識経験者等への委託を想定しておりますが、今後、開設までに教育委員会事務局の組織再編も行いながら具体的な選任を進めてまいります。教育委員会として、教育総合センターが世田谷の教育を推進する拠点として大きな役割を担っていくよう進めてまいります」ということと、あと、平成二十九年五月二十四日の文教常任委員会における理事者からの教育総合センター構想素案の説明がなされた際の議事録ですが、「教育研究員制度の拡充のほか、区内大学などと連携した研究ポストを創設し、また、専門的な立場から調査、研究への助言ですとか評価、検証を行う学識経験者などの教育研究アドバイザーも設置していきたいと考えております。これらを通しまして、さまざまな研究課題に対し、専門性の高い研究や学校支援などを推進してまいりたいと考えております。」「これらを進めていく上では、教育総合センターのセンター長の役割が重要となりますが、センター長につきましては、教育総合センターが取り組む先駆的な調査、研究や実践的な研修、学校支援といったさまざまな機能全体を統括する役割を担うものと考えております。センター長につきましては、外部の学識経験者などの人材の活用を想定しておりますが、今後、教育研究アドバイザーも含め、人選を進めてまいりたいと考えております」といったような御説明をいただいております。  これだけ教育総合センターにおけるセンター長の大切な役割というものと、また、センター長の必要性がとうとうと語られているんですけれども、今回の計画の素案の中には全く消えているということで、先ほどから質問をしておりますが、公教育を支えていくための研究というものをしっかり行っていくのがこの教育総合センターだと思いますが、中における連携というところだけで果たして九十校の学校の公教育を支えていけるのかというところに大変疑問を感じております。  教育総合センターの構想の中ではセンター長と示されておりましたが、なぜ今回の計画素案からはセンター長が消えているんでしょうか。また、センター長に代わる役割というのをどう考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎渡部 教育長 教育総合センターには二つの側面がございます。一つは、教員や幼稚園教諭、保育士などの研修や教員の資料提供等の行政実務の実施場所という側面です。もう一つは、今後の様々な教育課題を研究、検討していく研究機関としての側面です。様々な教育課題があることから、多様な意見を取り入れることができる運営体制を構築する必要があると考え、教育長である私や教育委員、学識経験者、学校現場の代表などで構成する運営協議会を設けることを運営計画の素案にお示ししました。  しかしながら、研究機関としての在り方について様々な御意見を頂戴いたしました。また、御指摘のとおり、研究機関としての機能や運営体制などに関する検討が不十分であったというふうに考えます。教育総合センターには、不登校、乳幼児教育、保育、特別支援教育などの教育課題を検討する複数の研究チームを置くことを検討しており、その責任者として所長などのポストを設置することについて改めて案をお示しし、議会の皆様の御意見も頂戴しながら、引き続き検討を進めてまいります。 ◆福田たえ美 委員 教育総合センターの運営体制に関しては、世田谷の未来をつくると言っても過言ではありません。義務教育は誰もが受ける権利があります。大切な義務教育の現場である学校、児童生徒を真剣に支えていくというそこの責務において、しっかりと進めてもらいたいと思います。  以上で私からの質問を終わり、高橋委員に代わります。 ◆高橋昭彦 委員 では、続いてやってまいりますが、何点かあるんですけれども、教育総合センター、いよいよ佳境に入ってきていますので、今、教育長が言われたとおり、所長もセンター長も教育長がやったら、全部責任を持つというぐらい、そう思うんだけれども、何個か予特とか決特で質問していた内容でまだ途中段階のものがあるものですから、まずそこからやりたいと思うんだけれども、一つはマルチメディアデイジー教科書、これはずっと言っているんです。  文章の読み書きに困難がある子どもたちへの支援ができるマルチメディアデイジー教科書、要は普通の教科書を読みづらい子どもたちがいるんだよね。だけれども、これは文字を大きく提示して、そして読み上げてくれる機能も持っている。何回かやり取りしているからよく分かっていると思うんだけれども、前回のやり取りでは、これを導入に向けて進めてまいりますという話があったんだけれども、どんな状況になっているか教えてもらえますか。 ◎會田 教育総務課長 マルチメディアデイジー教科書については、今まで何度か御質問をいただきまして、進めていくという御答弁を差し上げておりました。現状でございますが、昨年度でございますが、笹原小学校と奥沢小学校を検証校とし、日本障害者リハビリテーション協会や関係団体と連携しながら、学校に設置のウィンドウズ端末を活用したマルチメディアデイジー教科書アプリの導入を進めました。教員への操作研修を行いまして、運用、検証を開始したというところでございます。  今後、GIGAスクール構想に基づいたタブレット型情報端末の配備を行ってまいります。検証校の検証結果を踏まえながら、タブレット型情報端末への対応アプリの検討や学校への操作研修などを実施して、今年度学校へ配備するタブレット型情報端末を活用したマルチメディアデイジー教科書の利用にさらに取り組んでまいりたいと思っております。 ◆高橋昭彦 委員 そうなんだよ。この機会をしっかり捉えて、児童生徒がタブレット端末を持つようになるわけだから、なかなかそこが充実できないというのが一つのこういったシステムの普及の壁があったんだから、今回こういう状況になったわけだから、特に読みづらさを抱えている子どもたちなんかには非常に重要なんだよね。  本当はコロナの学校へ行けないときなんかも、特に自習しなきゃいけない、自分でやらなきゃいけないというようなときなんかがもっと必要だったんではないのというようなこともあったんだけれども、これからせっかくGIGAスクール構想で一気にやるわけだから、これを配備するのに総務課長が一番大変なんだろうけれども、踏ん張って頑張って、配付するだけでも大変だって言っているけれども、そうではなくて、こういったことをきちっとシステムとして入れて、そしてなかなか普通の教科書になじめない子どもたちもしっかり勉強できるような体制が整うんだという状況になるので、今、笹原小と奥沢小に教師に向けて使い方の説明をやったというんだよね。これは各校でもやらなきゃいけないんでしょう。まずはそこからスタートするんだろうから、それをしっかり進めてくださいよ。どうですか。 ◎會田 教育総務課長 ただいまお話しいただきましたように、ここでGIGAスクール端末ということで全校展開いたしますので、まずは二校ということで検証を始めておりますが、さらに幅広く導入、そして教員の研修等も行わないと、実際子どもたちに指導できませんので、そういったことも踏まえながらぜひ進めてまいりたいと思います。 ◆高橋昭彦 委員 進めてまいりたいということはいつも言っているんだよ。だけれども、なかなか進まないというのが、教育委員会ってそういうのはなかなか進まないね。會田さん、もう一個ごめんね。二つの学校を検証していると。検証って具体的に何をやっているの。 ◎會田 教育総務課長 今回の二校への導入につきましては、アプリケーションの導入といいましても、やはり幾つかの壁がございました。それはセキュリティー面というようなところで、ファイアウォールの設定だったり等々に幾つかハードルがありまして、まず、きちんと動くというところまで持っていくのに時間がかかったりということもございました。今、実際に使えるようになりましたので、それを子どもたちに有効に活用するというところで、今年、コロナ禍ということもあって、子どもたちの活用ということが一学期はなかなか難しかったのですが、子どもたちの活用を進めていきたいと考えております。  さらに、GIGA端末、またiPadということにもなりますので、またネットワークも変わってまいりますので、そちらでもきちんと動くことを確認しながら拡大してまいりたいと思います。 ◆高橋昭彦 委員 検証というのは、ちゃんと動くかどうかというのを検証しているということね。ということなのかな。子どもたちが使ってみてどうだったという検証はやっているの。 ◎會田 教育総務課長 子どもたちが実際に使うというところでございますが、一学期はなかなかできなかったというふうに聞いておりますので、これからさらに進めてまいりたいと思います。 ◆高橋昭彦 委員 よろしくお願いしますね。本当は一問だったのに、ごめんね。ともかく、ここまで言ったからには一気に進むでしょう。よろしくお願いいたします。  もう一つは、三月の予特のときにもちょっと話したんですけれども、これも実施するよう検討してまいりますと言っていたんだけれども、学校での給食、給食で安全な給食の提供というのがやっぱり大事だというところで話を進めていて、要は残留農薬に対して、武蔵野市では残留農薬の学校給食の検査をやっているよねという話をしたんですね。  無農薬のものを使うということが完全にできるというのは非常に難しいんだけれども、では、現実に学校で食べているものが、いろんな検査はしているよね。放射能の検査とか、様々な検査をしているんだから、安心ですよという公表ができるような、世田谷区の給食ってこれだけちゃんと検査していますから大丈夫ですよというふうに表明してあげるということが、やっぱり保護者にとっては安心感を得るんだよね。そういう意味では、残留農薬の検査というのも、世田谷区も導入してみたらどうって話をしたら、必要に応じて実施することを検討してまいりますという話をそのときにしていたんだけれども、覚えていますか。 ◎桐山 学校健康推進課長 予算特別委員会で私のほうでお答えをさせていただきました。 ◆高橋昭彦 委員 だから、それでどうなったの。 ◎桐山 学校健康推進課長 昨年度、教育委員会としまして、残留農薬検査についても必要に応じて実施を検討してまいりますというふうにお答えをさせていただきました。今回、学校給食の提供におきまして、やはり最も留意しないといけないことは、児童生徒に安全で衛生的な食事を提供することを考えております。  教育委員会では、学校給食で使用する食品の安全確認のために、食品に関する自主検査を実施しております。その中で残留農薬検査につきましては、今年度、年明け以降に実施する予定でございます。学校給食で使用する食品の中から、まず検体を選定いたしまして、農薬の種類など調査項目につきましては、健康被害への影響が懸念されるものについて具体的に検討してまいりたいと考えております。 ◆高橋昭彦 委員 今年度年明けに行う。具体的にどういう機関を使いながらやるというのも検討しているのかな。こういうのは検査研究所みたいなものがあるのかな。 ◎桐山 学校健康推進課長 残留農薬検査につきましては、農薬のセット、キットがございまして、その中でどういった農薬の分析をするかというものが様々ございます。一斉の農薬の分析をしたりとか、あとは特定の農薬に限って検査をしたりとか様々ございますので、そういったものも含めまして、検査品目等も踏まえながら検討して、年明け早々には実施していきたいというふうに考えております。 ◆高橋昭彦 委員 ありがとうございます。じゃ、これもちゃんと進みそうだね。よろしくお願いしますね。どういうものを検査していくのかということを検討するというので、どういうふうになっていくのか、また教えてくださいね。  それから、前回もいろいろお話ししたんですけれども、東京ティーンコホート研究というのがあるんですね。コホート研究というのは一般的なものですけれども、前回もお話ししましたけれども、十歳から十二歳の世田谷区の子どもたち約三千人に対してアンケート調査を行って、それを二年ごとにずっと行っていきながら、その子たちが成人になり、そしてまた年を重ねていく中で、思春期における家庭環境や考え方、そういったものがどういう影響を及ぼし、そしてどういう人生を送れるのかというような研究を今行っているわけですね。行っているところは東京都医学総合研究所だったかな、行っているわけですけれども、今その子たちは十六歳になっているわけね。十六歳としての今のアンケート調査を行っているわけですね。  コホート研究というのは一般的なもので、特にイギリスなんかでは、六十年間続くコホート研究というのをずっと行ったりしていて、実際にどういうことから人生が変わっていくのかということを統計的にまた調べていっているという調査なんだけれども、前回そこのお話をしながら、今、世田谷区の約三千人の子どもたちへの調査をして、大体思春期ですから、思春期の子どもたちがどういった心の不調を訴えるのかということで、前回お話ししたのは、心の不調は痛みに出るんだよという話をしました。頭が痛いのが何か月間か続きますとか、お腹が痛いのが何か月間か続きます。実はそれは身体的な痛みではなくて、心の痛みから始まっているんではないのということが見えてきましたよということがあった。  であるならば、学校では毎年毎年健康診断をやるんだから、そのときの問診でそういった項目を入れて、心の不調をキャッチするということが大事なんじゃないのということをこの三月の予特で言ったんです。だけれども、これは学校健康保健法だか安全法―で項目が決まっていたりするから、簡単にできるものじゃないんだというような雰囲気だったかな、あのときはね。  だけれども、そんな固いことを言っていないで、子どもたちのためだったら、そういった項目を世田谷独自でやってもいいんじゃないかなって僕は思ったんだけれども、ちょっとそれもよく検討していってもらいたいんだけれども、今回もう一つ、浜松市で七月から九月にかけて、ICT活用による子どもの心の健康観察調査というのを行ったのね。浜松市の教育センターが、あと委託をしているんですよ。公益社団法人子どもの発達科学研究所というところに委託をして、これを行うんですよ。  この調査は、子どもたちの心のメンタルヘルスを科学的に測定するために、市内の小中学校の全児童生徒約六万二千六百人を対象にウェブアンケートを実施しましたというのね。低学年を除いて全児童生徒に行ったと。その結果を基に教員らが支援の必要な児童生徒を早期発見して、適切な支援を行うことにしたんだというのね。  アンケートの内容というのも、これは学校のパソコンで子どもたちが全部やるという状況だったんだそうですよ。アンケートの内容も何項目かで入れてもらって、子どもたちに分かりやすく簡単にできるようにするという状況でしたから、だけれども、例えばこの二週間、次のような問題にどれぐらい頻繁に悩まされましたかというようなことで四つぐらいあって、そのうちで緊張感、不安感または精神過敏を感じたりすることがあると、心配することをやめられない、または心配をコントロールできないというようなこと、それが全くないか数日間あるか、半分以上あるか毎日あるかということで、パチパチパチパチやってもらうという、そういったアンケートだったそうですよ。  これをやってフィードバックシートというのを作って、保護者にも返し、そして担任の先生にもフィードバックして、その中でこの子はこういうことを考えているんだな、言葉には出せないけれども、こういうことを思っているんだなということを実感することができる。そして、支援に、フォローに当たっていくことはできるというような状況をつくりましたというのがこの浜松市の状況だったんです。  浜松市の教育委員会の人はこう答えているんですよ。客観性のある具体的な結果が出てきて現場も驚いていると、今までは経験値に頼っていたと。学校からも、子どもの心の元気さがよく見えてよかったと。登校渋りの子どもと結果が一致していたと。子どもの心の面を感覚でなく客観的に見ることができた。こういうことをやったんです。  僕は、心の不調とかいうことに対しては、こういう子どもへの気づきということが非常に大事だよね。そういう意味で、こういったことをどういうふうにまた展開できるかということも大事だと思うんだけれども、今、思春期の子どものメンタルヘルス対応について取組をお伺いしましょうかね。 ◎塚本 副参事 思春期は心身ともに大きく変化し、不安定な気分になりやすい時期であり、また最近は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、子どもたちのメンタルヘルスが今まで以上に重要であると認識しております。学校では、心の健康について、小学校五、六年生の保健及び中学校保健体育の授業において、心と体の関わりや不安や悩みの対処法を学んでいます。  また、子どもたちの学級での様子だけでなく、部活動や委員会活動など、様々な場面で複数の教員が関わることで子どもたちの変化に気づき、相談体制につなげております。今後もスクールカウンセラーや外部の相談窓口と連携し、思春期の子どもたちの心に寄り添えるように取り組んでまいります。 ◆高橋昭彦 委員 今やっていらっしゃる中で様々気づきを見ている。特に副参事とこの間、話したときなんかも、一番子どもたちの思いが分かるのは部活ですねという話もされていたけれども、やっぱり通常の授業だけだと、なかなか子どもたちの本音というか、気持ちというのが出てこなかったりする。ただ、部活になると自分の気持ちが表れてきたりする。そういう場の設定というのも非常に大事なんだろうと思うんだけれども、僕は子どもたちの心の気づきという部分では、さっき言ったような健康診断だとか、また、こういうウェブによるアンケート調査とか、こういったことを、いろんな方面から一人の子どもたちをいかに守っていきながら育んでいくことができるかということは、挑戦すべきだと僕は思いますよ。どういうことが一番できるのかというようなことが、やっぱり教育委員会として検討していく。攻めの姿勢で、よし、ここから子どもたちの心に近づいてみようというようなことも必要になってくるんだろうと僕は思うのね。そういったことをよく考えてみてもらいたいと思います。  もう一つ―もう二つなんだけれども、コホート研究で表れてきたもの、ここの研究所でやっていた結果で今年の一月にプレス発表したものがあった。それはどういうことかというと、これはこの間もやったやつですよ。でも、答弁は求めなかったものですから、今日はどういうふうに考えているかをお聞きしたいんだけれども、どんな要因が子どもの幸福度を高めるのかということに対して、このコホート研究チームは、世界保健機構が推進する指標を使って幸福度を点数化したと。過去二週間、どういうことで感じたかというようなことを点数化してやったんだと。  これもコホート研究の中のアンケート調査でやったんだけれども、関係がはっきりしたのは三つだったと。幸福感を感じるというものの関係は、まずは自分が、子どもたち自身が周囲に困っている人がいたら積極的に助けるという子、また二つ目は自分が困ったときに相談できる人がいるという子ども、この人たちはやっぱり非常に幸せ感、幸福感というのを感じているっていうんだよね。  もう一つの要因は、母親が困ったときに相談できる人がいるかということ。子ども自身ではなくて、その養育者が、あなたが困ったときに相談できる人はどのぐらいいますかということと、子どもが幸福だと感じる、幸せだと感じるということが非常に密接に絡んでいますよということが、対象でやったのは世田谷の子どもたちですよ。というのが明確になりましたよということが今年の一月十一日の朝日新聞のプレス発表だったんです。  ということで、世田谷区では家庭教育ということに教育委員会も力を入れてやっていらっしゃる。養育者の中でも、特に母親に対しての家庭教育支援というのを重点に置いて教育委員会は行っているというふうに思うのね。教育委員会としてPTAに対して、そしてまた養育者に対してのどういうふうになってもらいたいか、どういうふうに感じているか、そこから何をキャッチするのかというようなことをやっていると思うんだけれども、ここで言うコホート研究の結果は、この母親を孤立させないんだということが子どもにしっかりつながるよということを明確に言っているわけですね。家庭教育の中で、教育委員会として養育者、特に母親の孤立をどう防いでいこうかということをどう考えているのか、お聞きしたいと思います。 ◎田村 生涯学習・地域学校連携課長 現在、第二次世田谷区教育ビジョン・第二期行動計画において、家庭教育への支援と乳幼児期からの教育の推進を掲げております。家庭教育への支援では、子どもの幸せを願う保護者の願いを学習テーマに、保護者が互いに知恵を出し合い、学び合う場として、区立幼稚園、こども園、小中学校のPTAに委託する形で家庭教育学級を開催しているところでございます。  昨年度の実績で申し上げますと、思春期に関連するテーマにつきましては、小学校で三校、中学校でも三校で開催していただいております。開催数は少ないものの、毎年、小中学校で思春期に関連するテーマを開催していただいております。また、今年度、家庭教育学級では、新型コロナウイルス感染の影響により、多くの園及び小中学校のPTAが二学期から活動を開始していることから、二十九の園及び学校が開催する予定となっております。  このような状況を踏まえ、教育委員会といたしましては、より多くの保護者の学習の機会と場を提供できるよう、従来の集会のみの形式にこだわらず、ズームなどのオンラインによる開催も含め、学習環境の整備の充実を図っているところです。引き続き、家庭教育への支援に努め、情報提供の充実、保護者同士の地域の連携などを通じて保護者の孤立化を防いでまいります。 ◆高橋昭彦 委員 ぜひコロナ禍の中でのものというのは、でも、ここで学んだことがあると思うよ。こういうズームとかを使いながらとか、じゃ、そういう中での発信の仕方、そして養育者、保護者の受け止め方ということをしっかりと、どう受け止めていくか。その中で見つけられるものがあるんだというふうに決めて、孤立を防いでいこうという状況をしっかりつくってくださいよ。  もう一つ、これもコホート研究の一番新しい結果なんですけれども、思春期の時点で抱いていた価値、意識が高齢期の幸福感を予測するというちょっと大きな話ですよ。実は六十年以上にわたる大規模コホート調査によるエビデンスが発表になったんです。六十年間にわたるコホート研究をやっている国があるんですね。これがイギリスなんですね。  さっき言った東京都医学総合研究所の社会健康医学研究センターは、このたびロンドン大学との共同研究を行って、そして六十年以上にわたって継続された大規模追跡調査データを分析して、思春期の時点で抱いていた価値、そういった意識、具体的には興味や好奇心を大切にしたいという意識が、高齢期の高い幸福感を予測することを世界で初めて明らかにしたというプレス発表がされた。これは今年の九月十六日の英国の科学誌に発表されたものなんです。これも日本人とロンドン大学で続けてきた研究の一つの成果。  思春期のコホートは世田谷の子どもたちの調査ですよ。それと向こうの六十年間を合致して、研究の結果は実はこういうのも出ましたよというのがあるんです。これは興味深い話が出てきたんです。これまでの研究で年齢を重ねた高齢期に幸福感が高いと、心身の健康も維持されることが明らかになってきているんですね。幸福感が高いと心身ともの健康が維持されるんです。これは今回の認知症条例にしっかりと使っていけるような、そういったものなんだというふうに僕はずっと言っていて、だからこそ希望ファイルと、ここで言ってもあまり意味ないか。  若い頃の何が高齢期の幸福感を高めることができるのか。若いときの何がきっかけなのか。高齢期の人生満足感は、自分をコントロールできるかというよりも、何のために自分をコントロールするのかという動機によって一つは左右をされるんだというんですよ。それは、年齢を重ねて人生を振り返ったときに、よい人生だったと思えるためには、若者自身の興味や好奇心を育むための周囲の助けや教育環境が大切であるということが明確になりましたというんです。思春期の頃の最大の思い出というか、最大の好奇心は、これは高齢期でも幸福感に必ずつながるんだというんです。思春期の時点の記憶は、認知症になっても絶対消えないというんです。ということは、ここが一番人生にとって大事だということ。  教育は一人一人の幸福感を高めるための教育だと僕は思う。であるならば、この思春期時代の幸福感を、どう好奇心を育むのかということが一つの大事なテーマなんだろうと思うのね。どういう人に会うのか、どういう人に巡り会うのか、どういう目標となるような人と、どれだけの機会を与えてあげられるのかということが非常に大事になる。ロールモデルとも言うんだけれども、こういったところをゲストティーチャーとか、学校の中ではやっていると思うんだけれども、この機会をもっともっとつくってあげながら、子どもたちの思春期における衝撃的な出会いをどうつくってあげられるかということにもう少し邁進してもらいたいと思うんだけれども、今の状況を教えてください。 ◎塚本 副参事 思春期は、自分の進路や将来について深く考えることの多い時期でもあり、この時期に尊敬できる大人や目標になるような大人に出会うことは、その後の子どもたちの人生によい影響があると認識しております。学校では地域で働く大人を授業の外部講師として招いたり、キャリア教育の一環として職業人を招き、仕事の意義や生き方についての講演会を行ったりするなどしております。教育委員会といたしましては、子どもたちが社会で活躍する様々な大人とより多く接し、成長へとつなげることができるよう、各学校へ働きかけてまいります。 ◆高橋昭彦 委員 いろいろ話してきましたけれども、教育長、こういった研究、調査、これは大事だと思うよ。そのために教育総合センターというのが重要だと僕は思うんです。そういったことを展開できる教育総合センターになってもらいたいし、先進的な事例をしっかり使いながら調査できるぐらいのそういうものをつくってもらいたいと思うんだけれども、こういう民間のところを使って、委託をして一緒になって民間とともに世田谷の教育をつくっていこうというのがいいんじゃないかなと僕は思うんだけれども、先進事例をしっかり使いながら、世田谷の教育を思いっきり上げていくという状況、教育長、どう考えますか。 ◎渡部 教育長 今お話しいただいたことの中で、思春期の過ごし方がとても重要であるということも分かりましたし、様々な調査をしていくということの重要さも分かりました。教育総合センターで、そのような先進的なものを取り入れていくということがとても大事ですので、本当にそれは民間の委託や大学との連携等を考えながらやっていきたいというふうに考えます。 ◆高橋昭彦 委員 よろしくお願いします。しっかりやっていきましょう。  では、公明党、終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時二十八分休憩    ──────────────────     午後三時四十分開議 ○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  世田谷立憲民主党社民党、どうぞ。 ◆中村公太朗 委員 教育長は東京グローバルゲートウェイへ行かれたことがありますか。 ◎渡部 教育長 まだございません。 ◆中村公太朗 委員 まだない、タッチ・ザ・ワールドとは別物だとお考えですか。 ◎渡部 教育長 様々な行った方からとか、ちょっとコロナ禍で行けなくなってしまっているんですが、その施設そのものがそういうふうな英語の教育のようなことができるようになっているというふうに伺っていて、とてもすばらしい施設であると聞いています。 ◆中村公太朗 委員 先ほど加藤君からもありましたけれども、今回、タッチ・ザ・ワールドの中身が非常に芳しくないということで、極めて消極的な対応をこれからしていこうというような方針というか、答弁がされているわけですけれども、なぜ失敗したのかという精査はされたのかな、なぜ失敗したと思われますか。 ◎渡部 教育長 子どもの移動教室としては、それなりの価値があったんだと思います。ただ、小学校は六十二校ですから、その後のところの施設の使い方として、どのようなことが区民向けにできるのかとか、そういうところをもう少し検討すべきであったのではないかというふうに考えています。それから、時間の関係で体験できるものが少なかったり、そういうことも課題であると考えています。 ◆中村公太朗 委員 当時、教育長もいらっしゃらなかったし、課長もいらっしゃらなかったから、今ここで皆さんをどうこう言うつもりはないんですけれども、そもそもうちの会派は大阪のイングリッシュビレッジを見て、ずっと区政でやるべきだということを提案していたら、やる方向に動いたと思ったらTGGに先を越されたということで、結果としてタッチ・ザ・ワールドを開いてみたら、中身は指摘すべきことだらけ、さっき言ったイングリッシュビレッジだったりTGGとは全く違うものができてきて、さんざん注意をした挙げ句の果てに、こういう状況になっているわけですよね。  改めて言うのもあれなんですけれども、まず、途中で英語から多文化に大きくぶれたことが一つ大きなことです。姉妹都市交流という一つの事業、区が誇っているのか分かりませんけれども、その事業との関係性をなぜか持たせることによって、英語だけではない多言語が入ってきたこと、さらにはそこにインクルーズされて世田谷区のよさみたいなものまで入って、結果として今日も指摘がありましたが、あんなジオラマがいまだに残っている。ブースの一つには、昔の世田谷の農耕のモデルみたいなのが残っていて、何の施設か分からないようなものがまず出来上がった。  しかも小学校四年生向けと言いながら、フロッグ踏んだらゲコゲコみたいな、まさに就学前児童のためのようなアトラクションがあったり、英語をしゃべらせなければいけないのに、日本語を発すると英語が出てくるみたいな、ほかの多言語の「こんにちは」と言ったら、初めていろんな言語の「こんにちは」が表示をされる。あそこは英語をしゃべらせなければいけないわけですよ。英語では反応しない、そんなプログラムが組まれたりとか、もう本当にぶれぶれだなということはずっと指摘をし続けたわけですけれども、結果として鳴かず飛ばずというか、不人気の状況になりましたと。  さらに言えば、日中は人が入りませんと、それはそうですよね。子どもたちは学校に行っているんですから。そうではなくて多世代に向けて、要は子どもたちの課題授業以外のところは日中、もちろん空くのは当たり前なんですよ。むしろ、そこに子どもがいたら困るでしょう。だって、学校をサボっていることになるわけでしょう。そうではなくて、であれば、その時間帯に例えば生涯大学のような地域でもう引退された方々でも使えるような魅力的な施設を、もともと整備すべきだということをずっと言い続けてきたのにもかかわらず、こうやらせてくれということで発信をし、こんな状況になってしまったということなわけですよ。  伺いますけれども、今後、あの施設、もう一度あれはどうしていくつもりですか。どう見直していくつもりですか。 ◎塚本 副参事 タッチ・ザ・ワールドは、子どもたちが英語に親しみ、また多文化の視点から日本文化や世田谷の文化を学ぶ場として平成三十年十月にオープンいたしましたが、運営については今までも多くの御意見をいただいており、事業の見直しが必要であると認識しております。  今年度は、コロナ禍により利用分析の対象とすることは困難ですが、昨年度までは、平日の昼間の体制については小中学生の利用が大きく望めない現状があるため、よりよい運営の在り方を検討していくべきだと考えております。今後も引き続き、子どもたちが英語や外国語に親しむ機会を広く提供できるよう検討して進めてまいります。 ◆中村公太朗 委員 本当にやれますか。僕は思うんですけれども、もうギブアップするならギブアップして、生活文化政策部の国際課とかに所管を移してもいいんじゃないかなと正直思うぐらい、ちょっと多世代間とかの、子ども、子どもだけをずっと集中して、何かいい提案が出てこないんじゃないかなというぐらい心配をしています。  もし本当に教育委員会がやるんだとしたら、予算がまたかかるかもしれないけれども、これまでの失敗は本当にもう失敗なんだから、それは認めた上で、根本的にもう一度TGGだったりとか、あの辺をモデルにした、世田谷で本当に多くの方々が実際の英語に触れることができる、いろんなシーンで使う英語を学ぶことができる魅力的な施設として再始動すべきだと思うんですけれども、やる気はありますか。 ◎渡部 教育長 今、委員からも御指摘いただきまして、私としてはもう見直しの時期に来ていると先ほども御答弁で申し上げています。そのときの見直しの仕方についてでございます。まだそこまではっきりと、どういうふうにしていくというところまで内部の検討が進んでいません。そこをしっかりと示していきながら、進めていくということが重要だと思います。  本当に教育委員会として、それを先ほどおっしゃったような形でやっていくのか、または国際課とか、そういうところと一緒にやりながらやっていくのか。生涯学習の視点を入れるのかとか、そういうことについてもしっかりと議論していくという時間が必要だというふうに考えておりますので、もう少し内部で検討をして決めていきたいというふうに思っています。 ◆中村公太朗 委員 多分時間はそんなにないですよ。さっきも出ていましたけれども、やっぱり無駄な税金を、無駄な施設に垂れ流すほど余裕はないので、やるなら本当に根本的に変えて、早急に組み直さなければいけないと思いますし、今回、委託事業者がありますけれども、もう時間がないので、委託事業者の責任なのか、区の責任なのかも問いませんし、問いませんというか質問はしませんけれども、そういうところから含めて根本的に大きく変えなきゃいけないということを厳しく指摘をしておきます。  次に、図書館、これも加藤君とかぶりますが、また加藤君はいないですね。(「どこの加藤君」と呼ぶ者あり)どこの加藤君、自民党の加藤君ですね。 ○真鍋よしゆき 委員長 せめて委員と言ってあげてください。 ◆中村公太朗 委員 すみません、加藤委員。  今回の電子書籍の件については、流用だ云々だという話も出てまいりましたし、まず随契だということが先ほど出たかと思いますけれども、なぜこれは随契になったんですか伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 今回の事業者選定ですが、電子書籍サービスについては、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、緊急に対応すべき課題であると判断をさせていただきました。そのため、プロポーザル方式の公募の場合は、事業者選定までに期間を要すること、また公共図書館でのサービス提供事業者は実質二者に限られていることから、教育委員会内に検討委員会を設置いたしまして、サービス内容などの比較検討を行い、事業者を決定いたしました。 ◆中村公太朗 委員 こちらも時間がないので、とにかく指摘をします。まず、今回の随契の契約自体が電子書籍は二年間契約になっているんですよね。二年間で五十二回ですか。五十二回貸出しができるという契約をそれぞれしているんですけれども、そもそもこれは全体として単年度契約ですよね。なのに二年契約のものを、二年契約というか、一つの本というか、電子書籍については二年間というパッケージで今回購入契約をするわけですけれども、これは随契が続くわけでなければ、来年以降は競争入札にするとすれば、これは一年の本の契約で半額にするのが当然の交渉だと思うんですけれども、随契で来年度以降は競争入札にするんですよという可能性があるんですよと言っておきながら、なぜ契約自体が二年間に縛られているのか。無駄が生じる可能性があると思うんですけれども、そこを伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 コンテンツにつきましては、委員が今おっしゃられたような二年間、あるいは五十二回を選択できるようなもの、それとは別にそういった制限がないものとあるんですが、今回確認しましたところ、これはもう出版社と電子書籍サービス事業者の交渉の中で、二年間五十二回というような制限というのはもう固定化というか、そこは変えられないということで、図書館向けに月割り販売等はできないということでございました。 ◆中村公太朗 委員 交渉はされたんですか。向こうの言いなりで随契を結ぶのではなくて、区民の税金なわけですから、単純に考えれば、二年で何がし、幾らというものが一年契約になれば半額になる。その分、区民の税金は安く済むだろうと思うわけですよ。それが可能かどうかは相手があっての話ですけれども、少なくともそういう交渉はされたんですかということを伺っています。 ◎谷澤 中央図書館長 確認しましたところ、今年度の契約はもう十一月から五か月となりますので、二年あるいは五十二回というような制限が変えられないかということは確認いたしましたが、ちょっとそこは無理だということでございました。 ◆中村公太朗 委員 今年度の残り五か月の話は後にしますけれども、もう一点、今回―今回というか来年度もそうなんですが、月額十四万三千円の標準クラウド利用で年間百八十万円ぐらいになるのかな。これで三千タイトルの契約をするわけですよ。百六十万円ぐらいで三千タイトルの契約をするわけですね。プラス追加のコンテンツだと、千タイトル、三分の一ですよ。三千で百六十万円。千タイトルで四百四十万円払うことになっているんですね。実に割返すと九倍の金額を払って、追加の千タイトルを導入しようということなんですよ。これは一冊―一冊というのかな、電子書籍は分かんないですけれども、千で割り返すと、一個が四千四百円ぐらいになるんですね。これは通常のハードカバーの本の二倍ぐらいの金額を払うわけですよ。  しかも、これは二年もしくは五十二回貸出しが終わったら、何も残らないわけですよね。本は実際は本が残りますよね。ぼろぼろにならない限り永久に使えるものです。九倍払って千タイトル追加するんだったら、まずは標準の三千で安くやるのが、しかも随契で取りあえずトライアルだと言っているんだったら当たり前だと思うんですけれども、いかがですか。
    ◎谷澤 中央図書館長 パッケージは三千タイトルですが、中身が例えば夏目漱石ですとか、太宰治ですとか、そういった版権の切れた青空文庫と呼ばれるもの、あと、東洋経済新報社の週刊誌から特集記事を電子書籍化したもの、そういったもので構成されておりますので、内容的にちょっと偏りがあるというところもございます。公共図書館として一般利用者の方向けに、広い分野をまずは取りそろえたいと考えておりまして、追加でコンテンツを購入したいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 時間がかかるので、なぜそこの事業者に随契をしたかということは、これまで控室でいろいろやり取りしたからもう触れませんけれども、そもそも二者をてんびんにかけて、二者しかですよね。いろんな理由をつけていましたけれども、二者になって一つの随契をしているわけですよ。そこのそろえているものが三千タイトルだとちょっと偏りがあるから、それの九倍のお金を払って千タイトル追加して、四百四十万円かけてやりたいということなわけですよね。  今回は随契ですけれども、将来競争入札にしていかなきゃいかんというふうにも触れていますけれども、今回はたった五か月なんですよ。五か月で仮に来年度、競争入札にするんだと。しかも、事業者が変わったとしたら、これは半年で四百四十万円、しかも二年契約が残っているので五か月後には、その二万冊分のものは契約が切れるというか、なくなるんですよね。そんなことでいいんですか。  というのは、逆を返すと、つまり、来年度はまた随契で結局やるんじゃないのと。つまり、これはずっと随契でやり続ける文化が続いていってしまうのではないか。これは一回始まったら競争入札に本当に変えられるんですか。ということを、やっぱり随契というのは、僕らは極めて反対をしてきた。競争性も含めて反対してきたわけですけれども、こういう余地を今さらこのタイミングで、しかもスタートを流用という形で、予算にものらない形でやるということについては、極めて危険があると思っているんですけれども、来年度は競争入札でできるんですか、伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 十一月の電子書籍サービスの導入を今予定しておりまして、そのサービス導入後も利用状況や運用状況の検証を行うとともに、ほかのサービス提供事業者の動向等も引き続き把握をしてまいります。さすがに五か月という短い期間でございます。次回は一年半後に公募による事業者選定も含め、見直しを行ってまいりたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 教育長、僕は、教育予算はこれまでずっと増やせ増やせと言ってきているんですよ。ただ一方で、削る努力についても極めて、皆さんの感覚なのか分からないですけれども、聖域な感があってなかなかメスを入れていかない。削減に対しての前向きなところが見えてこないんですよね。  もちろん、子どもたちに対するカリキュラムの充実だとか教育の充実みたいなところについては、もっともっといろいろやるべきだと思うんです。英語教育にしろ、先進的ないろんな取組はすべきだと思いますけれども、事務的なこととか契約の問題とか削れるところがあると思うし、区長部局と比べてもちょっとガードが甘過ぎるんじゃないかなと。無駄遣いが率としては多いんじゃないかなという、全部見ていないですけれども、感覚を持ちますので、それは両方やっていただかないと、残念ながら削った分、インセンティブがついて教育をより充実というふうには今なっていないので、それも企総の分野で、ずっとそういうものもあっていいんじゃないかということを言ってきましたけれども、やっぱりそこは本当に子どもたちの教育、それこそ税金を無駄にしないという教育も含めて、もっと充実をすべきだというふうに申し上げておきます。  もうあまり時間がないので最後にしますけれども、契約の見直しについてです。教員の勤怠管理の契約についてなんですけれども、今、富士通を中心として随契で、これも随契で委託をされてしまいましたと。民間の同様サービスを行っている方にアドバイザーとなってもらって、課長同行で見てもらいましたら、現状かかっている約五千万円弱ぐらいが状況によっては二千万円ぐらい下がるんじゃないですかというような提案というか、所感、アドバイスをいただきましたと。こういうところはやっぱり下げていくべきだと思うんですけれども、検討状況はいかがですか。 ◎毛利 教育指導課長 教育委員会では、教員の出退勤の記録のみならず、休暇、出張、研修の申請、決裁、通勤や住居の届出など電子化しておりまして、一元的に管理できる教職員人事システムを導入しておりますが、こちらは世田谷区職員用の人事システムと同様の基盤によるシステムとなっていることから、運用サポートなどの業務については、区職員用の人事システムの運用サポート先と随意契約を結んでいるところです。  そして、同システムの運用サポート作業に当たっては、契約先業者のほかにシステムの内容を正確に把握し、サポートを適切に行える委託者が存在しないことから、入札やプロポーザルでの契約は難しいと考えております。教職員人事システムについて、引き続き区職員の人事システムと連動することで、利便性や経費の面において効果的であると考えておりますので、システムの統合であるとか契約手法の見直しなどについては、区長部局と協議してまいりたいと思っております。 ◆中村公太朗 委員 ぜひ本腰を入れてやるべきだと思いますね。具体名は上げませんけれども、様々な契約の中で、ずっと昔から基幹システムを入れたので、それにまつわる様々な細かい契約は全部随契にならざるを得ないとか、今回の図書館の電子書籍もその懸念がありますが、1個入ったら、もうその優位性でほかの事業者の参入が極めて難しい状況の中で、競争性が一切働かないまま、だらだらと続けられる契約というのは幾つもあるわけです。まだ残っているわけですよね。  そういう状況の中で、おっしゃることは教員だけではない、区の職員と全く同じ、連動しなきゃいけないという状況の中で、随契をせざるを得ないという答弁だったり、検討状況ですけれども、もちろん大幅に変えることができれば、そもそも変えるということも重要だと思いますし、例えば教員だけでも人事システムと連動ができる、それこそクラウドで別のシステムで入ったとしても互換性があるのであれば、できるというところまで研究をしたとしたら、もしかしたら競争性で値段も下がる可能性だってあるわけですよ。  だから、受けとかにしないで、積極的にそこは見逃さないというか、まあいいやにせず、少なくとも概算で二千万円下がるというアドバイスが出た以上は、そこはできる可能性を模索するという検討をすべきだということを改めて申し上げまして、質疑者を代わります。 ◆風間ゆたか 委員 総括のときにも少し申し上げましたけれども、教育委員会事務局の方々がここにずらりと並んでいるわけですけれども、事務方としてやるべきことをやっているとは思うんですけれども、教育ってやるべきことの正解だったりとかゴールだったりとかというのは恐らくない中で、目標を設定して、役割分担をして、皆さん事務方の仕事をされていると思うんですね。  だけれども、今、中村委員の質問のように、予定外の質問が来たときに、誰が答えるのかとなったときに、それを答えていくのって、担当する方が責任を持っていれば、予定していなくてもやっぱり答えていかなきゃならないんじゃないですかと。それを誰も挙げないから教育長が手を挙げるなんていうことがあっていいのかということに非常に問題を感じますね。教育長は最終責任者ですから、この間の教育委員会事務局の議会とのコミュニケーションの在り方、多々問題を指摘してきましたけれども、皆さんはどこを向いて仕事をしているのかということが露呈したんじゃないかなと今思いましたね。  かつては教育長の次に教育次長というポジションがありましたけれども、次長がいなくなって今は教育総務部長になっちゃいましたが、教育総務部長、どうですか、この状況をどういうふうに見ていますか。 ◎淺野 教育総務部長 今御指摘いただきましたように、私ども、一致団結して教育委員会という組織をきちんと運営していく立場にありますので、今、御指摘の部分につきまして各管理職、肝に銘じてそれぞれが主体性を持って教育長なり教育委員会を支えるという形でしていきたいと思います。 ◆風間ゆたか 委員 コロナ禍にあって大変に混乱な状況にあった四月、五月を乗り越えてきたと。本当に大変だったと思いますし、その状況下で新任課長となった方たちがかなり多いという状況の中で、大変な組織運営だということは理解していますけれども、そんなことは区民は知らない話なんですよ。私たちは区民の代理者として、こうやって質疑をしていく中で、よりよい教育行政をということを願って、こういう質疑をしているわけですけれども、ああやって手が挙がってこないとなると、その区民の期待に本当に応えようという気概が全く感じられないわけですね。もう少し本当に世田谷区の教育を、自分の持っている領域に関しては責任を持っていくんだということをいま一度お一人お一人に確認してもらいたいと思いますね。よろしくお願いします。  先ほど中村委員が触れたタッチ・ザ・ワールドのことについては、もともと私たちは姉妹都市交流をどんどん広げていくべきだと。本当に世界で活躍する子どもたちということをイメージしながら提案をし、その実現も教育委員会とともに行ってきた。一方で、実際に行ける子どもというのは本当に限られている。でも、行けなかった子どもたちでも、やっぱり英語に慣れ親しんでいくということ、実際に使う楽しさをALTでの学校内のこと以外でも体験できる場としてタッチ・ザ・ワールド、英語村的なものをということを提案したわけであり、それがいつの間にかあんな形に変わってしまったということについては非常に残念だということをこれまでも取り上げてきました。  じゃ、次はどうなるのかといったときに、今年度はアメリカの大学の夏期講習みたいなものに補助をするということに非常に人気が殺到したというような話も聞いていますけれども、それも結局一部の人、抽せんだったとか何とかという話でもありますから、一部の子たちになってしまうということではやっぱり駄目なんですよ。教育長がおっしゃったように、みんなで行ったら楽しめる、楽しめる中で英語を楽しみながら学んでいけるという感覚が非常に重要であるということを、私たちは大阪のイングリッシュビレッジでも見てきたし、TGGでも実際に見てきました。  ああいう空間の中で、楽しみながら自然にほかの言語を使っていくという体験こそが重要だということを言っているわけであって、それを放棄するということはせっかくつくったのであればあり得ないことだと思うんですね。ですから、あの場を再構築するということを真剣に考えていくべきだと、まず申し上げておきますね。  先ほど自民党の質問の中にもありましたけれども、韓国が進んでいると。英語村というのは、もともと韓国のほうが先に手がけて、全国で、韓国内ではもう広がっている。大阪のイングリッシュビレッジも、そこで行っている事業者が韓国資本で大阪で始まったと。非常に人気ですよ。これも当時の副参事は実際に見に行ったと。見に行ったのにあんなものになってしまったということですね。  ですから、何を見に行って、何をしてきたんですかという話になる。本当に世田谷の子どもたちに、ああいうものを体験させようというような、しかも教育者なわけですから、教育者として思いがあるんであれば、形にしてくださいよという話ですよ。ですから、中途半端に上からやれと言われたから、こんなものができましたというんではなくて、本当に世田谷の子どもたちがそれをきっかけにして英語に興味を持って、将来的に英語を使って世界で活躍をしていくということをイメージできるようなもの、事業をやってくださいよ、本当に。いかがですか、教育長。 ◎渡部 教育長 今、委員からもお話しされたように、やはり子どもたちは学ぶ楽しさを英語を通じて味わうべきだと思います。あの施設の中で、子どもたちは楽しいというふうには言っていますが、やはりもう少し事業全体を見直して、子どもがもっと自主的に学べるものに変えていく必要があると思います。それと同時に、やはり空いているところ、そこの使い方についてもしっかりと検討していく必要があるというふうに考えていますので、様々なところを見に行って、また少しその中身については考えていきたいと思います。 ◆風間ゆたか 委員 私は、これまでにも区立の小学生、中学生が等しく同じ機会を得られるべきだと。とはいえ、姉妹都市交流、全員は無理なことであるしというようなことを言ってきました。このコロナ禍にあって姉妹都市交流は、今年度に関しては中止ですし、来年度もちょっとできるかどうか、かなり可能性としては低いかもしれない、そう感じていますね。それを共有化していく仕組みも重要だということをずっと言ってきました。  一方で、私たちがもう一つ求めてきたことは、世田谷が平和を重視する。このことに関しては、世田谷公園内に資料館もあるわけですし、これをもう少し子どもたちに学んでいく、自主的に知りたいと思えるような環境をつくっていくということも重要だということから、八月六日、九日に広島、長崎に中学生訪問団、そういう意味では姉妹都市交流ではありませんけれども、そういったことで実際に行ってくる子たち、その体験をして学んできたことを、例えば生徒会サミットとかで発表するなどをしながら、平和について共に考えていく、こんなことは取り組んだほうがいいんではないかということで、会派としても広島に視察に行ってきましたし、今度長崎のほうにも会派として視察に行きたいなと考えているところであります。  いつの間にか薄れてしまっている戦争と平和という課題に対して、子どもたちが自ら主体的に考えていくような雰囲気、仕組みをつくっていくというのが教育委員会の役割であろうというふうに考えたときに、ぜひこういったことも検討していくべきである。特に姉妹都市交流ができなくなってしまっているからこそ、こういったことに関して募集をしていくというのも、おもしろい取組ではないかと思いますが、今の教育委員会の見解を問います。 ◎塚本 副参事 例年、修学旅行において広島に訪問を計画している中学校があり、生徒たちが実際に現場へ行き、様々な体験を通じて、平和の大切さを実感として学ぶことは有用であると認識しております。来年度の海外派遣につきましては、現状ではどのようになるか分かりませんが、中止となった場合の代替事業の可能性については、国内における感染症の状況なども踏まえて検討してまいります。 ◆風間ゆたか 委員 検討するとはなかなか前向きな答弁だと思いますけれども、世田谷区が取り組んできた中学生の生徒会サミット、すばらしい取組だと思いますね。私がちょうど議員になってから始まったものがずっと続いているということで、実際に中学二年生が中心になって取り組み、中学一年生がそれを見に行くということで、次の世代に伝えていくというような取組でありますが、これも全員の中学生が参加しているわけではない。これからタブレットが全員に配付されるということになると、その様子を同時中継でもあり得るかもしれないですし、録画であっても見るということで、これを全区立中学生で共有をしていくという取組なんかもできるんではないかと思うんですね。  修学旅行は中学三年生ですけれども、そのもっと前の段階で、平和について中学一、二年生が学んでいくということを全区立中学生が体験できればいいなと思いますので、タブレットを使ったそんな構想みたいなものはできるかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎塚本 副参事 今年度で十五回目を迎える生徒会サミットでは、全区立中学校の生徒会代表者が集まり、各学校の生徒会活動や情報交換や身近なテーマについて議論を深めており、毎年大変に有意義なものになっております。昨年度に引き続き、今年度は全体テーマをSDGsとして、各学校の取組やブロックでの取組等を話し合い、自校の生徒会活動に生かせるようにしております。  ブロックごとに話し合った内容については、参加者全体で共有する場として二月に発表会を予定しております。この発表会を通じて、生徒会サミットで学んだことを自校の生徒会の充実につなげたり、ほかの生徒に広く周知したりすることは必要であることと考えております。オンライン等を活用しながら、多くの中学生が視聴できるよう検討してまいります。 ◆風間ゆたか 委員 当事者意識を持ってやってくださいと冒頭に申し上げたわけですけれども、早速ICTとかタブレットということに関しては、教育総務課長の領域だということで、手を挙げてくださったことを非常にうれしく感じますね。その観点からいくと、課長、これを実現していくというのはいかがですか。 ◎會田 教育総務課長 タブレット、これで一人一台端末を整備してまいりますので、今の委員のお話は、生徒会サミットはもちろん、修学旅行とか様々な動画をもっと広く共有できるんじゃないかというお話だったと思いますので、クラウドも活用しながら、そういった動画環境を置く共有の場を設け、一人端末でネットワークも整備すれば、そういった形も実現可能になると思いますので、ぜひ実現してまいりたいと思います。 ◆風間ゆたか 委員 タブレット一人一台というのは、本当に様々な可能性を持っていると思いますし、探求型学習がこれから求められてくる中で、高校の授業で本格的に導入され、大学入試もそういったものが加味されるというふうになったときに、やはり自分で何かに関心テーマを見出すというきっかけをつくっていくのが教育の場ではないかと今後考えられるわけですね。  興味を持ったときに自分で調べられる環境というのは、タブレットがあれば誰でもできるという状況、なおかつ区の教育委員会主導で行ったコンテンツが、例えば先ほどの生徒会サミットであったりとか、自分で検索して自分で調べられる。さらに興味を持ったら、自分でもっともっと調べていけるような探究型学習というのが、家庭の中でもできるような環境がこれから整うということでありますから、そのきっかけづくりを行っているんだということを、ぜひ教育委員会事務局としても意識をしてほしいですし、学校の現場の先生方も環境を整えると。後はもうどんどん興味を持って自分で学んでいけというようなことができていけば、今の時代に沿った教育になっていくんではないかなと思いますので、このタブレットの活用ということはぜひ積極的に進めてもらえればなと思います。  それを求めておきながら、新しいタブレット一人一台となったときに、教育委員会もやることが大変増えてくると思いますが、現場の先生方も、これはもう大変な負荷だと思いますね。特に、使い慣れていない先生方がそれを使っていくとなったときには、やはり我々中高年ぐらいの年になってくると、新しいものを取り入れていくということについては、ちょっと脳の抵抗を示すことがあったりというようなことがあるわけですね。  私は大分早くからいろんなものを取り入れてきていますけれども、それでも新しい若い人たちが使いこなしているアプリなんかを導入するとなると、やっぱりこれはちょっと時間がかかってしまうなということがありますが、ただでさえ子どもたちに向き合うことを重視している先生方が、それを学ぶ時間を確保しろとなれば、これまた本当に大変なことだと思います。そういったことの学ぶ時間をきちんと確保するためにも、やっぱり教員、先生でなくてもできる仕事はどんどん事務方だとかスタッフに任せていく、そういう環境をつくっていくことが必要だと思うんですね。  教育長も校長先生時代に北欧を視察されたと思いますけれども、我々フィンランド視察団も、そういった職員室の現場を見てきましたけれども、本当に先生方は子どもたちのことを考えて、子どもたちの教育に特化をしている。それ以外はアドミニストレーターという役割を持ったスタッフが行っていくという、これがある種これから目指していくべき姿だと思います。  世田谷区の場合には、スクール・サポート・スタッフを配置し始めたと言いますけれども、それで楽になったという話はまだまだ先生方からは聞こえてきません。これは今どういう状況で、どのように先生方は感じられているのかということを教えてください。 ◎毛利 教育指導課長 学校の教員ですけれども、子どもたちの指導以外にも、教材の準備であるとか書類の作成、多くの業務を行っております。また、今年度は、新型コロナウイルス感染症の対応であるとか、ICT機器を活用した授業など新たな対応が増加しているところです。  教育委員会では、教員の業務を支援する人材としてスクール・サポート・スタッフを平成三十年度より十二校に配置し、今年度当社は三十校に拡大、さらに十月からは新型コロナウイルス対応のため、新たに三十校を追加して計六十名を配置してまいりました。学校に入っていただいているスクール・サポート・スタッフには、教材の作成、印刷、提出物やアンケートの集計、校内の掲示物の整理等々をしていただいておりまして、教員は子どもと接する時間を増やしたり、授業の準備を行ったりすることができております。教育委員会では、教員の多忙化を解消し、子どもたちへの指導に注力できるよう、スクール・サポート・スタッフのさらなる拡充に向けて検討してまいりたいと思っております。 ◆風間ゆたか 委員 例えば、いわゆるアルバイトでもできるようなコピー取りであるとか、片付けとか、それぐらいだと本当の意味では教員の負荷軽減ということにはならないのかもしれません。ですから、ある意味では、世田谷の場合は地域とのつながりを重視していたりしますから、それが校長、副校長の役割となっていたりして、副校長に業務負荷が一気にかかっているというのはもうずっと続いていることだったりします。副校長をサポートできるような事務方スタッフというのがもしかしたら必要かも知れませんし、そのためにはある程度の権限ももしかしたら必要なのかもしれません。  そんなことをイメージしながら、まずはスクール・サポート・スタッフが全校配置されるようなことが必要ではないかと思いますけれども、来年度以降は、こういったことにきちんと予算をつけていくべきだと、いかがでしょうか。 ◎毛利 教育指導課長 今お話のあったように、先生たちが子どもたちの指導に注力できるよう、拡充に向けて検討していきたいと思っております。 ◆風間ゆたか 委員 これも検討していくということですので、取り組んでいくものと期待をしています。  私の質問を終えて交代します。 ◆桜井純子 委員 私からは、一般質問のときにも予告をさせていただきましたインクルーシブ教育の質問の続きをさせていただきます。  一般質問のときにも触れました就学時健診の御案内が去年よりは少しバージョンアップをされて、子どもたち、保護者の方がこれを受け取ったときに、自分はどこの地域の学校に行くのかということが分かりやすく、まず一番初めに指定校についてというのが書かれました。そして、裏表なんですが、裏面の最後のほうです。ここの部分がちょっと、こういうことでいいのかなという疑問を持ちましたので、まず初めに、この点についてお聞きします。  就学時健診の御案内の中には、就学相談というコーナーが最後のほうにありまして、ここには特別支援学校や特別支援学級への就学、通級指導学級や特別支援教室の利用を希望される方はお問合せをという記述がされています。就学相談というのは、特別支援教育を受ける前提で行われるものなんでしょうか、いかがですか。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 就学相談は、障害のある子ども一人一人について、障害の状態、本人の教育ニーズ、本人、保護者の意見、就学支援委員会からの意見、学校や地域の状況を踏まえ、総合的な観点から就学先を決定するものです。また、就学先の決定だけではなく、学校生活に慣れるまでの支援や配慮、教育環境を一緒に考える機会であるとも認識しており、特別支援学校などに就学することを前提とするものではございません。委員御指摘の就学前健診の記載内容については今後検討してまいります。 ◆桜井純子 委員 誤解を招くというか、本当にスタートのところでいろいろと御心配を抱く保護者の方もいらっしゃると思います。早急にこの内容については検討して、そしてふさわしい内容にしていっていただきたいというふうに思います。  そして、この就学相談からつながっていくのが就学支援委員会というところですけれども、こちらなんですが、ちょっと前に保護者の方々と一緒に、教育相談・特別支援教育課の方とお話を聞く機会があったときに、就学支援委員会については、お子さんの望ましい学びの場について意見をまとめていくところだということをおっしゃいました。この支援委員会は、どのような経過をたどって意見をまとめていくのか、お聞かせください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 就学相談をお受けすると、臨床心理士や教員がお子さんの発達検査や行動観察を行うとともに、保護者の方からお子さんの様子や就学に対する考えや希望をお伺いしております。それらを基に、就学支援委員会を開催し、教育、医学、心理学などの専門家が障害の状態や教育的なニーズ、就学先の支援体制などを踏まえ、障害のあるお子さんが自らの持つ可能性を最大限に伸ばすことができるよう、就学先について意見をまとめております。 ◆桜井純子 委員 以前からずっと、お子さんの就学先については保護者の意見、意向を尊重するということは確認をしてきていますので、そういうふうに世田谷区教育委員会は態度を取っていると思っていますけれども、就学支援委員会の意見、先ほどの話合いの中では望ましい学びの場についての意見という言い方でしたけれども、ということは、親の意向、保護者の意向とその意見というものが合わなかった場合、保護者の意向というのは望ましくないという考えに至ってしまうということなんでしょうか。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 保護者の方の希望や願いは、お子さんの特性を踏まえた指導を行う特別支援教育を望まれる方や、合理的配慮の下、地域の学校で地域のお子さんとともに過ごすことを希望される方など多様でございますが、それぞれ保護者の方がお子さんのことを一生懸命に考えた上の御意見であると考えております。  教育委員会といたしましては、就学支援委員会の意見を正確にお伝えした上で、様々な情報を基に、お子さんの就学について検討していただきたいと考えているものであり、保護者の方の御意向が望ましくないものとは考えておりません。障害のあるお子さんが就学先において安心して学校生活を送るためには、保護者の方の就学についての理解と、就学後の学校教育への協力が不可欠と考えておりますので、保護者の方の考えや意向を丁寧にお伺いし、相談を重ねてまいります。 ◆桜井純子 委員 では、就学支援委員会の意見と保護者の意向というものが合わないということであっても、望ましくないということではないということで確認をさせていただきました。  実はここのところは本当に重要なポイントで、子どものことを思って自分たちは例えば地域の学校に通っていくことを望んでいても、特別支援学級適という意見が出されたときに、親として自分たちが考えていることは専門家の意見と合わない。ということは、専門家の意見のほうが正しいのではないかという気持ちになって、自分たちが望ましくないような方向を子どもに望んでしまっているのではないか、そういうふうに思うんですね。  ですから、予算特別委員会か何かのときにも申し上げましたが、やはり世田谷区教育委員会、そして関係する様々な機関が保護者と対峙するときには、専門的な知識があるということで言えば、権力的なものを握っていて対等な状況で安心して本当の意向を言っていただくためには、教育委員会側が努力をしていく必要があるということだと思います。  ですので、望ましくないというものではないんだということも含めて、例えば就学相談の相談員さんにも徹底をしていくこと、これが重要です。様々な中で悩みを持たれる場合というのは、対応が選別されたような気持ちになったり、やっぱり自分の思っている意向は駄目なのかと思うような、そういうことを抱かされていることは確かです。ですので、そのことの徹底というのを今後しっかりと行っていただきたいと思います。  そして、学校に通うようになるということで、インクルーシブ教育の目的、地域の学校に就学が決まるということが目的ではありません。六年間、子どもが本当に安心して地域の学校に通って、お友達と遊びながら学習をしていく、成長していく。それを約束していくことが目的なわけです。  ただ、学校に通っている間に、こういったことが起きるケースを聞いています。学校の担任の先生や校長先生などから、いつまでうちの学校に通ってくるのかということを言われて、地域の学校から特別支援学級、学校、そういうところに転級したほうがいいのではないかというような促しを受けるということを聞いています。私は、世田谷区が真のインクルーシブ教育を目指すと言うならば、六年間しっかりと子どもが地域の学校に通えることを約束したんだと思いますが、こういった対応についてはどのように区はお考えになりますでしょうか。 ◎塚本 副参事 教育委員会では、入学に当たり専門家や教員の意見を聞くとともに、保護者の方の希望を伺い、一人一人の子どもたちに最も適した教育活動が行われるよう支援しております。転級については教育委員会との協議が必要となり、担任や学校だけでは判断できるものではございません。委員がおっしゃるような対応があった場合は、学校に指導助言をしてまいります。 ◆桜井純子 委員 そういった場合は指導していくというふうにおっしゃいますけれども、じゃ、そういうときには保護者はどこを頼ったらいいのか。一番身近な頼りになる人が、保護者にとっては担任であり、学校長だと思います。そういうことが、本当は安心して通わなくてはならない、相談を安心してできなくてはならない場で起きているときには、どこに相談したらいいんでしょうか。 ◎塚本 副参事 学校の指導につきましては、教育指導課のほうでいろんな対応をしておりますので、ぜひ教育指導課のほうに連絡いただければと思います。 ◆桜井純子 委員 どこに相談ということを聞きましたが、第一に学校でこういうことが起こらないように、やっぱりインクルーシブ教育の徹底がまだまだ現場ではできていないということを一般質問でも言いましたけれども、そこのところの課題なんだというふうに認識をしていただければなというふうに思います。  そして、学校に通っているお子さんによっては、支援員の方がついていたりする場合に、こういうことが起こります。担任の先生が支援員に任せっきりになってしまって、お子さんを担任として見ていない。そういうことが起きていくということは、こういう状況です。クラスの中に特別支援学校ができてしまっている。支援員と子どものマンツーマンの状況、それをつくり出してしまっているということが実際にあって、担任の先生にお子さんの様子はどうですかというふうに聞いたときに、支援員に任せているので私は分からないんですという答えをした先生がいるそうです。これは本当に特殊なケースではなくて、そうなりがちなのかもしれません。こういったことが起こらないようにと思いますけれども、この件に関して世田谷区はどういうふうに考えますか。 ◎塚本 副参事 子どもへの指導の主体は、あくまでも担任教員であり、支援員は児童や生徒が安全に学校生活を送り、学習環境を整え、授業内容の理解につなげる支援を担っていると認識しております。また、支援員は、子ども同士の交流や共同学習が活発に行われるよう配慮しながら、一人一人の特性に応じた必要なサポートを行っております。教育委員会といたしましては、教科等の担任教員と支援員が連携し、配慮を要する児童や生徒への指導が適切に行われるよう、今後も研修会や学校への視察等を通じて指導助言を続けてまいります。 ◆桜井純子 委員 今の答弁の中に子ども同士の交流や共同学習がという言い方がありましたけれども、特別支援教育の中にも交流学習とか、そういう言葉があって、それは通常は別々のところで勉強しているけれども、でも障害のある子どもとない子どもが一緒に何か交流する。一緒に勉強している、そこにいるということではなくて、別々のところから合わさるみたいな、そういうイメージの授業というのが交流学習ということになりますので、クラスの中では交流というよりは、そこにいてクラスメイトですよね。だから、交流ではないんですよね。  一緒に勉強して、一緒にそこで生活ではないですけれども、育っていく。同じ時間を過ごす、そういう視点に立ったものが本当に必要だと思いますので、ぜひ支援員の方の役割、そして支援員と担任が一緒になって障害のあるお子さんが地域の学校に通っていくことをどのように考えて、中心になってクラス運営を考えていくのか、設計をしていくのかということが、全ての子どもたちを地域の学校に受け入れるときに本当に必要なんだと思いますけれども、この件に関してお考えはあるでしょうか。 ◎塚本 副参事 支援員が効果的な支援を行うためには、学級担任が支援員に対して対象となる児童や生徒への関わり方だけではなく、周りの児童や生徒への配慮事項や学級経営方針なども十分説明することが必要であると考えております。教育委員会といたしましては、学級担任の指示が確実に支援員に伝わるように指示内容を書面としたり、日誌の交換を通じて共通理解を図ったりするなど、各学校の効果的な取組を広めていくよう指導してまいります。 ◆桜井純子 委員 この支援員の方と担任の方がどのような学級運営をするのかが本当に肝だということを先ほども申し上げましたが、本当にここのところをもう少し追求して、教育委員会、世田谷区がどのような学校をつくっていくのか、学級をつくっていくのか、インクルーシブ教育を実現するのかということを考えてやっていかなくてはならないというふうに思いますので、これは継続してやっていきたいなと思います。  そして、もう一つ具体的な問題を申し上げたいと思います。土曜授業というのがありますけれども、土曜授業のときに支援員の方がつかない、そういった状況が起きたときに、現在では保護者の付添いというのは原則的に行わないはずなんですが、保護者の付添いがなければ駄目だということをおっしゃる方がいらっしゃるそうですけれども、こういったことというのは対応的にはいかがなんでしょうか。 ◎塚本 副参事 教育委員会といたしましては、支援員が不在という理由で保護者に支援員の関わりをお願いすることはあってはならないことであると認識しております。そのような対応があった場合は、学校に厳しく指導助言をしてまいります。 ◆桜井純子 委員 しっかりとそれは行っていただきたいと思います。そして、ここまでインクルーシブ教育に関連する細かいことをお聞きしてきましたけれども、世田谷区の中でも医療的ケアの必要なお子さんも通常学級に通っていたりしますし、全くゼロだということではないし、地域の学校での実践というものも少しずつ積まれていることは確かです。  ただ、学校によっては、そして先生によっては、その経験をしていないということから、障害のあるお子さんたち、そして障害といってももう本当に多岐にわたります。障害のあるお子さんたちが自分のクラスに来た、自分の学校に来た、どういったふうに対応したらいいのか、学級運営をしたらいいのか、学校の合理的配慮、どんなふうに整えたらいいのかが分からないというケースがやっぱりあるんだなというふうに思います。  どの学校であっても、世田谷区では対応ができるというのが私は理想だと思いますが、まず、その一歩を進めるために、今、世田谷区で行われているインクルーシブ教育の実例の共有というのをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◎塚本 副参事 各学校では、様々な形で通常学区において障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶ取組が行われております。それらの取組を全体として共有することは有用であり、教員研修等における事例発表などを通じて、教員が他校の様々な取組を学ぶことができるよう取り組んでまいります。 ◆桜井純子 委員 教員研修もいいと思いますし、事例発表というか、それを具体的に見ていただくためには、本当は現地に行って見ていただくのが一番いいと思いますけれども、映像なども含めて具体的に分かるような内容の共有の仕方をしていただきたいと思います。  そして、あわせて、これは障害のあるお子さんをどうしているかということではなく、クラス全体、障害がある子ども、ない子ども、本当にそこにいる子どもたちがどんな様子なのか。そして、できれば戦略的にどんなふうに変わっていったのか。そして、先生、保護者はどんなふうな変化があったのかということまで実は追えるといいなというふうに思っています。ですので、こういったものをまとめていくということ、取り組んでいくということですので、やっていただきたいと思います。  そして、さらに世田谷区は真のインクルーシブ教育を進めると言っているわけですから、そのガイドライン的なものをしっかりと持って、インクルーシブ教育を進めていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎塚本 副参事 各学校において教員がインクルーシブ教育の視点を共有することは、困難さを抱える子どもたちの学習支援や学習機会の保障に効果的であると考えております。教育委員会といたしましては、研修などにおいて教員が障害の特性や対応の方法などをより深く理解するとともに、具体的な授業事例などを学び、各学校において広く実践されるよう取り組んでまいります。 ◆桜井純子 委員 私は、ガイドラインというのをちゃんとまとめてほしいということですので、そこを本当は具体的にお答えをいただきたいと思っています。とにかくまとめていくんだ、それが例えば二年後とか、そこら辺を見据えて追っていくでもいいですし、インクルーシブ教育を実践するために、そこのところ、一つ方針として考えていただけないかなと思いますが、教育長、いかがでしょうか。 ◎渡部 教育長 様々な子どもたちがいて、そしてみんなが一緒に学ぶというインクルーシブ教育については、様々な教員が理解をしていくということが必要だと思っています。それが世田谷では、こういうふうな形で行われているということも共有していくことが必要ですので、どのような形でまとめていくのがいいかということを検討しながら進めてまいりたいと考えています。 ◆桜井純子 委員 場合によっては学校の施設の問題にも関わってくることだと思います。教育委員会全体で取り組んでいただければなと思います。  それでは次に、人権教育ということで性教育についてお聞きをいたします。  コロナ禍ということで外出自粛が続いた中で、十代の子どもたちの性の問題、性の悩みというのが大きく取り上げられるようになりました。中高生の妊娠の相談が急増しているということで、記事を見た方もいらっしゃると思いますけれども、この状況を見るに、私はこういうふうに思います。中高生ぐらいの子どもたちが妊娠をしたかもしれないという、そういう悩みを抱えていることについて、大人たちはどういう態度でいるんだろうかということです。  子どもたちが性交渉を持って妊娠したかもしれない、妊娠した、これについては、今の社会の中では子どもたちの責任、自分たちがそういうふうになることをしたんじゃないのという目でやっぱり見られてしまう。だけれども、もっと深く考えてみれば、子どもたちが妊娠するかもしれない、妊娠した、そういう状況になることに対して対応ができるような教育が全くなされていなくて、子どもたちに責任を求めている状況ではないかなというふうに思いました。  実際に妊娠したかもしれないという相談の中には、全く妊娠をするとは思えないような行為でも、思い悩んで相談をしてきているということで、正しい性教育があれば、そんなことにならないのではないかと私は思いますが、世田谷区の教育委員会としては、取組ではなくて、現状についてどのようにお考えになっているでしょうか。 ◎塚本 副参事 性教育は非常にデリケートな内容であるがゆえに、多くの学校では保健体育の授業を中心に行われております。新型コロナウイルス感染症による長期の学校休業中に、十代からの妊娠に関する相談が増えたとの報道もあり、状況に応じて保健体育の授業内容に加えて、学校休業中の相談先などの情報を子どもたちに伝えることも重要であると考えております。教育委員会といたしましては、スクールカウンセラーや外部の相談窓口とも連携して、子どもたちの状況の把握に努めるとともに、子どもたちに必要な情報を伝えることができるように引き続き取り組んでまいります。 ◆桜井純子 委員 教育委員会としては、子どもが置かれている困難な状況については認識をしているということでした。様々な制約はあるかもしれませんが、一番デリケートな問題に本当に悩んで対応しているのは子どもたちだということで、性教育についても、これから考えていかなくてはならないと思います。  これで世田谷立憲民主党社民党の質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で世田谷立憲民主党社民党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時四十四分休憩    ──────────────────     午後四時五十五分開議 ○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
    ◆ひえしま進 委員 無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑を始めます。  区のインクルーシブ教育の在り方についてお聞きします。今年八月、文部科学省が公表した学校基本調査によりますと、特別支援学校に通う児童生徒が約十四万五千人と過去最多となりました。また、通常校にある特別支援学級に在籍する子も、過去十年で倍増という大変な増加傾向にありまして、もちろん世田谷区も例外ではありません。今後ますます支援に力を入れていかなければならないと考えます。  以下、発達障害や情緒障害のある子どもの教育についてお聞きしますが、区では小中学校に特別支援教室であるすまいるルームを開設しております。まず、確認しますが、すまいるルームとは何かということと、在籍する児童生徒数を教えてください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 すまいるルームとは、全般的な知的発達の遅れがなく、通常の学級での学習におおむね参加できるものの、情緒の発達に偏りがあるなど、発達上の特性によって一部特別な指導が必要と認められる児童や生徒に、コミュニケーションスキル向上などの指導を行う教室です。令和二年五月一日現在、小学生千三百四十人、中学生二百五十九人、合計千五百九十九人がすまいるルームを利用しております。 ◆ひえしま進 委員 すまいるルームに通えるようになるまでの一連の手続を教えてください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 小学校入学に際し、すまいるルームの利用を希望される場合は、就学相談にお申込みをいただきます。その後、臨床心理士によるお子さんの発達検査や行動観察を行うとともに、就学相談員が保護者の方から日常生活での様子や今後の支援についての考えや御希望をお伺いします。また、別の日にすまいるルームの教員や特別支援学級や通常学級の教員など、複数の教員による行動観察を行います。その後、就学支援委員会を開催し、臨床心理士や行動観察を行った先生、医師などによる協議を行い、すまいるルームの利用に関する意見をまとめ、保護者の方に就学支援委員会での意見を丁寧にお伝えしております。 ◆ひえしま進 委員 まず、就学相談が入り口だと思うんですけれども、私の下には発達障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方から、すまいるルームに通わせたいと相談したが、すまいるルームの利用は必要ないと言われたという声が届いております。こういう場合の利用できない理由を教えてください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 すまいるルームの指導は、通常学級の授業を抜けて実施することになります。そのため、すまいるルームの利用相談においては、通常学級の授業を一部抜けたとしても、すまいるルームでコミュニケーションスキル向上などの指導を受けたほうが、お子さんが在籍学級で充実した学校生活を送れるのではないかといった視点を持って検討しております。検討の結果、すまいるルームを利用しなくても、通常学級の指導の中で改善していくことができるとされた場合は、通常学級での今後の指導方法について、保護者の方に御理解いただけるよう、丁寧な御説明に努めております。 ◆ひえしま進 委員 また、就学相談の段階では、すまいるルームの利用を希望していなかったが、入学後にやっぱり通いたいとなった場合は、どういった対応をしているのか教えてください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 先ほど小学校入学に向けた就学相談の手続について御説明をさせていただきましたが、入学後においても、保護者からの相談の申込み、臨床心理士による発達検査や行動観察の実施、在籍校での行動観察などを経て、すまいるルームを御利用いただいております。 ◆ひえしま進 委員 この変更に当たっての手続が結構大変だったという声があります。このあたりはどう認識されていますか。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 すまいるルームの利用に際しては、保護者の方からお子さんの様子をお聞きしたり、臨床心理士や教員による行動観察などをお願いしており、どうしても何回かは御足労いただくことになります。引き続き、利用手続について丁寧に御説明し、御理解いただくよう努めてまいります。 ◆ひえしま進 委員 すまいるルームの利用に当たって、それ相応の判断が必要だということは理解できますが、そもそも就学相談が行われるよりも前の早い段階から幼稚園や保育園に対してなど広く周知すれば、障害のあるお子さんをお持ちの御家族も余裕を持っていろいろと検討できると思うのですが、見解をお聞きします。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 委員御指摘のとおり、就学前の周知は重要であると考えております。教育委員会では、発達障害相談・療育センター「げんき」や東京リハビリテーションセンター世田谷などへ出向き、就学相談の保護者向け説明会を実施しているところです。今後、幼稚園や保育園などを通じた周知についても検討してまいります。 ◆ひえしま進 委員 すまいるルームのほかに、区は学校生活サポーターという方を配置していますが、これはどういった役割を担っているのか教えてください。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 通常の学級に在籍している特別な支援が必要な児童生徒への支援のため、教員免許を保有している方または学校で子どもに関わった経験のある方を学校包括支援員として配置しております。しかしながら、学校包括支援員のみでは対応が困難な場合もあるため、資格や経験はないものの、学校への協力を希望する方を学校生活サポーターとして配置し、特別な支援が必要な児童生徒の介助や安全管理などを行っております。 ◆ひえしま進 委員 特別な支援が必要なお子さんへの人的支援ということですが、回数を増やしてほしいという声が、障害のある子の親御さんからも、またそうでない子の親御さんからもあります。通常学級では双方の子どもが同じ授業を受けていますから、実際問題として様々なトラブルもあると聞いています。学校によっては、障害のある子をベテラン教師が受け持つクラスに集めて指導するなど、現場はいろいろと対応に苦慮しているようですが、回数や人員は足りているという認識ですか。また、現場教師の支援は十分だと考えているか御見解を伺います。 ◎工藤 教育相談・特別支援教育課長 教育委員会では、通常学級への人的支援は重要であると認識しております。障害者差別解消法が施行される前の平成二十七年度と令和元年度の実績を比較すると、学校包括支援員を四十二名から九十五名へ倍増するとともに、学校生活サポーターの配置時間についても、年間延べ約一万三千時間から約六万四千時間と約五倍へ強化するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。今年度においても、学校生活サポーターの派遣要請は増加傾向にあり、引き続き拡充を検討する必要があると認識しております。 ◆ひえしま進 委員 インクルーシブ教育については、文部科学省はインクルーシブ教育システムという言い方をしていまして、ホームページでもその趣旨を公表しています。これを読みますと、障害のある子とない子が同じ場で共に学ぶことはもちろんなんですけれども、そのまま引用しますと、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であるとして、特別支援学級や特別支援学校の整備の必要性を訴えています。  発達障害、自閉症など情緒障害のある子どもが特別な能力を持っているという例は広く知られるようになりました。そういった子の能力を伸ばしてあげたいという思いで、通常学級ではなく、あえて特別支援学級の入学を希望される保護者もたくさんいらっしゃるんです。この声に区はしっかりと応えるべきだと思いますが、今後の特別支援教育の在り方と計画について、教育長の見解を伺います。 ◎渡部 教育長 私は、インクルーシブ教育の在り方の前提としての理念が重要であると考えています。インクルーシブの理念は、あらゆる人が孤立したり排除されたりすることがなく、社会の一員として認め合い、支え合うことだと考えております。インクルーシブの意味である包み込むという意味が、ここにあります。  教育の中で考えてみると、全ての子どもたちが様々な人との触れ合いを通して多様な個性があることに気づき、他者への思いやりや規範意識を学ぶことであり、その子どもの可能性を最大限に伸ばす教育が必要であると考えます。これらのことから、まず第一に、全ての子どもを包み込んでいく基本的な方針に基づくという取組があること、さらに第二に、それらを踏まえて、子ども一人一人の個別のニーズに合わせた必要な教育が与えられること、この両者が必要となります。世田谷区では、世田谷区特別支援教育推進計画に基づき、来年四月に自閉症・情緒障害特別支援学級を小学校二校、中学校一校を新設いたします。  特別支援教育を望む子どもたちや保護者の方に応えるべく、インクルーシブの理念の下、子どもに必要な体験活動や教育の内容、日々の授業の在り方を考え、一人一人の子どもたちの教育を追求すべく、日々努力を重ねてまいります。 ◆ひえしま進 委員 次に、コロナ禍における学校教育についてお聞きします。特に保育園や幼稚園から上がったばかりで環境が大きく変わった小学一年生は、学校に十分に慣れることができないまま多くの授業が押し寄せていて、メンタル面での問題が心配されます。実際に体調を崩して休む児童がいることも聞いております。保護者からはどのような相談があるか、教育委員会はどのようにフォローしているか、お答えください。 ◎毛利 教育指導課長 多くの子どもたちが感染症によるストレスを感じておりますが、特に初めて学校に通う小学校一年生にとっては環境の変化もあり、大きなストレスを抱える可能性があると認識しております。保護者の方からも、長期休業により入学式を迎えることができないことや友達ができずにいることへの不安の声をお寄せいただきました。各学校では、小学校一年生をはじめとする子どもたちへのメンタル面へのサポートとして、学級担任や養護教諭等を中心として、健康相談等を実施したり、スクールカウンセラー等による支援を行ったりしております。教育委員会といたしましても、感染症による子どもたちのストレスに対処するための教員研修の開催や、学校を休んでいる子どもへのオンラインなどを活用したサポートが行われるよう、学校の取組を支援してまいります。 ◆ひえしま進 委員 学校を休んでも欠席扱いしないということですが、これはいつまでの措置なのか教えてください。 ◎毛利 教育指導課長 欠席させたい理由を学校がよく聞き取り、学校の感染防止対策を伝えた上でも不安がある場合は欠席扱いにしておりません。現在のところ、この措置については継続して行っております。 ◆ひえしま進 委員 小学校の音楽の授業では、マスク着用で歌は歌わせないということをしているそうですが、この状態はいつまで続くのでしょうか、もっと工夫することはできないのか見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 現在、教育委員会といたしましては、文部科学省や東京都教育委員会の通知等を踏まえて作成した区のガイドラインに沿って教育活動を行っているところです。そのような中で、児童や生徒が家庭で歌唱や楽器演奏を学べるよう、動画配信等の工夫をしている学校があり、よい取組については他校へも情報提供しております。今後につきましては、感染状況等を見ながら、区のガイドラインの改定を行い、適切な学習活動が行われるようにしてまいります。 ◆ひえしま進 委員 以前、私の質問で取り上げましたが、中学校の修学旅行についてお聞きします。今月二日、文科省から修学旅行について、できる限り来年三月まで実施するよう求める事務連絡が出されました。ほかの会派も指摘していましたが、コロナ禍で軒並み行事が中止に追い込まれ、子どもたちの思い出づくりや楽しみが奪われています。私たちの会派は、修学旅行実施の可否については各学校の裁量に委ねるべきだと主張し、教育委員会もその旨、答弁されました。  国の施策でGo Toトラベルが展開されており、今月一日からは東京発着の旅行も対象に加わりました。当然、コロナの感染防止策はしっかり講じなければなりませんが、諦めていた学校も再考の機運が盛り上がるのではないかと思いますが、現在、中学校の修学旅行の計画状況はどのようになっているのか教えてください。 ◎毛利 教育指導課長 教育委員会では、修学旅行の実施については各学校で適切に判断するよう通知しております。現在のところ、修学旅行の中止を判断した学校が十八校、三学期に修学旅行を計画している学校が十一校となっております。なお、修学旅行を中止した学校につきましては、各学校が創意工夫した代替行事を実施することは可能である旨を伝えており、各学校で検討を進めているところです。 ◆ひえしま進 委員 修学旅行を実施するとした学校については、教育委員会には惜しみないサポートをしていただくよう要望し、質問を終わり、田中優子委員に代わります。 ◆田中優子 委員 私からは、自殺対策について教育所管でできることを求めたいと思います。  最初にお断りしておきますが、ある自死遺族の会が自殺という言葉は使わないでほしいと報道機関に申入れをしたということです。法案のような固有名詞、また行政用語等は仕方ないですが、できるだけ自殺ではなく、自死という表現を使いたいと思っております。  さて、ここ数か月、有名人の自死が相次ぎ、私も大変な衝撃を受けています。連鎖の影響がないよう祈るばかりです。私は、二〇〇六年に自殺対策基本法が制定される際、法の制定に向けての署名運動等の活動をしておりました。そして、何とか自死を減らしたいという思いで、この議会でも何度も自殺対策について取り組んでおります。  現在は、コロナ禍にあって自死にどのような影響があるか心配しているところですが、日本全体からすると、一月から六月は昨年より少なく、七月は千七百九十五人、昨年とほぼ同数、八月は千八百四十九人で昨年よりここで一気に一五・三%増えています。自死の傾向を分析した早稲田大学の上田路子准教授によると、過去三年間の月ごとの平均値と今年の月ごとの値を比較したところ、四十歳未満の若い世代の自死が増えており、特に女性は、七月は二五%、八月は四〇%も増えているということです。コロナ禍による経済的ダメージが女性に強くあったことを示していると分析されていました。  さらに深刻なのは学生です。六月以降は男女とも例年より増加し、八月は男女全体で八一%も増加、うち男子は四七%、女子は一六二%も増えているというのです。本当に深刻な問題だと思います。  世田谷区においては、昨年の自死の数は百一人でした。一月から八月までを比較すると、昨年は六十三名、今年は五十一名なので、八月までだと一九%減少しています。数だけ見れば全国の傾向とは違うようですが、五十一名のうち、一番多いのは四十代の十三名、次に多いのが二十代、十名となっており、若い人たちの割合が増えているところは共通しています。  そこでまず、教育委員会では、子どもたちへの自殺予防をどのように行っているか伺います。 ◎塚本 副参事 各学校では、毎学期ごとに子どもたちにアンケート調査を行うとともに、小学校五年生と中学校一年生を対象としたスクールカウンセラーによる全員面接や小学校三年生以上を対象としたQ―U調査を実施し、子どもたちの抱える悩みや不安の把握に努めております。また、SOSの出し方を教える授業を実施し、信頼できる大人に助けを求めてほしいことを伝えるとともに、悩みや不安を打ち明けることのできる電話相談の窓口や、LINEでも相談できる窓口などの一覧を定期的に配付しております。 ◆田中優子 委員 Q―U調査、楽しい学校生活を送るためのアンケートということでよろしいんですかね。小学校五年生と中学校一年生全員にやっていると、全員面談しているということもあり、以前に比べればいろんな取組をされているなというふうに思いました。  次に、教員研修について伺います。子どもの命を守ることは何よりも大切なことであります。学校現場においては、教職員が子どもや同僚の自死のサインに気づく目を持つということがとても大事になります。また、働き盛りの中年男性の自死が多い日本の現状を踏まえますと、小中学校の児童生徒の中には、自死遺族がいる可能性がある。そういう視点を持てるような研修が必要ではないかと思いまして、私は二〇〇七年の一般質問、そして決算委員会で校長や副校長を対象として、自死遺族のケアや自殺予防の手法を学ぶトップセミナーを開催してはどうかと提案いたしました。  当時、若井田教育長の英断により、すぐ翌年、二〇〇八年、平成二十年から自殺予防などをテーマに取り入れた研修が実施されました。第一回目は、自殺防止の観点からの学校経営の在り方という講義でした。折しも同年四月に東京都教育委員会が自治体としては全国で初めて、自殺予防に関するパンフレットを作成しています。そのタイトルは「子供の命を守ろう」というもので、その中では全ての教職員が自殺予防研修をすることとうたわれていました。  実際、世田谷区で研修を行ってみて、先生方の感想はどのようなものだったか、また教育委員会としての評価はどうだったか、当時伺いましたところ、自殺予防の基本的な考え方の理解、また相談に来た人への接し方など、今までにない視点で自殺予防対策について見直すことができた。自殺の予兆となるサインや対応の仕方を知ることができたなど、参加した校長先生たちから高く評価されたということでした。  そして、教育委員会としても、引き続き管理職に対し、自殺予防に関わる研究会を実施しますと、一般教員を対象とした研修の中でも、自殺予防に関わる内容を取り上げたりしながら、教職員の意識を一層高めていくという答弁が当時ありました。二〇〇八年度にスタートし、二〇一七年度、つまり平成二十年度から二十九年度まで、この十年間は校長、副校長、生活指導主任等々、管理職を対象とした研修が行われていたようですが、その確認と、その後どうなっているのか。現在は教職員の研修をどのように行っているかについて伺います。 ◎塚本 副参事 教員を対象とした子どもの自殺防止をテーマとした研修は、平成二十年度から平成二十九年度において実施しておりました。現在は特別の教科道徳や保健体育の授業を通じて、命の大切さを子どもたちに伝えることや、先ほどもお伝えしたSOSの出し方に関する授業の実施について各学校に指導しているところです。  御指摘のとおり、子どもの命を守ることは何よりも大切であり、各学校には夏休み明けなどの子どもの変化に特に留意するように通知しておりますが、自殺防止については、子どもたちのサインを的確に捉えることが重要と考えておりますので、今後の教員研修の中でも重点的に取り扱うよう検討してまいります。 ◆田中優子 委員 せっかく続けて研修していたのに、ここ三年間空いてしまっているということですよね。それは非常に残念に思います。今年度はコロナ禍のため、様々な研修ができなかったと思いますが、ぜひ自殺防止のための研修会を復活させてほしいということを要望いたします。  次に、図書館でできる自殺予防対策について伺います。毎年九月十日から十六日は自殺予防週間ですが、江戸川区では今年の自殺予防週間に自殺防止江戸川キャンペーンを開催し、中央図書館など全九館で自死に関するパネルを展示したそうです。周りにいる誰かが自死のサインに気づける環境づくりをしていきたいと、自死のサインを出していることに気づいた際、何ができ、具体的にどうすればいいかなどを記した本を二十冊から三十冊ピックアップして近くにまとめて陳列したとのことです。  図書館と言えば、私も、これも先ほどの教員研修と同じように古い話になりますが、二〇〇八年の決算委員会で世田谷区の図書館で自殺予防関連の本を一つのコーナーに集めて対策に取り組んではどうかということを提案いたしました。そのきっかけは、借金地獄サバイバーの吉田猫次郎さんという方でした。吉田さんは、今年四月に放送されたNHKの「逆転人生」に出演されていたので、見た方も多いかと思いますが、借金で死なずに済む方法はいっぱいあります、選択肢は無限だという講演をしながら、多重債務等に苦しむ多くの人を救うために精力的に活動をされていらっしゃいます。  私は、二〇〇六年に発足させた地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会の勉強会で、この吉田猫次郎さんに講師をしていただいたことがあります。そのときのお話からヒントを得ました。吉田さんは実家の借金の保証人になり、肩代わりをしたことでピーク時は借入件数三十六件、借金総額七千五百万円となり、二〇〇〇年一月六日に、もうだめだ、死ぬしかないと誰にも相談できないまま自殺を図ったという経験があるそうです。しかし、失敗しました。  そこで、どうすれば死ぬか、図書館で自殺の方法に関する本を探していたそうです。すると、多重債務は解決できるという本が目に入り、多重債務にはグレーゾーンの過払いというものがあることを初めて知ったということです。そこから必死に勉強し、自身の命が救われたということでした。きっかけは図書館で出会った本だったと。  自死の要因は一つだけではないと言われています。借金、多重債務、健康問題、鬱病、家庭不和、不登校、就職難等々、通常は図書館であちこちばらばらに置かれている本を一か所に集めることで、自死を防ぐ一助になるのではないかと私は考えました。  そして、平成二十年、二〇〇八年の決算委員会でその提案をしたわけですが、こちらについても翌年早速実施していただきました。まず、そのときの実績はどうだったかについて伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 平成二十一年の実績になりますが、まず三月に中央図書館で実施、そして順次玉川台図書館、経堂図書館で関連図書の展示を行いました。この展示は評判がよくて、また関心も高く、貸出実績ですけれども、経堂図書館では展示した本のうち半数程度で、玉川台図書館では六十冊程度を展示しましたが、その本が二回りぐらい借りられたという実績がございます。 ◆田中優子 委員 そのときも伺って、ああ、そうなんだと。私も、初めての取組でどういう反応があるかなというのはちょっと不安だったんですけれども、やはりかなり多くの方がためらわず手に取って、いろんな本を見ていただいたとか、興味を示していただいたということで、やはりこういう取組というのは行政としてかなり有効なのではないかというふうに思いました。  世田谷区では、このように江戸川区よりも図書館での取組、先にやってきているわけですね。悩んでいる当事者にとっては、そこで救いの一冊が見つかるかもしれませんし、また誰もがそのコーナーを目にすることで、自分は自死とは一切関係ないと思っている人であっても、いつ、どんな心の風邪、鬱になるかも分かりませんし、また、あるいは自死に対する偏見を持っている人も残念ながらまだ多いと思います。  しかし、公の場所でこれだけのことをやるということがあれば、自死は決して隠すものでもないし、偏見を持ってもいけないんだというメッセージ効果もあるのではないかと思います。そして、今伺ったように評判もよかったということですし、その後、数年間続けていただいたというふうに記憶しているんですけれども、現在はどうなっているでしょうか教えてください。 ◎谷澤 中央図書館長 中央図書館では、世田谷保健所健康推進課と連携をいたしまして、自殺予防対策の関連書籍やポスター、パンフレットなどの展示を実施いたしました。本年二月下旬から三月にかけては、厚生労働省の自殺対策予防月間に合わせまして四十四冊の書籍を展示、また八月下旬から九月下旬までは自殺予防週間に合わせて六十七冊の書籍を、各回とも関連のパンフレット等とともに展示をいたしました。  また、上北沢図書館では心と体の健康コーナーを平成二十二年十一月より常設展示をしておりまして、約八百五十冊の展示のうち、自殺関連書籍が十二冊、そして躁鬱病関連書籍約八十冊等を展示しております。  なお、中央図書館での展示期間中の状況ですが、リーフレットやパンフレットを手に取っていかれる方が多かったと聞いておりまして、関心の高さがうかがえました。 ◆田中優子 委員 上北沢図書館、私も見てきたんですけれども、心と体の健康コーナー、三つぐらいの棚にたくさんの本を集めて常設していただいているというのはとてもよいことだと思うのですね。ただ、入っていったときに、そのコーナーはどこにあるんだろうと割とうろうろしてしまって、あまり目立たないかなと。普通の書棚と同じように見えてしまうので、せっかくですから体の健康、心の健康という棚の上のほうに、すごく小さく示してある名称をもう少し目立つように工夫していただいたらどうかなと思いました。ぜひそのことを上北沢図書館に伝えていただけたらと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ◎谷澤 中央図書館長 上北沢図書館の心と体の健康コーナー、せっかく八百五十冊展示しておりますので、お一人でも多くの区民の方の目に止まって、そして展示している書籍を手に取っていただけるよう、展示の方法を工夫するよう対応してまいります。 ◆田中優子 委員 ぜひよろしくお願いします。  それから、今も中央図書館では展示を続けてくださっているということで、それはよかったんですけれども、世田谷区は広いので、それぞれの地域図書館を利用している人が非常に多いと思うんですね。中央図書館に行く人というのは限られているのではないかと。ぜひ以前のように、地域図書館でもこの事業を展開していただきたいと考えるものですけれども、いかがでしょうか、見解を伺います。 ◎谷澤 中央図書館長 多くの方に御利用いただいている図書館を活用して関連書籍等の展示を行うことは、自殺の問題を自分自身のこととして考えるきっかけとなるとともに、自殺予防対策の普及啓発に寄与するものと認識しております。これまでは中央図書館を中心に展示を行ってまいりましたが、自殺予防対策について区民の方の関心が一層高まるよう、今後は地域図書館での展示も検討してまいります。 ◆田中優子 委員 よろしくお願いします。  自死を防止するためには、そのサインを大抵出しているというふうによく言われていますが、そのサインに気づく目を持つこと、そして気づいた際に何ができるのか具体的に知っておくことが大事だと思います。世田谷区の図書館には、そういった具体的なことが示されている本は準備されているのかということを確認していただきたい。そして、もしなければそろえていただきたいと思いますが、どんな状況でしょうか、お聞きします。 ◎谷澤 中央図書館長 区立図書館では、自殺をキーワードとする図書を六百五十七冊所蔵しております。ここ数年出版されたものでは、例えば「SNSカウンセリング入門―LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際―」「知っていますか?自殺・自死防止と支援一問一答」、また子ども向けで「生きづらさを抱えるきみへ」などの資料を所蔵しております。一人でも多くの方が自殺予防に関心を持っていただけるよう、今後も資料収集に配慮してまいります。 ◆田中優子 委員 ぜひ充実をさせていってほしいと思います。最終的に自殺対策の結果を求められるというのは、とにかく命を落とさない、命を守ることだと思います。区立小中学校から巣立っていった子どもたちが、その後の将来もし自死を考えるような状況に陥ってしまったとしても、様々な救いがあるよと気づけるように、そういうヒントを今のうちから学んでほしいというふうに思います。引き続き、取組をよろしくお願いいたします。  以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。 ◆つるみけんご 委員 Setagayaあらたの質疑を始めます。  まず、学校行事の中止について伺います。新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な学校行事を例年どおり開催することが困難な状況が続いています。修学旅行はその代表例ですが、移動教室や遠足など、子どもたちにとって楽しみであると同時に、貴重な体験ができる場が失われています。  こうした中、先ほど他会派からの質疑にもありましたが、十月二日付で文部科学省から「修学旅行等の実施に向けた最大限の配慮について」という通知が出されました。内容を一部読み上げます。「今年度未実施の学校におかれては、かねてよりお願いしているとおり、修学旅行等の教育的意義や児童生徒の心情等を考慮し、当面の対応として修学旅行等の実施を取りやめる場合も、中止ではなく延期扱いとしたり、既に取り止めた場合においても、改めて実施することを検討したりするなどの配慮をお願いします」、修学旅行等ということですので、恐らく移動教室などもこれに当たるものと推察します。  先日、子どもたちが外遊びをしていて、とても楽しい時間を過ごす中で、川場村に行けなかったことを思い出し、涙を流す子どもがいたそうです。それほどみんなと一緒に過ごすということを楽しみにしている子どもたちがいるのです。世田谷区教育委員会として、遠足、社会科見学、移動教室、修学旅行など、平素と異なる体験を通じて得られる学びと体験をどのように支えていくのか見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 宿泊行事や遠足の狙いは、平素と異なる生活環境で見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や社会的規範などについての体験を積み、必要な行動の仕方を身につけることであります。また、子どもの発達の段階や人間関係の希薄化、自然体験の減少といった子どもを取り巻く状況の変化を踏まえますと、自然の中や農村、漁村等における集団宿泊活動は意義のあることと捉えております。  今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、例年実施されていた行事を縮小せざるを得ない状況にあります。教育委員会といたしましては、学校が日頃の学習活動に効果的な体験活動を取り入れたり、ゲストティーチャーを招いたりといった工夫を行い、コロナ禍においても多様な体験活動を展開できるよう支援してまいります。 ◆つるみけんご 委員 具体的には、学級規模が大きい、つまり児童生徒数が多い場合に、特に行事を行うことが難しくなるというケースがあると聞いております。こうした学校に対してどのような支援が考えられるのか、御見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 区内の小中学校は、一学年一クラスから七クラスの学校まで規模は様々でありますが、それぞれの特色を生かしながら教育活動を行っております。例えば、コロナウイルス感染症の拡大防止のため、運動会の日にちを複数設定し、学年ごとに開催したり、校外学習の行き先や内容を変更し、体験的な活動ができるように工夫したりしている学校もあります。教育委員会といたしましては、各学校の特色を生かした活動を情報提供し、より充実した体験活動が実施できるよう支援をしてまいります。 ◆つるみけんご 委員 現場の先生方も本当に苦渋の決断で、中止をせざるを得ないという状況があることは想像いたしますが、体験をするのは児童生徒であって、子どもたちにとっては一生に一回の行事もあります。大人の判断のみで実施の可否を決めるのではなく、他自治体の事例等の情報も十分に収集し、子どもたちの視点や発想もぜひ取り入れて小さな体験も大切にしていくべきと考えます。見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、学校行事の見直しが行われております。各学校においては、子どもたちの発想や提案なども取り入れながら、行事の内容や方法などを工夫して計画、実施しております。さらに、子どもたちは授業での体験活動や係活動、生徒会活動、部活動など、学びと成長に意義のある活動を日々積み重ねております。教育委員会といたしましても、子どもたちの体験的な活動が充実できるよう、学校の教育活動をより一層支援してまいります。 ◆つるみけんご 委員 修学旅行や移動教室等、既に中止が決定しているものも改めて検討してください。お願いします。  次に、一人一人の才能や個性を育む体験型教育について伺います。第二次世田谷区教育ビジョンの第二期行動計画では、二〇一八年度から二〇二一年度の四年間のリーディング事業の一つとして、才能や個性を育む体験型教育の推進を掲げています。内容としては、多様な学びや遊びの機会を提供し、子どもたちが自らの才能や個性に気づき、将来の夢や希望を持ち、たくましく生きる力を身につけるような取組を推進しますと書かれています。  そのための主な取組の一つが新・才能の芽を育てる体験学習ですが、この施策の各講座の参加人数にはそれぞれ制限があり、事業全体で見ると、定員数千二百八十六名に対し、申込者数が九千二百八十六名と大幅に申込者数が定員数を超えております。参加を希望した子どものうち、約八六%は講座に参加できておらず、子どもたちのやりたいという思いに十分に応えられる施策にはなっておりません。区内の約四万九千人の児童生徒の興味や関心、やりたいという気持ちをしっかりと受け止め、個性や才能を育むための体験学習は、一つの施策ではなく、むしろ日々の授業や学校生活、また地域の中でこそ培われるものではないかと考えます。教育委員会の見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 各学校では、子どもたちが日々の学校生活での様々な体験を通じて、豊かな人間性や自ら学び、自ら考える力などの生きる力を養うことができるよう、創意工夫により体験活動などの充実に取り組んでまいりました。  一方、学校以外の例えば地域の行事やスポーツクラブへの参加なども、子どもたちにとって貴重な体験の場であり、学校が地域社会と連携して、子どもたちに多様な体験の機会を提供することは有用であると考えております。例えば、おやまちプロジェクトでは、地域の方から仕事への取組を学ぶことなどを通して、自ら課題を発見し、その課題を解決するために、自分なりに試行錯誤を繰り返すことで、生きる力と確かな職業観や勤労観を育むことにつながったと考えております。教育委員会といたしましては、子どもたちの興味や関心を、学校と地域社会との連携により育む取組を引き続き支援をしてまいります。 ◆つるみけんご 委員 区立の小中学校に通う場合、基本的には子どもは学校を選べません。学校によって体験学習の充実度に大きな差があるという状況は決して望ましくありません。地域の特色は生かしつつも、学校間の格差をなくし、一人の子どもも置き去りにすることのないよう、区全体としての体験学習の充実を進めるべきです。見解を伺います。 ◎毛利 教育指導課長 学校で行われる体験学習は、各学校がそれぞれの実態や特色に応じて計画を立て実施しております。その際、地域の人材や施設を活用し、様々な人や物に触れ合う活動や、自分でテーマを設定して探求していく活動等を取り入れている学校もあります。このように、地域の特色を活用した教育活動の在り方は、新しい学習指導要領が目指す社会に開かれた教育課程の理念そのものであります。教育委員会といたしましては、各校が地域の特色を生かした教育活動を進められるよう支援するとともに、より充実した体験活動を行えるよう指導してまいります。 ◆つるみけんご 委員 ぜひお願いします。  次に、子どもの体力について伺います。新型コロナウイルスによる休校や活動自粛の影響により、子どもの体力の低下が懸念されています。全国では、骨折や捻挫、疲れを訴える子どもが増加しているといった報道もありますが、区内でもこうした事例はあるのでしょうか。また、何らかの対策はされているのでしょうか伺います。 ◎塚本 副参事 学校再開後、学校からの重大な事故の報告は受けておらず、昨年度の同時期と比較しましても、骨折や捻挫等の件数が増加している現状はありません。教育委員会といたしましては、通常の授業の再開に際し、各学校に体育の授業や部活動等を行う際には、いきなり激しい運動を行うことはせず、子どもたちの体力に合わせて段階を追って取り組むよう指導しております。 ◆つるみけんご 委員 世田谷区教育委員会は、平成二十七年度から体力向上のため、快眠・快食・快運動を目指し、「世田谷3快プログラム」に取り組んでこられました。所管から、二〇一八年度の児童生徒の睡眠、食事、身体活動の状況について、3快プログラムを開始する以前の二〇一四年と比較して、いずれの項目も数値として顕著な差が見られなかったと聞いています。「世田谷3快プログラム」の取組を振り返り、改善が見られなかった理由をどのように考えておられるのか、また、取組をどう評価、分析しているのか伺います。 ◎塚本 副参事 教育委員会では、児童生徒の睡眠、食事、身体活動の改善を通じて、子どもたちの健康を確保する「世田谷3快プログラム」を展開してまいりました。しかしながら、過去三回の調査結果を分析すると、区全体としての数値に大きな改善は見られておりません。「世田谷3快プログラム」は、睡眠や食事、運動の大切さを子どもたちに伝えるという点においては、一定の成果があったものと考えておりますが、子どもたちの体力向上という点では十分な成果を上げることができなかったものと考えております。 ◆つるみけんご 委員 主要施策の成果によれば、「世田谷3快プログラム」は来年度から第二期を実施するということですが、改めて第一期の成果と反省点を踏まえ、また、新型コロナウイルスによる子どもの体力の低下等も考慮した上で、第一期の延長という枠組みではなく、むしろ新しい形で世田谷の子どもたちの体力向上の取組を展開していく必要があると考えます。見解を伺います。 ◎塚本 副参事 毎年実施されている全国体力・運動能力、運動習慣等調査における世田谷区の子どもたちの体力や運動能力は決して高い水準にあるとは言えない状況にあります。今後は3快プログラムが掲げる睡眠、食事、運動の大切さを子どもたちに伝えていくこと自体は継続しつつ、事業の重点を子どもたちの体力や運動能力を改善していくことにシフトしていく必要があると考えております。教育委員会といたしましては、今までの取組を見直すことは見直し、体系的に計画を策定して新たな取組を行ってまいります。 ◆つるみけんご 委員 次に、ICT環境の整備について伺います。現在、教育委員会では、子どもたちの個別最適化した学びを支えるため、児童生徒一人一台のタブレット型情報端末の整備をはじめ、ICT環境の整備を進められているわけですが、先ほど他会派の質疑の中でもありましたが、現時点では、教員用のタブレット型情報端末は一教室一台しか配備されておらず、教員は一人一台体制になっていないと聞いております。このことは、私も所管とのやり取りの中で知り、非常に驚きました。迅速に整備を進めるべきです。
     四月からは、きちんと整備された環境の中で全面的なICT教育が展開されるわけですが、機器や支援員の不足だけでなく、端末やアプリケーション等の故障やトラブルで現場が混乱するということも避けなければなりません。四月以降、子どもたちの個別最適化した学びを支えるICT教育を確実に実施するために、機器やネットワーク環境だけでなく、運用に係る現場へのサポート体制等の整備も重要です。十分な整備体制はできているのでしょうか伺います。 ◎會田 教育総務課長 今年度中にタブレット型情報端末の配備と、校内通信ネットワークの整備を進めてまいります。令和三年四月から、新たに整備した校内ネットワークを活用したタブレット型情報端末の本格的な運用が始まります。運用が始まりますと、操作方法に関してや障害発生の連絡など、日々の運用における様々な問合せへの対応等が想定され、タブレット型情報端末やネットワークの運用サポート体制の整備が重要となります。  運用サポートについては、タブレット型情報端末とネットワークについて一体として行う体制とすることで、障害の早期復旧やICT活用に対応した授業実現につながるものと考えています。教職員の負荷軽減や家庭からの問合せ対応を視野に入れた体制整備を、教育委員会としてしっかり行ってまいります。 ◆つるみけんご 委員 今お話にありました教職員の方の負担軽減というのも非常に重要な視点ですので、四月には万全の状態で全面的なスタートを切れるように、確実に準備を進めてください。  以上で私からの質疑を終えて、小泉委員に代わります。 ◆小泉たま子 委員 では、続けて質問してまいります。  タッチ・ザ・ワールドについて伺います。このタッチ・ザ・ワールドについては、今日も他会派から質問が出ているわけです。私も事業オープンのときに見学に行きました。二つの点で驚いたことを記憶しています。一つは、行政、今回は教育委員会ですが、公が取り組むにしては斬新というか、ある意味非常に魅力的な設備が備えられていること、もう一つは、私がお伺いしたときには、誰もお客様がいない、これはちょっと異様に感じられました。  ホームページで探しますと、十月十七日には「ハロウィンの世界」として、外国人の先生と英語でコミュニケーションしながら楽しく学ぼうというイベントがあるようです。このようなイベントであれば、多くの保護者の方々が興味を持たれ、にぎわうのも当然と思いますが、それ以外の日はほとんど来場者がいない。小学校の体験学習で使うだけとは疑問を持たざるを得ません。  お問合せ先として教育指導課となっています。すると、このタッチ・ザ・ワールドの所管は教育指導課と分かります。教育指導課が頑張っているということです。ホームページの最初を見ますと、どこのホームページでも同じですが、関連する事業やPRしたい項目などを目立つように紹介するPRエリアがあります。  携帯で見ますと、一番後ろに見えるのですが、その一番前には何の項目が並べられているか、世田谷区立小中学校の教員募集要項です。このことから分かるのは、教育指導課として、このタッチ・ザ・ワールドのホームページを訪れた方々に一番アピールしたいのは、小中学校教員募集のことだということが分かります。  誠に職務に誠実な態度であると言わざるを得ないわけですが、教育指導課ではなく、教育委員会全体としてタッチ・ザ・ワールドに興味を持たれた方々に対して一番お知らせしたいのは、果たして小中学校教員募集ということであるのか、責任者の教育長にお伺いしたいところですが、時間の関係で省きます。  ちょっとした笑い話のようですが、私はここにタッチ・ザ・ワールドという事業の本質が現れていると感じます。タッチ・ザ・ワールドの説明として、海外の文化をバーチャル体験したり、英語でのコミュニケーションに触れながら、楽しく世田谷区や日本の文化、異文化について知ることができる場です。多様な文化に触れ、世田谷区や日本文化を見詰め直し、日本を世界へ紹介していきましょうとされています。  この文章を読んで誰もが感じると思われるのが、世田谷区がこの四月に新設した近年の国際化機運の高まりを踏まえ、国際施策の充実発展に向けた新たな推進組織であるせたがや文化財団の国際交流部門です。この国際交流部門は、世田谷国際交流センターを運営されていますが、実際の取組として多文化理解のための講座や交流ラウンジの開催などを行うということで、その理念としてタッチ・ザ・ワールドの取組とかなり似通っているというか、連携して事業展開を行うことが必要ではないかと考えます。  先ほど教育長がこの事業の見直しを言われたわけですが、果たして教育内部だけでの見直しで時代の流れに対応できるか疑問です。区として、国際交流、多文化共生について専門部門ができた以上、見直しについては、このような新たな機能を視野に入れるべきです。地域の国際化の進展など、今後の展開なども考えますと、タッチ・ザ・ワールドの機能そのものを文化財団に移行し、もちろん、区立学校の授業などで活用することは保障させてもらい、その他の時間をさらに多くの区民の皆さんに活用していただく、このようなことが考えられて当然と思います。  事務事業移管については、区全体のこととして領域単独では考えられないことは当然ですが、当事者、所管の教育分野として、区長部局側に今申し上げた観点からお話をしていく、調整に入っていくべきと思いますが、お考えを伺います。 ◎塚本 副参事 タッチ・ザ・ワールドは、子どもたちが英語の楽しさを実感できるよう、小学校四年生を対象とした移動教室や月一回の土曜日のイベントをはじめ、多文化の視点から日本文化や世田谷の文化を学べる場でございます。いただいた御意見を参考に、よりよい事業の在り方について検討してまいります。 ◆小泉たま子 委員 次に移ります。地域での学校の役割について伺います。ほぼ二十年前、二〇〇一年六月に大阪教育大学附属池田小学校で、小学生が何人も無差別殺害されるという事件が起こりました。衝撃的な事件だったのですが、その後、ある小学校の校長が、あの事件のときに地域の方が学校に電話をしてきて、うちの小学校は大丈夫かという話をしていたと伺いました。その校長は、電話で地域の方がうちの小学校、つまり自分たちの学校だということを前提に話をしていたということをうれしかったというのです。ほぼ二十年たって、地元の学校をうちの学校と言える人々がどのくらいいるのでしょうか。コミュニティが壊れていく中で、学校というものが地域と離れていくようになっては問題です。  さて、ここで子どもたちが授業を受けている教室は、改めて誰のものかということを考えてみることにします。結論として、教室は担任教員のものか、子どもたち自身のものかということです。現在は、子どもたちが授業を受ける場と言いながら、どちらかと言えば、その授業を行う担任教員のものであるというように考えられます。  しかし、今後は、それぞれの教室は児童生徒の生活の場ということを位置づけるべきではないかと思うのです。子どもたちは、朝、家庭から学校に通います。そこは授業があり、給食があり、友達との交流があり、そして放課後は同じ教室で新BOPがあり、その後、必要があれば保護者の帰宅時間まで見守りの機能を果たすというものです。新BOPを自分たちの教室、居場所で行うということとなります。  新BOPでは、遊びと新たな学習体験も考えられます。小学校で英語にも取り組んでいくという展開の中で、保護者におかれては、その対応に苦慮し、英語学習を充実させたいということから、民間の塾と学童保育が一体化されたような施設へ通わせたいと思う方も多くなるでしょう。それぞれ保護者の責任で子どもをどこに通わせるかは自由ですが、これではなお格差が広がる。保護者の経済環境で子どもの学力などについて格差が広がっていく恐れがあるのです。  私は、これらのことに対して、新しい形の学習支援ということがあるはずと考えます。受験勉強ではなく、寺子屋的学習です。これは授業とは切り離されたものとして、手法として民間活力の活用も図っていきます。このような在り方について、教育委員会のお考えを伺います。 ◎林 生涯学習部長 新BOPでは、放課後の子どもの生活の場、生活支援の場として、専用スペースのほか、校庭、体育館、多目的ルーム、特別教室等、学校と連携を密にしながら、学校施設を有効に活用して現在運営しております。また、施設の状況にもよりますが、普通教室の活用につきましても、試行的に進めております。  一方、児童数の急増による大規模化、人材や活動スペースの確保等の課題を踏まえまして、新BOPの中長期の抜本的な在り方を検討するために、学識経験者、学校関係者、地域の方等を委員とした新BOP事業のあり方検討委員会を立ち上げまして、新BOPの運営場所、形態や方法について現在検討を始めているところでございます。  ただいま委員から御提案がございました家庭環境による格差が生じない学習支援、また民間の活力のお話がございました。子どもたちが平等に学ぶ機会を得られ、安心して豊かで充実した時間を過ごすことができるよう工夫してまいりたいと考えております。 ◆小泉たま子 委員 ただいまの答弁で新BOPの中長期の抜本的な在り方の検討会を立ち上げたと、進めているようですが、これはいつ結論が出るのでしょうか。 ◎田村 生涯学習・地域学校連携課長 今の御質問の件ですけれども、こちらにつきましては、今年度の九月より四回、今年の中で行いまして、来年の二月ぐらいをめどに、ある程度の方向性を見た上で令和四年度以降の予算の中で対応できるような形で今検討しているところでございます。 ◆小泉たま子 委員 そうしますと、令和四年の四月からは違う形の新BOPの形態がつくられていくんでしょうか。その中で新BOPは行われていくんでしょうか。 ◎田村 生涯学習・地域学校連携課長 今のお問合せですけれども、今後どういった形に新BOPをしていくかとか、そういったことも含めて検討しておりますので、まだ今の段階ではどのような形になるかということは確定しているものではございません。 ◆小泉たま子 委員 このままの状況では、新BOPの中で子どもたちが健全に成長していくとはとても考えられませんので、本当に真剣に議論を尽くして、早期にいい環境をつくり、新BOPを子どもたちのためにいい形で進められるように要望いたします。  これらを踏まえて、以前から申し上げていますが、最初に言いました、うちの学校という言い方そのままに、学校施設の管理運営を原則地域、総合支所で行うこと、授業時間など以外の時間、夜間も含め、地域で担うことの問題点について伺います。 ◎田村 生涯学習・地域学校連携課長 法的な問題として地方教育行政の組織及び運営に関する法律において、教育委員会は教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するとともに、多様な民意を反映するための組織であり、地方における教育行政の中心と位置づけられております。このため、学校施設の管理及び整備に関する事務も教育委員会が担うこととなっており、地方公共団体の長の権限として行うことは原則としては認められておりません。  一方、構造改革特別区域法では、学校施設の管理及び整備に関する事務を地方自治体の長が管理し及び執行することができるとしております。他の自治体においては、学校施設の利用の運営管理を地域の運営協議会が行っている事例もあります。また、児童生徒及び教職員の安全を確保し、学校生活を円滑に進めながら、学校施設の管理及び整備に関する事務を地域が担うには、まずは総合支所や地域の意向を十分確認の上、教育委員会を含めた当事者間の徹底した課題の洗い出し及び綿密な調整が必要不可欠であると考えます。 ◆小泉たま子 委員 ただいまの答弁で、地域で担うことが不可能ではないということが分かりました。  以上で質問を終わります。 ○真鍋よしゆき 委員長 以上でSetagayaあらたの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○真鍋よしゆき 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後五時五十七分散会...